こんにちは。どんぐり圭子です。
おめでたい改元があり、元号は「令和」になりましたねー。今日は、2019年7月6日(土)・7月7日(日)に開催される、宮崎県美郷町西郷地区の「御田祭」を紹介するね。
この祭りは、元号「長元」の時に始まった!
宮崎県美郷町(みさとちょう)西郷地区に伝わる御田祭(おんださい)は、なんと!平安時代中期、長元5年(1032年)に始まりました。もうすぐ1000年を迎える伝統行事です。
平安中期と言えば、貴族の藤原氏が天皇にかわって実権を握り、摂関政治を行っていた時代よね。武士は、まだ貴族の用心棒的存在だったのよ。
祭りとは直接関係ないけど、この時の天皇は、後一条天皇。わずか6歳で即位させられたの。そのお母さんは、かの有名な藤原道長(ふじわらのみちなが)の娘で中宮彰子(ちゅうぐうしょうし/ふじわらのあきこ)。そして、彼女の家庭教師が紫式部!ちょっと、すごくなーい?
そんな時代、地方では、国司による税の取り立てが厳しく行われ、人々が住む集落にその中心となる神社が作られていく時期だったようよ。ここ、美郷町西郷地区にも長元5年に田代神社が建てられたの。
御田祭は、神田の代かき、田植えを行い、参詣者の無病息災と豊作を祈願するというもの。古来の稲作神事がしのばれる貴重な民俗行事なの。
米作りに関する年間を通した一連の農耕行事(3月春の節句祭、5月田の神祭り、7月御田祭、9月節句祭、11月刈入竈祓い)として、宮崎県無形民俗文化祭に指定されているのよ。
http://www.miyazaki-archive.jp/d-museum/mch/details/view/2020
祭りの見どころ
神事
標高897.7mの日陰山(別名・権現山)の中腹に田代神社があって、彦火々出見命(ヒコホホデミノミコト・山幸彦)をお祭りしています。祭りの日の朝、少し下の上円野(うえんの)神社で神事を行い、「御堂の坂」の入口でサルタヒコが上に向かって「おーーー」と声を出し、神様を呼び出し、神輿に乗り移ってもらいます。すると、急に神輿が重くなるんだって!!田んぼ道を御神幸行列が練り歩き、途中、「上の宮田」で田植えを行い、次に「中の宮田」で、神様は、年の神神社に移られるの。
そして、神田の田植えが始まるのよ。「下の宮田」は区画整理でなくなってしまったの。個人の田んぼでの田植えは、「神様の田植えと一緒になってはいけない」から、仕事の遅れた家には皆が手伝いに行き、必ず祭りの日まで終わらせていたらしいのよ。
牛馬入れ
何と言ってもこの祭りの人気は、これですね。牛馬が泥をはね上げパワフルに駆け回ります。人馬は一体となり、観客に泥をはねつけます。感謝と祈願のやり方が大変カッコイイのよ。この泥しぶきを浴びると無病息災の御利益があるというから、どっぷりかぶってね。
そして、神田をカメラマンたちが取り囲むという光景も見どころかもしれないね。
神輿
ほほえましい「子ども神輿」と盛り上がる「青年神輿」。神輿に泥をかぶせるわけにはいかないけれど、青年たちは、だんだん高揚してきて、しまいには、人を上にあげるだけの胴上げが始まります。誰にも受け止められず、田んぼに落ちていくのが何とも楽しそうー。
お田植え
100名を超える早乙女たちが、一斉に神田に入って田を植える姿は、うーん、美しいね。希望に満ちているわねー。公募しているから、誰でも参加できるのよ。年齢?若いと思っている人なら何歳でも大丈夫!
花火大会
田植えは雨の時期だから、お天気がいつも心配されるの。でも山間に広がるカラフルな色合いの花火は、1000年も続く現代の祭りの象徴かもね。楽しんでね。
御田祭の関係者にインタビュー
この祭りの実行委員である川村義幸さんと御田祭の馬の乗り手である大野英樹さんにお話を伺いました。ここに登場する「お婆」と「馬」は、どんぐり圭子の分身です。語尾だけちょっぴり宮崎弁!
川村さんは、祭りの実行委員で、代々世襲で「ミヨド」役になる家柄の出身です。ミヨドとは、祭りの世話人のことで、一連の祭りの準備から滞りなく終わるまで伝統にのっとって行うの。家に伝わる話がたくさんあります。祭り会場で見かけたら、ぜひ尋ねてみて、「梅の汁が火事を消した話」とか……!
祭りの運営は、世襲制
「祭りの準備は進んどるか?」
「おう、ばっちり。13年後はいよいよ1000年祭。カウントダウンも、もうすぐやね」
「この祭りは、世襲制だったからここまで続いたっちゃろうね」
「今では、世襲の『ミヨド』8人のうち、3人しか残っとらんけど・・・」
「跡継ぎがおらん時は、分家とか血縁者が頑張ったもんな」
「うちは、ミヨドやったから、御田祭の馬に乗る夢が叶わんかったのが残念じゃったな~」
「そうか。ミヨドなら祭り全般取り仕切るから、大忙しじゃな。私は、逆にこの年になっても早乙女になれと声がかかるっちゃが」
「地域の若者が減ったからね。でも今年は、100人ぐらいの女性が集まっとるっちゃろ?」
「そうだよ。自由参加を募って、衣装も貸して着付けてあげるし」
「早乙女100人、馬の乗り手10人、神輿30人、子ども神輿も世話人も入れて、総勢250名ぐらいやな」
「見に来てくれる人が増えたなあ」
「ありがたいことだ。今年も駐車場2000台分は用意しちょるよ」
「そりゃ、『ウナリ』(赤飯おにぎりを作り、参詣者に配る人・世襲)は大変やな」
「米4斗(60㎏)、アズキ4升(約7㎏)で、800個ぐらい握る予定や」
「まず神様にお供えしてからおさがりを皆で戴く。ありがたいこっちゃ」
「天気予報はどんげね?」
「田植えに雨はつきものじゃが。どうせ泥だらけになるし」
「泥をかぶれば無病息災!」
御田祭の馬の乗り手は憧れの的
大野さんは、御田祭で馬に乗って15年のベテラン。子どものころから尊敬と憧れで見ていた馬の乗り手になって、地元を盛り上げていくことに誇りをもって取り組んでいます。若い乗り手のあこがれの的。馬と心が通じているものだから、他の行事にも参加する馬のひき手として引っ張りだこなんです。
「調子はどんげや?」
「今年は、何人振り落とそうかなって考えちょったとこ」
「おっと、振り落とされてたまるもんか。もう15年も馬に乗ってるんだ」
「平均何回落ちた?」
「うーん、毎回1回かな。一度も落ちなかったときもあるぞ!」
「ほかの祭りと違うところは、落ちたら盛り上がるってことだ」
「お前、俺が初めて乗った時は、全然動かなかったじゃないか」
「初めてのやつが信用できるか」
「俺、いきなりやったんだ。練習無し」
「そうやったとか」
「県外から地元西郷に戻るって決めた年に、馬に乗れって声かけてもらったんだ」
「嬉しかったか」
「そりゃ、馬の乗り手は、憧れの的だ。俺なんかが乗っていのかなーって思ったよ」
「今は?」
「神田の代かきで泥をかけあうのは最高!」
「牛も田に入るだろ」
「牛はすきをつけて代かきだ」
「オレたちは、泥をはねて観客に飛ばす」
「お前たち、出口に向かうときだけは、ものすごいスピードになるのはなぜ?」
「あ、気づいてた?出口に向かって突進だよ!さっさとぬかるみから出ようと思ってさー」
「お前たちが一斉に駆け出すと、先頭になった時が危ないんだよなー」
「先頭を走っていて、もし落ちたら、次の馬に踏んづけられて痛いぞー」
「危ない、危ない。若いやつは、コントロールできんやろうから、その時は、俺が手綱さばきを見せてやる」
「泥で滑って俺から落ちるなよ」
「おう。要はバランスよ!カメラマンの要望にも応えてやるぞ」
「そう言えば、お前、撮られた写真が新聞社の写真展で特選かなんかに選ばれていただろ」
「当然、お前も写っていただろ」
「そう、人馬一体」
「今年は、馬は5頭だが、昔は、馬たちの健康を祈願しに、近隣の農家が飼っている馬を連れてたくさん集まっていたらしいな」
「仲間は減ったが、祭りは続くぞ~」
「お前も怪我すんなよ」
「おう、気合入れて走ろうぜ」
★ みんな、見に来てね! ★
お二人ともインタビューに協力していただき、ありがとうございました。当日が楽しみです!!
皆さん、ぜひ御神田の泥をかぶりに来てね。
祭りのスケジュール
7月6日
前夜祭イベントは、下記で開催
・西郷農村環境改善センター
・ふれあい広場駐車場
・すぱーく西郷
花火大会 20:15~21:00
・葉桜ふれあい公園
7月7日
上円野神社神事 8:00
御神幸行列出発 8:50
牛馬入れ 9:00~10:00随時
豊年神楽奉納 9:00
上の宮田到着 9:20
豊年祈願太鼓 9:40
子ども神輿入れ 10:00
祭典 10:30
牛馬入れ 10:30~11:00随時
青年神輿入れ 11:00
田植え神事 11:25
田植え 11:30
*その他のイベントは、「ふれあい広場駐車場」、「すぱーく西郷」で開催
お食事処とお泊り
西郷地区のお食事は、こちら
http://www.town.miyazaki-misato.lg.jp/3063.htm
美郷町のお泊りは、こちら
http://www.town.miyazaki-misato.lg.jp/2446.htm
会場と問合せ
会場 宮崎県東臼杵郡美郷町西郷田代 御田祭の里ふれあい広場
宮崎市内から車で約2時間
道路コンディションは良好で、大きなくねくね道はありません。
場所はこちら
https://goo.gl/maps/qBP4LogMsdu
お問合せはこちら
美郷町役場 企画情報課 0982‐66‐3603