御頭祭(おんとうさい)は、毎年4月15日に行われている、諏訪大社のお祭です。このお祭は、非常に歴史がある故に、お祭の随所に興味深い点がみられます。ここでは、御頭祭をより楽しんでいただけるように、それらのお祭の特徴をご紹介します。
(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2020年4月9日 編集部更新)
御頭祭の基本情報
●開催日時:2020年4月15日(水)
●場所:諏訪大社 長野県茅野市宮川2030
●駐車場:有り
●最寄り駅:JR茅野駅より約1.2キロ(上社前宮)
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御頭祭の歴史はと成り立ちは?
御頭祭(上社例大祭)は、長野県諏訪市の諏訪大社で鎌倉時代から続くとされている豊穣祈願のお祭になります。上社は「本宮」と「前宮」の二つに分かれていますが、中世まで祭政を行った政庁の場が前宮であったことから、古くから行われてきた神事は、今でも本宮ではなく、前宮の「十間廊(じっけんろう)」で執り行われています。上社の年中行事の中ではもっとも重要とされている御頭祭ですが、歴史の流れの中で形式が変わり、現代のかたちになりました。ではどの点が変化したのでしょうか?
御頭祭の昔と今で変わった点1
前宮の十間廊では現代でも、野菜や果物、肉などをお供えします。また、その供物の中に鹿の頭が含まれていることが、このお祭が「御頭祭」と呼ばれている所以です。ところでこのお供え物の鹿は現在は剥製ですが、かつては、七十五頭の本物の鹿が献じられたこともあるそうです。その中に必ず耳の裂けた鹿があって「高野の耳裂鹿」と言われ、「諏訪大社七不思議」の一つと言われています。
御頭祭の昔と今で変わった点2
かつて御頭祭は、大祝(おおほうり:生き神として大社の神職にまで到達した人)の代理である「神使(おこう)」が、地域を巡って豊作祈願するために、大社から出立する時の儀式とされていました。当時の御頭祭では大祝が十間廊の上段に着座して神事を行っていましたが、明治の「神官世襲制度の廃止」により、大祝や神長官(じんちょうかん)の神職が廃止されてしまいました。そのため、現代の大祝の代役として本宮の御霊代(みたましろ)を前宮に御渡して神事を行うようになったそうです。
御頭祭のみどころ
古式に則って行われているお祭なので、歴史の重みを感じさせるものになります。特に、御霊代を神輿に移して行列になって前宮に向かう際は、雅楽が奏でられ行列になって進みます。その行列は、関係者だけではなく、観光客も加わるため、長さが200メートルほどの人の波は“圧巻”の一言です。
2020年の開催は、4月15日(水)ですが、GWと時期をずらして出掛けることで混雑が回避できますね。首都圏からなら日帰りも可能ですので、興味深い「御頭祭」に合わせて出掛けてみてはいかがでしょうか。