JR東日本とオマツリジャパンが推進し、オンラインを活用して地方との関係を生み出す新しい交流方式・祭り留学の第3回が、男鹿市観光協会DMO推進室の主催で12月4日(土)に行われました。
“なまはげに触れる”と銘打った今回は、いよいよ現地体験ツアー。第1回・第2回でめぐった施設や解説してくださった方の下を訪ねたり、新たな体験を通して男鹿の方々と親睦を深めたり……。さらには一度オンラインで体験した“なまはげ問答体験”を、リアルで体験し迫力を肌で感じるなど、ナマハゲにどっぷりと浸れる1日となりました。
本記事では、12月4日に秋田県男鹿市で行われた、祭り留学初の現地体験ツアー“第3回 祭り留学 ナマハゲに触れる 現地体験ツア―”の様子をお届けしていきます。
目次
東京から約6時間 男鹿半島はなんと雪!
“第3回 祭り留学 ナマハゲに触れる 現地体験ツア―”は、JR男鹿駅に13:25集合。東京の新宿駅発で考えると、7時台の電車に乗る必要があります。
途中新幹線を使うとはいえ、約6時間の電車旅、遠い……!!しかしこれまでの祭り留学では、こんなにも遠く離れた場所と2回も交流をできていたと思うと、オンラインツアーの便利さを感じます。たっぷりと魅力を感じ、約6時間も離れた場所に行ってみたい!と思わせてくれたわけですし、オンラインツアーってすごいですね……!移動中から楽しみです。
新幹線こまちで秋田駅まで移動した後は、JR男鹿線にて1時間ほどかけ男鹿駅へ向かいます。赤と青のカラーがナマハゲを連想させる男鹿線。余談ですが、男鹿線はなんと蓄電池式で稼働していて、運行していない時は充電しているのだとか。運行本数が少ない理由は充電時間にあったんですね。エコロジーな電車です!
さて、いよいよ男鹿駅に到着!男鹿に着くと、今季初の大雪が振っていました。男鹿において地域を吹く風は、ナマハゲ様の声とされています。雪交じりの風は一体はどんなお気持ちなのでしょう?歓迎してくれているのでしょうか?
オマツリジャパンの菅原さんによる点呼が終わると、ジャンボタクシーの乗り込み15分ほどかけ、第1回・オンラインツアーのあったなまはげ館へ移動することに。山奥へ向かうにつれ、雪はどんどんと激しくなっていきます。
なまはげ館のある地域はどうなっているのでしょう……?
なまはげ問答体験に真山神社!オンラインで出会った方々との再会も!
到着したなまはげ館は、見えている世界すべてが雪化粧を施し、歩くたびに“ミシミシ”と雪が踏み固まっていきます。東京ではなかなか遭遇しない状況ですね。
菅原さんと同じく案内役を務める、オマツリジャパンの大塚さんよりチケットが配られ、いざ入館。
なまはげ館では第1回・第2回と出演していた、男鹿市DMO推進室の佐藤さんもいらっしゃいました。オンラインツアーでお見かけしていたため、初めてお会いしたはずなのに、そんな気がしませんね。
なまはげ館はまさに、ナマハゲ一色の資料館。男鹿地域の解説や、ナマハゲについての映像資料、ナマハゲの伝説についての紹介が展示されていました。
ちなみにこのなまはげ館、男鹿地域の沿岸部で採れる“男鹿石”という固く熱に強い性質を持つ石材でできており、丈夫でありつつも電波の通りが悪いのだとか。第1回祭り留学で映像の調子が悪かったのはこの性質の影響だったのですね。
第1回のオンラインツアーで紹介を受けていた部分ということもあり、参加者の皆さんは思い思い興味のある部分を見ている印象です。限られた時間のなかでも自分の興味を深めて満足を得られると考えると、資料の見方にもオンラインツアーの効果があったように思えます。
なまはげ館の入り口付近には、第1回の際、お怪我をしてしまって出演が叶わなかった、なまはげ面彫師・石川千秋さんの工房がありました。現地体験の日、なんと千秋さんは祭り留学のために特別に出勤してくださったのだそう。ナマハゲ面に調整を加えつつ、参加者の方と交流をしていました。
なまはげ館を奥に進んでいくと見えてきたのは、なまはげ勢揃いのコーナー。第1回祭り留学のメインとなった場所で、たくさんのなまはげが展示されています。ここで待っていたのは、第1回祭り留学・解説をしてくださった太田さん。
以前のようにナマハゲの解説をしてくださった後、参加者からのニッチな質問にも、詳細に回答をしてくださりました。
その後に向かったのはなまはげ問答館。いよいよ、なまはげ問答体験です。この日は土曜日ということもあり人がぎっしり。なまはげの人気が伺い知れますね……!ちなみに検温やアルコール消毒など、感染対策はしっかりされています。
「一度オンラインで見ているから、そこまで新鮮ではないだろうなぁ」と軽く考えていた筆者ですが、それは大きな間違いでした。目の前に集中していると、なまはげが突然、真後ろの戸を叩いたり、見物客の横にまで迫ってきたり。家の主人となまはげのユーモラスなやり取りもあり、現地体験ならではの問答体験ができました。これには大満足です!
ちなみに写真を撮影される方は注意が必要。かなり暗いので、とっさの対応では鮮明に映らないと思った方がいいかもしれません。筆者は惨敗でした。悔しい……。
その後に向かったのは、第2回祭り留学の配信現場となった、真山神社。なまはげ館からは、階段をのぼり徒歩5分ほどで到着します。
積もった雪があたり一面に静寂をもたらし、神聖な雰囲気でした。樹齢1000年越えの御神木もこの通り。
普段は見られない、雪を纏った貴重な姿を見せてくれました。
御神木の前を通り、真山神社の拝殿へ。新規顧客で解説をしていただいたのは、第2回オンラインツアーに出演していた、真山神社の権禰宜・高森さん。お山掛けの登山口や神楽殿、なまはげ柴灯まつり広場など、真山神社とナマハゲに関するさまざまなお話をいただきました。
だまこ汁で温まり、藁細工で盛り上がる 現地の方との交流 里暮らし体験塾
さてこの後は、現地・男鹿ならではの体験ツアー。降り止まぬ雪の中、なまはげ館の近くにある里暮らし体験塾へ向かいます。少しの距離とはいえ、なかなか冷えますね。
里暮らし体験塾は男鹿の古民家を再現しており、囲炉裏や竈門など、時代を感じさせるレトロな設備が設置されています。
今回、里暮らし体験塾で体験していくのは、秋田県男鹿の伝統料理・だまこ汁鍋作りと、ナマハゲの装束にも用いられる男鹿の藁を使った藁細工・リース作り。両方を通じてガイドしてくださるのは、里暮らし体験塾の運営をされている福留さんとお母様です。
まずは秋田県男鹿に伝わる伝統料理・だまこ汁鍋を作る体験からスタート。
だまことは、秋田県の伝統料理で有名なきりたんぽと似たような料理で、きりたんぽとの違いは、丸く、焼かない点にあります。茹で上げることでプリッとした食感になるのが特徴です。
地域の方々はご自身で飼われている比内地鶏や畑で育った作物を使い、前日から時間をかけてだまこ汁鍋をつくっていくそう。今回は福留さんたちに直前までご用意していただき、だまこを作る工程を体験していきました。
だまこを作るのはとっても簡単!炊き上げたお米を、粒がなくならない程度まで潰し、火傷に注意しながら丸めていくだけです。もちろん今回だまこ作りで使うお米は、秋田の誇る最高級のお米・あきたこまち。
参加者はそれぞれお米をつぶしコロコロと丸め、だまこを作り上げていきます。並べてみると大きいのも小さいのもあり、参加者の器用さが問われている様子。
だまこ汁鍋にはほかに、セリ、まいたけ、長ネギ、ごぼうなど香り高い野菜が具材に用いられています。特にセリは、根っこまで入れるのが地元の方々のこだわりなのだとか。
福留さんたちに調理していただき、いざ実食!
食べるイメージのないセリの根っこですが、口に入れてみるとシャキシャキして、とってもいい香りです。茹で上がっただまこのプリッとした食感もあり、味も香りも感触まで楽しい、素敵なお料理でした。あったまる……。
最後に行ったのは、ナマハゲの衣装・藁(ケデ)に用いられる男鹿の藁(わら)を使った藁細工によるリース作り。
この現地ツアーの日が12月ということもあり、お正月に向けて締め飾りを作成してしていきました。なんでも藁は、昔ながらの稲刈りの方法でしか精製されないため、高齢化が進む現在は、体にかかる負担から用意できる量が減っているそう。ナマハゲの衣装も、この体験も貴重なものなんですね……!
三人一組で藁を持ち、作業に向かう参加者の方々。手先の僅かな感覚が求められるため、難易度が高く、苦戦しながら行っているグループもいました。
賑やかな雰囲気で進み、やっとの思いで一つ目のリースが出来上がり!かなりしっかりとしています。
これを人数分繰り返した後は、福留さんとお母様にお願いし、飾りをつけていただき完成です!
第4回は“なまはげ柴灯まつり直前オンラインツアー” 2022年1月14日 18:00スタート!!
さて、次回の祭り留学は、なまはげ柴灯まつりの2週間前にお届けする“なまはげ柴まつり直前オンラインツアー”。
なまはげ文化の継承について、ナマハゲが好きすぎて男鹿に来て現在、柴灯まつりの運営をされている伊藤さん・ナマハゲ行事ができなくなった地域で、ナマハゲ行事を復活させた板橋さん・ナマハゲ愛が止まらず羽立駅前地区のナマハゲ面作りにも携わった大谷さん、3名の若手の視点から意見を交わす、座談会形式でお届けしていきます!もちろん、なまはげ柴灯祭りの見どころもご紹介!密度の濃い90分となりそうですね!
https://matsuriexperience-oga4.peatix.com/view
おわりに
これまでに2回、オンラインで交流のあった男鹿に、足を運ぶ機会となった“祭り留学 第3回・ナマハゲに触れるオンラインツアー”。これまでオンラインで知っていたことでも、現地ならではの、音や振動、迫力、匂い、動きによって、新たな気持ちで体験できました。
何よりもオンラインで交流していて良かったのは、興味のある分野に時間を割ける点。貴重な機会を有意義に使うことができたと感じています。
現地の人々との交流も楽しく、料理やワークショップを通して、いつかまた行きたい!と思える、素晴らしい体験でした。
次回の祭り留学は2022年1月14日(金)開催!興味のある方はぜひ参加してみてくださいね!