コロナ禍で全国の大型花火大会が中止が相次ぐ中で、北海道札幌市のモエレ沼芸術花火が9月4日(土)に開催されました。このモエレ沼芸術花火は、これまで全国各地で行われてきた芸術花火シリーズの先駆けでもある場所になります。今回は芸術花火シリーズの紹介と共に現地の様子を紹介します。
また、2021年の芸術花火シリーズの開催予定としては、10月23日(土)に愛知県名古屋市で名港水上芸術花火、今回は名古屋初の二尺玉が打ち上げられる様です。チケットも絶賛発売中になります。そして、11月20日(土)には宮崎県宮崎市でもみやざきシーサイド芸術花火も開催予定です。
芸術花火シリーズとは
普通の花火大会は、地元の行政や観光協会、商工会議所などが実行委員会を組織して開催している事がほとんどです。その為、花火大会を開催することが目的になり、運営メンバーの花火に対する興味の低さ、例年と同じ内容でいいやとなるマンネリ化、地域の行事だからと嫌々やらされているボランティアメンバー、昨今の不況から自治体や企業による協賛金不足から花火の品質の低下などが問題になってきます。
しかし、この芸術花火シリーズは企画制作、運営、演出の全てをGREAT SKY ARTのメンバーが中心となって行っており、言わば花火大会のプロフェッショナルが主催をしています。メンバーには全国から集まったイベントの主催者や実力派の花火師などで構成され、既存の花火大会とはワンランク違った花火ショーとして昇華されています。
花火の内容としては、国内最高峰の花火師達の芸術玉を中心に組み合わせて構成され、音楽のリズムや曲調にシンクロするよう綿密にプログラムされた音楽花火が中心で花火初心者にも分かりやすい内容となっています。おそらく初めて見る人にとっては花火大会の価値観が変わってくる筈です。
その為、無料席は一切用意しておらず、決して安くない入場料を払ってでも芸術花火を見たいと思う、花火にそれだけの価値を見出している人が観客の中心となっています。マナーに関しても素晴らしく、一般の花火大会やお祭りでよく見かける喧嘩やゴミをその辺に捨てて行く人達もおらず、民度の良い人達が参加している気持ちの良い花火大会です。
これまでに開催された芸術花火シリーズ
この項目では過去に行われてきた芸術花火シリーズを動画で運営のPV(プロモーションビデオ)紹介します。この作り込まれた動画に関しても、既存の花火大会には滅多にありませんでした。折角、全国から集客を募っている花火大会でもポスターのみで臨場感あふれる視覚を通しての集客がなかったのは、あまりにも勿体ないです。
また、開催場所を見てみると地方都市とは言え、多くの人がアクセスしやすい中心地で行われているのも魅力の一つです。そして、サザンオールスターズやQUEENとアーティストの曲のみで作られる花火大会はある一定のニーズが生まれてきます。
・モエレ沼芸術花火(北海道札幌市)
・東京湾・浦安芸術花火 特別企画 QUEEN SUPER FIREWORKS(千葉県浦安市)
・茅ヶ崎サザン芸術花火(神奈川県茅ケ崎市)
・名港水上芸術花火(愛知県名古屋市)
・大阪湾水上芸術花火 特別企画 QUEEN SUPER FIREWORKS(大阪市大阪府)
・京都芸術花火(京都市京都府)
・海の中道芸術花火大会(福岡県福岡市)
・みやざきシーサイド芸術花火(宮崎県宮崎市)
当日の様子
開催場所は札幌駅から少し郊外になるモエレ沼公園。世界的に著名な彫刻家イサム・ノグチ氏が「全体をひとつの彫刻作品とする」というコンセプトで手掛け、2005年に オープンしました。普段は無料で入れる公園ですが、無料席がないモエレ沼芸術花火では当然ながらチケットを持たない外部からの出入りは禁止です。
駐車場付きチケットを持っていれば車での来場も可能ですが、指定場所以外には周囲には駐車場もない為、そうでない人はバスでの来場となります。公園に入る前には、入場チケットの確認と体温の確認、アルコール消毒が義務付けられていました。
会場に到着すると観客席がズラリと並んでいました。通常開催であれば、この広い敷地内に3万人の観客を呼べるのですが現在はコロナ禍につき、その1/6である5,000人と大幅な縮小をしてソーシャルディスタンスの確保を行っていました。当然ながら某MONOGATARIの様な酒類の提供も行っておらず、屋台もドリンクコーナがあるのみになっています。
このモエレ沼芸術花火を取材する切っ掛けとしては、以前に札幌市の滝野すずらん丘陵公園で行われたドライブイン花火をオンライン取材させて頂いたことが最初になります。
取材でお世話になった中田ゲンさんは、自分も関わってきたLIGHT UP NIPPONのメンバーでもあり、このモエレ沼芸術花火にGREAT SKY ARTのメンバーとして開催時から携わっている人です。オマツリジャパンとして取材のお誘いを頂いたのもありましたが、そんな周囲を巻き込んで活躍している人に直接お会いしておきたかったのが一番の理由です。
モエレ沼芸術花火
19時半に打ち上げ開始。5部構成となり、全てミュージックスターマインになります。花火の打ち上げには、大矢亮 氏、中嶌 結希氏、伊那火工堀内煙火店、國友銃砲火薬店などが主に担当しています。
他の花火大会では、まず見かけない山の斜面を利用して角度を付けた立体的な打ち上げをふんだんに使用し、時には水平打ちなどアクティブな演出が音楽に合わせて行われ、曲の盛り上がりでは全国の花火業者から集めた芸術的な尺玉(開花直径330m)が使われます。
終盤には超ワイドでカラフルなスターマイン。コロナ前には有名花火大会では何度か見られたこんな光景も今となっては凄く貴重な体験です。久し振りに「花火に包まれた!」と言う充足感に襲われました。
世界一たのしいゴミ拾い
翌日には、ボランティアスタッフによる「世界一たのしいゴミ拾い」が行われます。会場に落ちているゴミも勿論ですが、花火を打ち上げる際に出るゴミをメインに拾っていきます。
大きいゴミに関しては花火師さんも集めることは可能ですが、どうしても夜間なので小さな部品などは集め切ることはできません。ゴミ拾いの終わりには、来年のモエレ沼芸術花火の招待チケットや、協賛企業から提供の豪華景品が当たるイベントが用意されています。
花火の打ち上げ前よりもキレイになっているモエレ沼公園、実は花火大会よりもこちらの取り組みの方が業界には評価されていると聞いています。
【参加者募集第2回たのしいゴミ拾い】⁰
開催より一週間、木の上の花火がらが落ちてきています。皆様のご参加お待ちしております!9月12日(日)10:00~12:00
集合:モエレ沼公園中央P(ガラスのピラミッド)の前芝生
特典:1名様につき「たまゆらの杜」入浴券5枚<事前登録>https://t.co/IAuh0GwGvG pic.twitter.com/iWU6rm6XhE
— モエレ沼芸術花火 (@moerehanabi) September 9, 2021
昨年に引き続き、今年も残念ながらコロナ禍の中での開催となってしまいました。多くの花火大会は中止を余儀なくされ、その結果として花火業者を含む観光業や飲食サービス業など多くの業界で大ダメージを受けています。
こんな御時世なので、リスクをわざわざ取らず、花火大会を中止する方が簡単です。しかし、そんな中でも可能な限り開催できる様に考えて対策を取り、多くの人に喜んで貰いたいと言う気持ちがなければなかなかできる事ではありません。以前の様に行政に頼るだけではない新しいお祭りの形が始まっています。