2023年2月14日島根県大田市温泉津町の小浜厳島神社で行われた「御日待祭(おひまちさい)」。今年は3年ぶりに、太鼓の音色とともに子供たちが「寝〜たら起こせ、起〜こせ起こせ」と声を出しながら小浜地区をねり歩く姿が見られました。
この記事では、開催レポート本編で伝えきれなかった御日待祭の姿を、未使用ショットとともにお届けします。
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地区の人々で歴史をつなぐ、祭りの思い出の味「物相」
小浜厳島神社横の公民館では、担当地区のお母さんたちが朝からお昼にかけて「物相(もっそう)」の準備をしていました。物相は赤飯ベースで作られる円柱型の小豆ご飯。神事などでのお供えものにもなりますが、今年は3年ぶりに一般参加者にも配られることから1250個の準備に大忙しです。
物相は円柱型の竹筒で小豆ご飯を押し当てて作ります。
番号が書かれている筒を使うことで作っている数がわからなくならないようにしています。
最新器具の追加写真、管理も記録して次世代に繋ぎます。
こういった細かい記載されている木札を残すことが、継承や次世代につながるのだと感じました。
例祭で配られる物相が完成しました。
普段では食べることが少ないので頂くのが楽しみですね。
白米ともち米の分量や炊く回数が細かく記載されていました。
1250個の物相の振り分けメモ。
例祭の直会にて配られる物相。
祭り終わり、物相を手に嬉しそうに笑う女の子。
今年は3年ぶりの完全開催。久しぶりに一般参加者に配る物相作りは大変そうでしたが、嬉しそうに物相を手に持つ地域の方々の姿から、祭りの記憶として思い出に残る味であることを感じ取れました。
床板割のあと、子供たちに渡された小さな注連縄
御日待祭の最も特徴的なシーンの一つが、子供たちが主役の「床板割」です。小浜厳島神社の拝殿で「五郎さんの王子、王子や王子」と叫びながら、飛び跳ねて床板を割ります。床が割れたら、今年の作物が豊作になると言い伝えられています。
レポート本編では床板割のシーンを取り上げましたが、ここからは床板割のあとの様子をお伝えします。
今年も床を割ることができました。割れた床の上に目印を置きます。
畳が同じ位置になおるように。
戻して直会の準備へ。
子供たちは「床板割」の行事を終えた後に境内に集まります。
今回3年ぶりに子供たちに参加してもらったお礼にと当番地区の方が、手作りした茅の輪をじゃんけんで負け上がった二人に授与されました。(人生、負け続けていても いつかは良いことあるよの 気持ちを込めて)
担当地区の方が作った茅の輪、子供たちに喜んでもらうために藁から作りました。
毎年作っているわけではなく、その時の担当地区の方たちが工夫して色々な物を子供たちの喜ぶ顔を想像しながら作成しているとのことです。
小さな茅の輪をもらって喜ぶ男の子、嬉しそうですね、来年も参加したいと意気込んでいました。
明け方、防火を祈って地区に御幣をさして回る
例祭も終わり来年に向けての準備がここから始まります。 御日待祭には地域の火災が成り立ちとなっている歴史があり、「火鎮めの祭」として行われるため、火事がおきないようにと祈りが入っている御幣(※)を明け方に小浜地域の境にさしていくのです。
※御幣は火災を含んだ諸々の災いが当小浜地区に入ってこないようにと立てられるもの。
今年度の御日待祭当番地区自治会長に御弊が手渡されます。
受け取った御幣を大切に持ちます。
小浜境に御弊を立てていきます。
小浜の大火事があった場所を取り囲むように巡回して祈りを込めていきます。
最後の場所に御幣をさすと例祭のすべてが終了します。
本編では子供たちと一般参加者を中心にレポートしてきましたが、この記事では例祭の始まり終わりなど、開催レポート本編で伝えきれなかった姿を写真とともに見ていきました。
小浜地区で行われる例祭「御日待祭」。大人たちの役割と子供たちの役割がある中でも、世代を超えた交流とそれによる一体感があるのが「御日待祭」の魅力だと感じます。
3年ぶりの完全開催にあたって新型コロナウイルス感染症の不安もある中、例祭を大切し、決まりを守りながら参加している皆さんの姿を印象的に感じると同時に、地域の方々ずっと笑顔でいることが次世代への想いをこれからも繋いでいくのだと強く思いました。