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埼玉県秩父市の<ロケット祭>はスゴい!2023年「秩父吉田の龍勢」は通常開催!秋空にドカンと発射!

minoshimatakako
2023/10/6
2024/2/29
埼玉県秩父市の<ロケット祭>はスゴい!2023年「秩父吉田の龍勢」は通常開催!秋空にドカンと発射!

2023年10月8日、埼玉県秩父市で「秩父吉田の龍勢」が行われます。

神事としてロケットを打ち上げる他に類のないお祭り。この記事では、2022年の現地レポートとともに、2023年の開催情報をお届けします!

観客の心を揺さぶった口上と龍勢

2022年10月9日(日)、新型コロナウイルス感染症の影響で2年間中止されていた「秩父吉田の龍勢(龍勢祭)」が3年ぶりに開催されました。コロナ禍ということもあり、規模が縮小され、ネットでの配信もおこなわれました。

その結果、例年に比べて大幅に観客が減ったとはいえ、どうしても生で龍勢を見たいという多くの人が立ち見限定の会場へ。心揺さぶる熱い口上と3年ぶりに打ち上がる龍勢を見守りました。

打ち上げ本数は17本。「あの花」龍勢も中止に

いつもは夕方までおこなわれる龍勢祭ですが、規模縮小に伴い、打ち上げ本数は17本。昼過ぎには終了というスケジュールに。有料の観覧席、「あの花」龍勢(※アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」に因んだ記念龍勢)、タイ交流事業、出店は中止となりました。

会場内では多くの警備員を配置。訪れた人が密にならないようにと、こまめに声を掛けており、新型コロナウイルス感染対策が手厚くおこなわれていることも伝わってきました。

当日打ち上げられた龍勢は、次の通りです。

(順番、製造流派/奉納者「龍名」)

1、巻雲流/ちちぶ農業協同組合
「朝一番 龍の昇天 分身の術」
2、源流会/埼玉機器(株)&源流会
「カイドウ街道・華の龍勢・源流の星」
3、上蹴翔舞流/株式会社 丸和運輸機関
「いざ行け桃太郎 ~前へ前へ突き進め~」(吉田中学校3年生共同制作落下傘装着)
4、高雲流/セキネ設備
「トイトイとゆかいな仲間たち」
5、翼天飛流/乱龍会
「乱龍の翼」(吉田中学校3年生口上)
6、浅間雲流/関小暮耕地
「世界平和・疫病退散!浅間龍、祈願の舞!!」(吉田小学校寄書落下傘装着)
7、日の本流/上野・釜の上・赤柴耕地
「コロナに負けるな日本 終息を願う日の本の舞」(吉田中学校3年生共同制作落下傘装着)
8、櫻龍会/桜井・小坂下耕地
「櫻龍の舞~平和への願い~」(大田小学校寄書落下傘装着/吉田中学校3年生口上)
9、東雲流/株式会社コウキアース
「夢昇龍 大空に輝く伝統飛行 彩火彩煙の舞」
10、与五郎流/出世頭の会
「コロナに負けるな。」
11、舞天流/久長元区
「龍頭 唐傘 煙火 獅子の舞」
12、貴源雲流/井上若連
「貴源雲流 唐傘の舞」(吉田中学校3年生口上)
13、開祖昇雲流/開祖昇雲流
「輝け! 龍援・星の舞」
14、巻神流/秩父回収資源(株)
「青龍リサイクルの舞、資源を大切に そして平和を」
15、愛火雲流/秩父アニメツーリズム実行委員会
「未来へ繋げ!『アニメの聖地・秩父』」(吉田中学校3年生共同制作落下傘装着/吉田中学校3年生口上)
16、城峰瑞雲流/城峰瑞雲流
「瑞雲に夢をのせて」(吉田中学校3年生口上)
17、秋雲流/有限会社ナカケン
「ナイアガラ 花笠連星 壽の舞」

厳かな火取り式で祭りの無事を祈る

龍勢を奉納する前におこなわれたのが、火取り式です。

本殿内には各流派が奉納した御幣(ごへい:紙垂を竹または木の幣串に挟んだもの)がずらりと並べられており、早朝の神社らしい清々しい雰囲気が一帯に漂います。

本殿に集まったのは、各流派の代表者。式典が始まると、火打ち石を使って龍勢に点火するための火を点します。準備で賑わう境内とは対照的に、本殿内は厳かな空気が流れていました。

式の後には、これから龍勢を奉納する各流派の方々もお参りに訪れ、龍勢祭の無事を祈っていました。

固唾をのんで見守る。緊張の1本目

1本目の龍勢が発射される8時が近づくにつれ、会場内も徐々に人が増えていきます。

そのなか、1本目、2本目の龍勢が発射の櫓(やぐら)へ向けて運ばれていきます。

3年ぶりの龍勢祭。最初の1本は巻雲流「朝一番 龍の昇天 分身の術」(奉納者:ちちぶ農業協同組合)。無事飛ぶのか、どのような龍勢を見せるのか、朝から会場を訪れた人たち全員が固唾をのんで見守るなか「良い龍勢をあげたいと思う」と抱負が述べられました。

続いて口上と「ご奉納」という力強い声とともに、点火された龍勢。口上櫓からは「行け、行けー!」と熱い願いがこめられた掛け声が龍勢に向けて飛ばされます。その声色に詰め込まれた、この2年間、龍勢が飛ばせなかったことへの思いが、会場にいる人たちすべての心にグッと迫ります。

声に後押しされるように、龍勢が高々と空へ飛び出します。会場からは1本目の龍勢の成功と「ようやくこの時が訪れた」という喜びを表現するような盛大な拍手が贈られました。

地元の子どもたちとの繋がりを感じさせる落下傘や口上

その後も、人々の思いがこもった口上と龍勢の発射に、温かな声援と拍手が繰り返されます。

3本目、上蹴翔舞流「いざ行け桃太郎 ~前へ前へ突き進め~」(奉納者:株式会社丸和運輸機関)は、その日最初の吉田中学校3年生共同制作落下傘を装着した龍勢。無事、龍勢が飛び、落下傘が開くと口上櫓から、落下傘を作った子どもたちの名前とともに「落下傘が開いたぞ!」と呼び掛ける声は、大人と子どもの深い交流を想起させ、観客たちの心を打っていました。

また、櫻龍会や翼天飛流は、子どもたちが口上櫓にあがり、大人顔負けの口上を披露。この先、龍勢を盛り上げていく世代が積極的に祭りにかかわっていることを感じさせました。

昼には椋神社の例大祭も開催。市長の挨拶も

午前の部と午後の部の間には、椋神社(むくじんじゃ)で例大祭もおこなわれました。

それまで龍勢で賑わっていた会場に、雅な雅楽の演奏が流れます。龍勢を見ていた人たちも本殿に集まり、例大祭の様子を見守りました。

午後の部が始まる前には、口上櫓にて北堀篤秩父市長の挨拶もあり、「来年に向けても龍勢を繋げていく決意でございます」とこれからの抱負を述べていました。

龍勢師も龍勢サポーターズも大活躍! 参加者たちの思い

龍勢祭に欠かせない存在のひとつ「龍勢サポーターズ」の皆さんも、会場で八面六臂の大活躍。

当日の様子を記録に収めたり、龍勢について紹介するブースを運営したりと、忙しく活動されていました。

サポーターのひとりである小橋さんは「この会場で一番楽しんでいるのは僕です!」とかなりハイテンション!「3年前から、いつあげられるだろうという状態でした。でも保存会の皆さんや龍勢師の皆さんが話し合い、ここまでたどり着けたことを思うと感慨深い」と話していました。

愛火雲流が作り、秩父アニメツーリズム実行委員会が奉納した龍勢のタイトルは「未来へ繋げ!『アニメの聖地・秩父』」。空高く飛び上がりましたが、残念ながら特別に仕込んでいた吉田中学校3年生共同制作落下傘と黄色い落下傘は開かず。しかし、会場は暖かい拍手に包まれました。

口上櫓を降りてきた龍勢師の竹内裕さんは、「3年ぶりで『あげたい』という気持ちはあったけど、例年よりお客さんも少なくて盛り上がりきらないところもある。何より、落下傘が開かなかったことが悔しい」と、ほかの流派に「良かった」と声を掛けられながらも悔しい表情。またコロナ禍での龍勢作りについては「定期的に集まることができなかったし、集まろうと声も掛けづらい状況だった。マスクをしながらの作業というのも辛かった」と振り返っていました。

最後まで大盛況のなか、龍勢祭は終了

落下傘が予定通り開かないこともチラホラあったものの、無事17本目まで空高く舞い上がることができた2022年の龍勢祭。そこには、龍勢を作る龍勢師だけでなく、地域の子どもたち、企業、龍勢を愛する人たちと、多くの人の龍勢に懸ける思いが詰まっており、目に見えない絆の架け橋になっていることを感じさせてくれました。

来年こそは、再び多くの人たちに直接見守られながら行えることを祈っています。

2023年の開催情報!

日時:2023年10月8日(日)8:40開始、27本打ち上げ次第終了(16:00頃)

場所:椋神社(埼玉県秩父市下吉田7377)周辺

アクセス:

鉄道:西武秩父駅下車。臨時バス「龍勢会館行」にて終点下車。龍勢会館より祭り会場まで徒歩約10分。

※観覧桟敷席チケットの当日販売はありません。

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