「みあれ祭」という名称に聞き覚えはなくても、福岡県の「宗像大社」なら知っているという人は多いのではないでしょうか。今回は宗像大社の秋季大祭の幕開けを飾るみあれ祭の様子をご報告します。
(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2020年9月30日 編集部更新)
宗像大社とは?
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として2017年に世界遺産登録。『日本書紀』に記されている三女神が沖ノ島と大島、九州本土の3か所でまつられ、航海の安全を願った信仰を起源とするといわれています。
田心姫神(たごりひめのかみ)をまつる沖津宮が所在する沖ノ島には厳格な禁忌があり、女人禁制であるうえ男性でも一般には渡航できないなど、現在でも固く守られています。
みあれ祭ってどんなお祭り?
毎年10月1日~3日に行われる宗像大社の秋季大祭の初日を飾るお祭り。沖津宮(沖ノ島)の田心姫神と中津宮(大島)の湍津姫神の御神璽(ごしんじ・かみのみたま)を、大島から辺津宮(市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)がまつられている)のある本土へお運びする海上神幸が「みあれ祭」と呼ばれ、百数十隻にのぼる漁船が御神璽を乗せた御座船のお供をします。
船団パレード、せっかくだから間近で見たい!遊覧船へ!
百隻以上の漁船団…船好きの方ならきっと想像しただけでもわくわくしますね!このパレードに併走してくれる遊覧船があると聞き、今回はその船に乗ってきました。ちなみに、パレードに参加する船(漁船)は沖ノ島と同じく女人禁制。運良く漁師さんに知り合いがいれば漁船に乗せてもらえる人もいるようですが、女性の場合は遊覧船が船からパレードを見る唯一の方法です。
10月1日午前8:00
みあれ祭は毎年10月1日。悪天候で船が出航できない場合は「中止」となってしまいます。今回は台風が日本列島へ向かっていたためヒヤヒヤしましたが、予定どおり開催されることが前日夕方にアナウンスされました。
みあれ祭当日の朝には、宗像七浦(神湊・鐘崎・大島・地島・福間・津屋崎・勝浦)の漁船約150隻が大島港に集合していました。
午前8:30~中津宮出御祭
沖ノ島の田心姫神の御神璽は、9月中旬に「沖津宮神迎え神事」で大島の中津宮に迎えられます。みあれ祭当日は、田心姫神と湍津姫神の御神璽がこの中津宮を大島港へ向け出発するところから始まります。
御神輿が中津宮から大島港へ向かっている間に、遊覧船の乗船も開始します。
船内では、宗像大社やみあれ祭の概要について地元の学生さんたちが説明してくれます。
9:30~大島港出発
遊覧船が出発して間もなく漁船団も出発します。先を走る遊覧船を150隻を超える漁船団が追い抜いていくような感じで進みました。
神様をお運びする御座船は2隻。「国家鎮護」の旗が目印です。下の写真では、ほかの漁船に囲まれて走っている青い船が御座船です。
こちらの白い船も御座船。
10時過ぎ~神湊港到着
遊覧船が先に神港渡船ターミナルに到着。港では御神璽を辺津宮にお運びするための車が待っていました。
すこし遅れて2隻の御座船も到着。
本土に到着した後は、車と徒歩で辺津宮へお運びする陸上神幸が行われます。
遊覧船に乗るには?
遊覧船に乗船するには、大島の宿泊施設に前泊する必要があります。ちなみに、9月半ばに確認したときは満員となっていたので、乗船したい場合は早めに計画した方がよさそうです。
遊覧船が満員でも、ほかの観覧方法もあります!
パレードを見られるのは遊覧船からだけではありません。毎年多くの観光客が、本土側の神湊の埠頭から船団を見学しています。さらに、毎年ではない様ですが、2019年はドローンによる空撮も行われ、その映像が「道の駅むなかた」でライブ中継されました。
大島の観光も楽しみたい!
歴史も自然も豊かな大島。お祭りを見に行ったら、ぜひ島内の観光もしたいところです。レンタサイクルや観光バスで島を一周してみるのも面白いと思いますよ。
アクセス
飛行機の場合は福岡空港か北九州空港を利用します。タイミングによっては渡船の待ち時間が長くなってしまうので、事前に調べておくことをおすすめします。
福岡空港から(所要時間2~3時間):地下鉄とJRで福間駅か東郷駅→バスで神湊→渡船で大島
北九州空港から(3~4時間):バスで小倉駅→JRで福間駅か東郷駅→バスで神湊→渡船で大島
まとめ
船好きの私には、漁船の集団が疾走する姿を間近で見られるたまならいお祭りでした!ただ、自然と歴史が豊かな大島の魅力を満喫するには、1泊2日はちょっと短かかったなぁという気持ちがあります。宗像大社の秋季大祭は10月1日~3日の3日間なので、それに合わせて少しゆっくり滞在するのもよさそうです。皆さんも来年、行ってみませんか?