日本テレビで毎年、夏に放送されている24時間テレビ「愛は地球を救う」 ですが、調べたところ1978年から続けられており、視聴率もかなり高い番組になります。
そのフィナーレにわずか1分少々ですが、花火の映像が2回に分けられて放送されたのを見た人も多いと思います。今回はその花火がどう言った花火だったのか番組では放送されなかった部分も含めてレポートさせて頂きます。
24時間テレビで花火が打ち上げられた理由
今回の放送を見ていた人の中には日本テレビが24時間テレビのフィナーレに使う為に花火を用意したと思ったかもしれませんが、これは「日本博イノベーション型プロジェクト」に採択された「みんなの花火」の一環として行われた花火になります。
日本博とは日本が伝統的に大切にしてきた文化や生活様式を世界の人々にむけて発信するために、国が推進する文化芸術活動になるのですが、そこに応募して活動を認められたのが、今回の企画の主催者である日本花火推進協力会と言う団体になります。本来なら文化庁からの予算を使って各地の花火大会にお邪魔し、そのプログラムのひとつに日本博の花火を加えて貰い、多くの人に見て貰う予定でした。
しかし、残念ながらコロナ禍でその役目も十分に果たせない状況になり、それでも限られた状況下でどの様な活動ができるかと模索したのが視聴率の高い24時間テレビを使って日本の花火を放送して貰うことだったのです。その考えに賛同した日本テレビ側からも協賛金を頂き、日本花火推進協力会との合同プロジェクトが行われました。
日本花火推進協力会とは
それでは、前述に出てきた日本花火推進協力会とは一体どんな団体なのかを簡単に説明します。一般社団法人 日本花火推進協力会は2016年に設立し、東京日本橋にある煙火店の丸玉屋が中心となって日本各地の煙火店と一緒になって立ち上げた団体になります。
活動目的としては東京オリンピック・パラリンピックの開会式や閉会式で使われる花火に世界一とも評価される高品質である日本の芸術花火を使い、世界中の人に日本の花火をPRする事になります。
その世界中の人々の中には障がいがある人も含まれており、先述した日本博を契機に取り入れられたのが、みんなの花火です。健常者も障がい者も楽しめる花火として、2019年には福島県の会津花火や東京都の秋川流域花火大会では、日本の花火を学べる花火朗読劇「祈り火」が公開されました。
花火ワークショップ
そんな訳で24時間テレビの放送内で打ち上げる「みんなの花火」の協力者として選ばれたのが、東京都品川区にある台場小学校の子供たちになります。今回は子供たち考えた花火を番組内で打ち上げる企画になり、8月3日・7日には実際の花火師さんによる密度の濃いワークショップが行われました。
まず最初は花火を知る所から始めます。花火の作り方などをスライドを通して学習し、オンラインを通して工場見学を行ったり、打ち上げ筒や模擬玉に触れて花火師気分を味わったりとなかなか体験できない授業が行われました。
その上で、この企画で一番大切な実際に打ち上げる花火のデザインを考えます。子供たちは花火の知識を得た上で描いたので、普段のお絵かきとは全く違った内容になった筈です。
2日目の8月7日は、1日目に子供たちが考えた花火のデザインを花火師さんセレクトし、1つの作品ずつ玉名を付けての発表。実際の花火にできるかを考えたりと選ぶ方も大変だったのではないでしょうか?
また、本物の花火に触れるワークショップとして線香花火作りやおもちゃ花火の体験教室。最後には玩具花火を使った花火ショーも行われた様です。
打ち上げ当日の様子
静岡県浜松市の浜名湖に浮かぶ弁天島。以前は弁天島海開き花火大会として有名な花火大会が開催されていましたが資金不足により、第50回目の2013年を最後に中止になってしまいました。しかし、近年では有志で花火を上げたり、フェスで花火が打ち上げられる事もあり、少しずつ以前の活気が戻ってきている様です。釣り人も多く、普段はのんびりした場所で観光スポットでもあります。
今回の打ち上げはワークショップを行った東京日本橋の丸玉屋、静岡県の三遠煙火、愛知県の若松屋が担当です。24時間テレビの放送にあわせて打ち上げる為、使える時間は前半20秒と後半の1分20秒しかありません。しかし、花火玉の大きさは最大10号玉(尺玉)を使用し、7号以下は斜め打ちも行われます。しかも打ち上げられる花火は1,000発以上。普通の花火大会では約3,000発の花火を1~2時間かけて楽しむものなので、それを考えると今回の規模感がどれだけ凄いかが分かるのではないでしょうか?
花火の打ち上げ準備が進む中、テレビカメラと中継車もやってきて準備開始。どうやらこの物々しさが目立ってしまった様で打ち上げ時間が近づくにつれ、多くの人が集まってきてしまい会場はとてもシークレット花火とは言えない状態になってしまいました。
24時間テレビの放送のフィナーレが近づく20時過ぎに合図もなく花火の打ち上げが開始!後にも先にもない通常の数十倍もの密度の濃い花火が打ち上げられ「あわわわわー」と慌てている間に終了してしまったと言うのが正直な感想でしたw
花火師さんが苦労した点としては、この大量の花火の中でも子供たちが作ってくれた花火の一つ一つが、少しでも見やすく分かりやすくなる様に配置や筒の角度を微妙に調整するなどの工夫をしたところにあった様です。そして、全体の演出としては、この1分の打ち上げとそこに至るプロセスを、この夏一番の思い出にして貰える様なドラマティックな構成で作り上げたところにあるそうです。
主催者の日本花火推進協力会としても、コロナ渦で大変な夏を過ごした子供達にとっては、自分がデザインした花火が誰もが知っている24時間テレビで打ち上がり、それを家族と一緒にテレビで見るということは、とても強く心に残る思い出になったのではないでしょうかとの事でした。
花火大会存続のための支援募金
現在、日本花火推進協力会ではYahooとの連携で「花火の未来を救う ポストコロナ花火大会存続のための支援募金」としてネット募金を行っています。新型コロナウイルスの影響で日本の花火業界は大打撃を受け、今後の見通しも立たない状態にあります。資金の使用用途には次の事が挙げられています。
1 団体所属の花火業者の助成金としての活用
2 新たな生活様式において、安心・安全な花火大会を実現するための施策支援
3 上記施策に即した花火会場の環境整備費用
4 上記会場における花火打ち上げ費用
クラウドファンディングみたいな直接的な見返りはありませんが、また花火大会を開催できる事が最大の見返りだと思っています。Tポイントでも寄付できますので、是非ご協力をお願い致します。