10月13日は「さつまいもの日」です!
さつまいもは、江戸時代に「十三里」と呼ばれていました。それは一体なぜなのでしょう?本記事では、さつまいもにまつわる豆知識やさつまいも神社や祭について紹介します。
なぜ10月13日が「さつまいもの日」?
1989年に川越いも友の会によって、10月13日は「さつまいもの日」に制定されました。制定日は、さつまいもの表記と味、収穫時期に由来しています。
江戸時代において、さつまいもはクリ(九里)に似たおいしさであることから「八里半」との売り出し文句がつけられていたようです。
しかし、さつまいもの味が広まるにつれ、これはクリより美味しいぞと評価されるようになったといいます。そしてさつまいもの産地・川越(埼玉県)は、江戸日本橋から約十三里の距離にあったため、「クリ(九里)より(四里)うまい十三里」と表されるようになったのです。
さつまいもの歴史
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さつまいもは、南米の中央アンデス地方を発祥の地として、ヨーロッパや東南アジア、中国へ伝わっていきました。
日本へは、約400年前に中国と琉球王国の交易船の事務長である「野國總管(役職名)」が、沖縄へ持ち帰ったのが最初とされています。それから約100年後の1705年、薩摩の船乗りだった前田利右衛門が琉球から鹿児島へさつまいもを伝えました。鹿児島ではさつまいものことを「リュウキュウイモ」と呼んでいたそうです。
両者の願いは、荒れた土地でも育ち、天候不順にも強いさつまいもで、故郷の人々を飢饉から救いたいということ。野國總管も前田利右衛門も地元で神様として祀られています。
野國總管宮と野國總管祭り
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さつまいもを持ち帰った野國總管は名前を与那覇松(ヨナハマチュー)と伝わり、現在の嘉手納町付近の出身だったそうです。嘉手納町の野國總管宮で行われている野國總管祭りでは、芋掘り競争などさつまいもに因んだイベントの他、音楽ライブなども行われます。
2023年は9月30日・10月1日に開催されました。
前田利右衛門と徳光神社
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薩摩国は火山灰の土壌で水はけがよく稲作に向かず、台風もよく通るため、たびたび農作物の被害を受けていました。前田利右衛門の持ち帰ったさつまいもは薩摩の人々に大変喜ばれ、利右衛門は芋神様として指宿市の徳光神社に祀られています。
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さつまいもの重量競争などが行われる利右衛門祭りも毎年行われているそうです。
さつまいもにまつわるお祭り・神社はいっぱいある!
【今日の墓碑銘】
1769年11月9日。青木昆陽が死去。江戸中期の儒学者・蘭学者。初め伊藤東涯に師事し江戸で私塾を開いた。救荒食物としてのサツマイモ普及に尽力したことから「甘藷先生」と呼ばれる。またオランダ語の習得にも努め『和蘭文字略考』などを著した
(71歳・インフルエンザ) #生寄死帰 pic.twitter.com/g2tgDC0Spu— 義視 (@kamo1868) November 8, 2018
さつまいもを語る上で欠かせない人物が青木昆陽です。彼はさつまいの栽培とその普及活動を行い、飢餓から人々を救った「甘薯(さつまいも)先生」として尊敬を集めました。
昆陽は、京都で勉学中にさつまいもが天候不順や土地不良にも強い作物であることを知り、研究を始めます。折しも1732年、江戸三大飢饉の一つ「享保の大飢饉」の際、徳川将軍・吉宗にその意見を認められ、関東一円から伊豆七島まで各所でさつまいも栽培を奨励し、飢饉への備えとした人物です。
目黒不動尊甘藷まつり(東京都目黒区)
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青木昆陽の墓がある東京都目黒区の目黒不動尊では、昆陽を偲ぶため毎年10月28日に「甘藷まつり」が行われます。
祭り当日は、さつまいもを味わえる屋台なども多数出展する賑やかなお祭りです。
日時:2023年10月28日(土)11:00~21:00ごろ
場所:目黒不動尊(瀧泉寺)(目黒区下目黒3丁目20-26)
昆陽神社(千葉県千葉市)
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青木昆陽が、初めてさつまいもの栽培に成功した地である幕張。昆陽神社は昆陽を祀るためにここに建立された神社です。
境内には火の神様も祀られているため、社殿は2つあります。右側の社殿が青木昆陽を祀るものです。また、神社の付近には、江戸時代にさつまいもが作付けされた場所が保存されています。
江戸時代、さつまいもがブームに?
さつまいもは18世紀に江戸の市場に現れた当初は珍品で、高価な贈答品としてもてはやされたそうですが、あっという間に庶民の味になります。そして、18世紀末、さつまいも商売に革命が起きます。
焼き芋の登場です。高温でじっくり焼くと甘くなる、というさつまいもの特性が発見され、焼き芋の味が女性と子供を中心に圧倒的な支持を受けたそうです。
江戸で起こった焼き芋ブーム
当時、さつまいもの一大産地となった川越藩から江戸に「川越いも」が運ばれてくるようになり、江戸八百八町どの町にも焼き芋屋があったそうです。江戸の町の出入り口には「番太郎」という門番が立っており、彼らがみんな内職として焼き芋屋をやるようになったからだと言われています。やがて4〜5個の焼きがまを持つ専門店も出て、町には「丸焼き十三里」の立て看板が立ち並びました。
面白いのが、当時の焼き芋は冬期間のみ売られており、焼き芋屋は、夏になると一斉にかき氷屋になったそうです。明治になってもそのような光景があったようで、夏目漱石が『それから』の中で描写しています。
イモは時代を超えて〜平成・令和に「いも神社」建立
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江戸期の第1次ブーム、明治期の人口急増時にもさつまいも人気が高まり(第2次ブーム)、戦後にリヤカー、軽トラで石焼き芋を売る商売が広まった頃(第3次ブーム)と、渡来以来、日本人の暮らしに寄り添ってきたさつまいも。近年になっても芋を敬う心は失われていません。
埼玉県所沢市にある神明社では、地域でのさつまいも栽培255周年を記念して、2006(平成18)年に境内に「いも神社」が建立されました。くだんの「川越いも」の産地である川越藩は、現在の川越市だけでなく、所沢市、狭山市など周辺を含む地域でした。
このいも神社は「川越いも」の栽培を始めた吉田弥右衛門と青木昆陽を「甘藷之神」として祀っています。
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一方、茨城県ひたちなか市にある掘出神社の境内には、2019年に「ほしいも神社」が建立されました。明治期以来、那珂地域は「干し芋」の産地として知られています。「ほしいも神社」は、干し芋にかけて「ほしいもの」が全て手に入る、という御神徳を得られるとして話題です。
黄金の鳥居など斬新なデザインには、著名なアートディレクターによる設計が取り入れられています。
時は第4次焼き芋ブーム!いもを味わうフードフェス3選!
2003年から現在にかけては、第4次焼き芋ブームと言われています。スーパーの店頭などで見かける自動焼き芋オーブンが登場したことに加え、健康志向の高まり、そして安納芋といったねっとり甘い品種が注目されるなどがきっかけとなり、今日では焼き芋系のスイーツなどが人気になっているほか、各地でさつまいもをテーマとしたフードフェスも盛況です。
代表的なフードフェスとしては、下記の3つがあります。
おいもEXPO(大阪府)
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大阪の万博記念公園で開催される、日本最大級のお芋の祭典です。多種多様なお芋料理が味わえるフェスとなります。2023年は、11月17日(金)~19日(日曜日)で開催予定です。
おいも万博(神奈川県・愛知県・大阪府)
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2県1府にわたり開催されるさつまもフェスです。各会場には全国から数十店舗のお芋屋さんが集結し、様々なさつまいもグルメを堪能できます。
各地域における開催は、下記の通りです。
【横浜おいも万博】
開催場所:横浜赤レンガ倉庫
開催日時:2023年10月20日(金)~10月22日(日)
【関西おいも万博】
開催場所:カンテレ扇町スクエア(関西テレビ放送1階)
開催日時:2023年11月2日(木)~11月5日(日)
【愛知おいも万博】
開催場所:マイアミ(名古屋三越栄店屋上)
開催日時:2023年11月23日(木)~11月26日(日)
さつまいも博(東京都・埼玉県)
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さつまいも博は、夏と冬に開催されるおいもフェスです。夜には「夜のさつまいも博」と称して、数十種類のお酒が飲み放題できるイベントも開催しています。
2023年は、2月に埼玉県のさいたまスーパーアリーナで、8月に東京都の新宿住友ビルで開催されました。
まとめ
秋の味覚の代表格とも言える「さつまいも」。甘くてほくほくとした食感が特徴ですが、栄養面でも優れており、ビタミンCやビタミンE、カリウム、ミネラルなどが豊富に含まれています。秋のお出かけには、さつまいものトリビアに触れながら旬の味のおいしさを堪能してみてはいかがでしょうか。