藤沢・遊行寺が舞台
神奈川県の南部に位置し、相模湾に面する藤沢市。鎌倉が近く、江ノ島も有する藤沢市ですが、古くから鎌倉仏教の拠点の一つとして発展してきた土地でもあります。その中心地となったのが遊行寺(正式名は清浄光寺)。鎌倉仏教6宗の一つ、時宗総本山の寺院です。
この遊行寺で4月22日~23日に開催されているお祭りを今回はご紹介。その名も「春季開山忌」です!
踊り念仏が行われる
時宗の総本山である遊行寺ですが、その宗祖は一遍上人。一遍上人は遊行上人とも呼ばれ、以降遊行寺の歴代住職が遊行上人の名を継承しています(現在は75代)。こちらの一遍上人が鎌倉時代に全国を遊行(僧侶が各地を行脚すること)し行ったのが、踊り念仏。仏様や念仏の教えを踊りを通すことでわかりやすく伝えていきました。
踊り念仏は現在まで受け継がれ、遊行寺の春季開山忌に合わせ行われています。2023年は4月22日に実施されるとのことで、遊行寺へとやってきました。それでは踊り念仏の様子を見ていきましょう!
踊り念仏が行われるのは本堂の中。広々とした空間で、外陣長押には後光厳天皇が「清浄光寺」と書いた勅額が掲げられています。またこの本堂は、総門や手水舎等の他の建造物と共に、国の登録有形文化財にも指定されているんです。こちらで14時より、御詠歌の奉納と踊り念仏奉納が執り行われていきます。
はじめは御詠歌の奉納から。檀家の皆様による美しい歌声が響き渡ります。
各仏様や一遍上人に向けての御詠歌が歌われていきます。
御詠歌の奉納も春季開山忌に合わせて行われます。美しい光景ですね!#遊行寺 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/wYx0d7PMF0
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 22, 2023
続いては念仏踊りの奉納!本堂の中央部には太鼓が設置されました。
太鼓の音に合わせ、踊りが行われていきます。
ぐるぐると本堂の中を回りますよ。
踊り念仏のはじまりは、祈りのポーズのような形から。太鼓の周りを進みます。#遊行寺 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/vAUOUL9pm9
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声を上げるシーンも。
手に持った鉦も鳴らしていきます。
踊りには軽やかなステップが組み入れられてきました!
時折跳ねるような動きもあります!
踊り念仏が、時宗総本山 遊行寺の春季開山忌に合わせ奉納されています。太鼓、鉦の音を響かせながら、軽やかなステップで踊られます。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/pGzhx5mzzC
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円の外側を向いたりもします。
踊り念仏で魅せられる足捌き。見応えがありますね!#遊行寺 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/BbAf24BzIV
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踊り念仏、興味深いものですね!
この踊り念仏は、一説には盆踊りのルーツとも言われています。遊行寺では4月と10月の開山忌等に合わせ奉納されていますので、ぜひ見にきてみてください!
放生会で感謝を
踊り念仏が実施される前の13時半からは、本堂隣の放生池にて放生会(ほうじょうえ)も行われました。放生会とは、野生に生きる生き物たち、身体に取り込んできたものたちへの供養と感謝を行う儀式で、古くから全国で行われています。放生とは次の通り生きるものを放つことになりますが、遊行寺では金魚や銀魚を放生池へと儀式の中で放っていきます。その様子を見ていってみましょう!
時間になり、放生池の前には僧侶の皆様が出てきました。
仏具が用意され、儀式が行われていきます。
池の対岸から見た儀式はこのような形です。
そして金魚が放たれました。
次々に放生が行われていきます。ちなみに江戸時代に生類憐れみの令が発布された際は、江戸中から金魚、銀魚が集められ、こちらに放生されたと言う記録が残っているそうですよ。
放生会が終わった後には、集まった参列者に向けてお札が渡される時間もありました。一遍上人も遊行の先々でお札を配布していたそうです。
周辺情報・アクセス
遊行寺境内には歴史ある建造物が複数ありますが、中雀門(ちゅうじゃくもん)は春季開山忌に来た際の必見ポイントです。
こちらは江戸時代末期の1859年(安政6年)に建立された門で、遊行寺境内で最も古い建造物になります。天皇家や徳川将軍家の関係から菊の御門と三つ葉葵紋が刻まれているのも特徴です。また開山忌等の行事の際にしか門が開いていないとのことなので、開門状態を見られる貴重な機会をお見逃しなく。
続いてご紹介するのは、遊行寺境内内にお店がある菓匠いもとさんの「一つ火」。遊行寺で11月に開催されるお祭り「御滅灯(一ツ火)」をイメージした焼き菓子です。カリッとした外側に、ギュッと詰まったこしあんがおいしいお菓子ですので、ぜひお試しください!
遊行寺の門前町として発展してきた藤沢ですが、江戸時代には東海道6番目の宿場町「藤沢宿」としても整備されました。遊行寺境内の眼下には今でも当時を偲ばせる旧藤沢宿の街並みが残っています。
境内を出てすぐの参道沿いには、藤沢宿ことを知ることができるふじさわ宿交流館もあります。
また旧東海道沿いの道に出ると、このような宿場町の雰囲気が感じられる街並みも残ります。ぜひお祭りと合わせて散策してみてください!
またこの時期は藤の花が綺麗に咲くタイミング。源義経縁の白旗神社は藤の名所として知られておりますので、こちらも要チェックです!
■遊行寺へのアクセス
<徒歩の場合>
・JR藤沢駅より約13分。
・小田急江ノ島線藤沢本町駅より約15分。
<バス利用の場合>
・JR藤沢駅前 藤沢駅北口バス停より神奈川中央交通に乗車、藤沢橋バス停まで約5分。バス停から境内まで徒歩1分。
・小田急江ノ島線藤沢本町駅前 台町バス停より神奈川中央交通に乗車、遊行寺前バス停まで約3分。バス停から境内まで徒歩2分。