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高木さんめ!大ヒットアニメに描かれた小豆島「中山虫送り」の幻想美を味わう夏がやって来た!

2023/7/5
2023/7/4
高木さんめ!大ヒットアニメに描かれた小豆島「中山虫送り」の幻想美を味わう夏がやって来た!

2023年も7月8日(土)に、瀬戸内海に浮かぶ小豆島で「中山虫送り」が行われます!

 

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「虫送り」は日本全国の農村で広く行われていた年中行事です。しかし昭和時代以降、多くの地域で廃れてしまいました。中山虫送りも例外ではなく、後継者不足で一時途絶えていましたが、ある映画のために復活させたのをきっかけに、再び地域の大切な行事になって今に至ります。

そして、小豆島を舞台にした人気漫画『からかい上手の高木さん』(山本崇一朗、小学館)の劇場版(2022年)に登場したことによって、県内外からファンが集まる行事になりました。

この記事では、幻想的な夏の行事「中山虫送り」の概要と、2023年の開催情報についてお届けします。

日本の伝統行事「虫送り」とは?

 

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「虫送り」は、その年の農作物の豊作を祈願するまじないで、かつては全国の農村で行われていました。西日本では、源氏への呪いからウンカ(稲につく害虫)になったと伝わる平氏の武将・平実盛にちなみ、「実盛送り」「実盛祭り」「実盛さん」とも呼ばれています。

「虫送り」は、夜間にたいまつを焚き、囃子言葉、あるいは鉦や太鼓を叩いて、虫を追いながら田畑を練り歩き、害虫を儀礼的に村外に追い払う行為をします。この時、人形を依代にして、虫害をもたらす悪霊を集め、川に流す地域もあります。

農薬の普及などで虫害が昔のように深刻でなくなったことや、人手不足から多くの農村ではこの行事が行われなくなりましたが、現在でも「虫送り」の伝統が受け継がれている地域がいくつかあります。

300年の歴史を持つ「中山虫送り」

 

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香川県の小豆島の中央に位置する中山地区では、300年の歴史をもつ虫送り行事が、毎年行われています。

しかし、前述したように一時、中山虫送りは人手不足で途絶えていたのです。

「中山虫送り」とは?

7月の第一土曜日、中山地区にある美しい棚田「中山千枚田」では、夕暮れ時に松明を手に畑の畦道を練り歩く幻想的な光景が見られます。この「中山虫送り」は、約300年前から伝わる中山地区の伝統行事で、夏至から11日目となる「半夏生」の日に行われてきました。

人々は「火手(ほて)」と呼ばれる竹の松明を田にかざしながら「とーもせ、灯せ」という掛け声とともに棚田の畦道を歩き、害虫の難を逃れて豊作になることを祈ります。松明の火が揺らめきながら列になって進んでいく光景は幻想的で、県外からも多くの観光客が訪れる年中行事として注目されている行事です。

この美しい営みは、少し前まで人手不足のため中止されていたのですが、角田光代原作の映画「八日目の蝉」の撮影にあたって、監督の成島出さんが地元の方々に呼びかけて復活させたのです。

島民200人がエキストラで参加した映画は大ヒット、そしてこの行事も再び開催されるようになったのです。

人気アニメ映画「からかい上手の高木さん」に登場!

「中山虫送り」は、2022年公開のアニメ映画「からかい上手の高木さん」に登場し、再び話題となりました。

 

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同作品は、2016年にリタイトルして漫画雑誌『ゲッサン』(小学館)にて定期連載が始まったラブコメディ。著者の出身地である小豆島と思しき中学校を舞台に、主人公のウブな男子「西片」くんに対し、彼に想いをよせる(?)クラスメートの「高木さん」が、ドキッとさせる言動で「からかう」日々を描いています。高木さんの手のひらで転がされた西片少年が「高木さんめぇ・・・」と心の中で呟くのが定番となっています。2018年にはアニメ化もされました。

2022年公開となった映画版は、主人公2人のひと夏の成長がテーマ。「中山虫送り」は、二人の恋を甘く切なく彩る大切な行事として冒頭に登場します。暗闇の中、松明の火を掲げて進むシーンは、中学生最後の夏を迎えた二人の言葉にできない心細さを象徴しているようです。

賑わい必至!マナーを守って観覧しよう!

映画公開後の2022年夏の「中山虫送り」には、たくさんのアニメファンが見物に集まりました。地元以外の方も、「火手利用券」を購入すれば祭りに参加できます。2023年分はすでに売り切れとなっていますが、当日の観覧は可能。ただし、島内の交通手段は限られていますので、後段のアクセス情報などをよく確認してご参加ください。

「からかい上手の高木さん」聖地巡礼も楽しい!

小豆島へ渡る高速艇やフェリーは高松港(香川県)、新岡山港、宇野港(ともに岡山県)から出ています。高松港からは高木さんのラッピングフェリーも運航されています。

 

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小豆島土庄港のフェリー乗り場2階は「とのしょうBASE」という小豆島の観光情報発信施設になっていて、高木さんの等身大パネルや、島内の「聖地巡礼」マップなどが手に入ります。

島内には、アニメや映画の中で登場したそのままのシーンが存在し、映画を見た人は、感動すること請け合いです。

代表的な聖地を挙げると・・・

「鹿島明神社」(香川県小豆郡土庄町鹿島甲2268)

 

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作中で二人が「じゃんけんグリコ」でバトルするシーンが印象的です。境内の絵馬の掲示板には、ファンたちが自作の絵を飾るなど随一の聖地としてたくさんの人が訪れていることがわかります。1000年余りの歴史を持つ古社で、「頭が良くなる」という言い伝えがあり、受験生たちが参拝することでも知られています。

「西光寺」(香川県小豆郡土庄町甲200)

こちらも冒頭の「じゃんけんグリコ」場面で登場するお寺。巨大な弘法大師像が出迎えてくれます。

この他にも多くの聖地巡礼ポイントがあるので、夕方の虫送りまで、各所を巡りながら作品に思いをはせることができます。

2023年の「中山虫送り」開催情報

今年は初の試みとして、事前の申し込みにより火手の利用券を販売し、観光客が参加できるようになりました。前述のようにすでに利用券は完売ですので、観覧を楽しむことにしましょう。

【開催日】

2023年7月8日(土)(小雨決行※中止の場合は前日までに判断し、小豆島観光協会のホームページで公表されます)

【駐車場】

火手を持たずに観覧のみの方:
・イマージュセンター(小豆島町農村環境改善センター)
なるべくこちらの駐車場を利用ください。中山地区までマイクロバスによる送迎あり(約10分)。

・池田公民館中山分館
午後早い時間に満車が予想されます。
※地域住民の迷惑、交通の妨げとなりますので指定の駐車場以外への駐車、 停車はご遠慮ください。

【スケジュール】

18:45頃~ 湯船山にて祈祷
19:00頃~ 移しの火が出発
19:40頃~ 春日神社(中山農村歌舞伎舞台)にて解散
※帰りのイマージュセンター行きの送迎バスは旧農協倉庫の辺りで待機。

【注意】
・当日の観覧はスタッフが指示する所定の場所に
・ドローン撮影はNG(※公式ドローンのみ上空を飛行)
・写真、動画撮影の際は決して虫送りコースには侵入しないでください。(※虫送りコースの道幅は狭く、 また火手を持って歩いている方が多数います。 虫送りの流れを止めてしまい大変危険で、 やけどやけがの原因となります)
・写真撮影等で個人の敷地や、 田畑への侵入は厳禁。
・虫送り会場までの交通手段は参加者、 観覧者ご自身で確保してください。
・路線バスやフェリ ー等、 公共交通機関を利用の際は、 帰りの便の時刻を、お越しになる前に必ずご確認ください。(万が一乗り遅れた場合でも一切責任は負いません)
・虫送り終了時刻は19時40分頃の予定ですが、 遅延する可能性がありますので時間に余裕をもってご参加ください。
・春日神社前バス停から土庄港行の最終路線バスの時刻は、 18時17分となっております。路線バスを利用して虫送りへの日帰り参加は不可能です。
・土庄港から高松港への最終フェリーは20時10分発なので、最後まで観覧して当日高松に戻ることもほぼ不可能です。(坂手港22:40発高松東港24:05着の便もありますが、混雑状況等によってはマイクロバスによるイマージュセンターへの移動が坂手方面への終バスに必ず間に合うとは限りません)

アクセスが不便なため、路線バスやフェリ ーなどの 公共交通機関を利用する際は、 帰りの便の時刻を必ず確認しておきましょう。

まとめ

今回は、「虫送り」や小豆島の「中山送り」について紹介しました。

「中山虫送り」は一時は途絶えながらも映画をきっかけに復活したことで、新たな創作者のクリエイティブを刺激し、新たな作品を生み出しました。新たな観光資源ともなり、再び地域の方々の誇りになった稀有なお祭りです。

ぜひ映画「八日目の蝉」や「からかい上手の高木さん」を鑑賞してください。そして、美しい棚田で行われる素朴で幻想的な行事、ぜひお立ち寄りください。

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