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あの泉州音頭がまた関東に襲来! 「センシュウ・ナイト・ヨコハマ」イベントレポート

あの泉州音頭がまた関東に襲来! 「センシュウ・ナイト・ヨコハマ」イベントレポート

2021年5月29日(土)に神奈川県横浜市で開催された盆踊りイベント「センシュウ・ナイト・ヨコハマ」。大阪のご当地盆踊り「泉州音頭」を演じる音頭取り団体「宝龍会」が関東にやってくるのは、2019年3月に東京都墨田区で開催された「泉州ナイト」以来、2度目! 万全の感染症対策を講じて開催されたその模様をレポートします。

写真提供=センシュウ・ナイト・ヨコハマ

2019年の泉州ナイトレポートはこちらから

大阪からやつらが再び

昨年からの新型コロナウイルス感染症の影響で、盆踊りをはじめ、全国各地でお祭りが中止・延期となっています。イベント全般の開催が難しくなっている状況ですが、そんな中でも、規模を縮小したり、オンライン開催に転じたりするなど、感染対策を施しながら少しずつ、盆踊りも復活の試みが行われています。

「センシュウ・ナイト・ヨコハマ」でも、大阪からやってくる音頭取りたちが事前にコロナの検査をしたり、人が密になりやすい公共交通機関を避けて車で大阪からやってきたりするなど、細心の注意をはらいながら、開催へとこぎつけました。また、今回のイベントは「横浜市文化芸術公演等支援事業」の支援を受けています。

音頭取りたちも人数を絞って、厳選されたメンバーで大阪からやってきました

イベントの会場となったYokohama B.B.street

会場の設営が進みます。ライブハウスの環境を利用しつつ、搬入・セッティングまで少人数でこなしてしまう「宝龍会」! 呼ばれればどこでも「出張音頭」をやるそうです

イベントレポートの前に、「そもそも音頭取りって何?」という方に解説しますと、その名の通り「音頭を取る人」。つまり、盆踊りの歌を唄う人のことです。レコードやCDといった音楽媒体が普及する以前は、日本の盆踊りはすべて生歌・生演奏で踊られていました。こんにちでも全国各地に生歌・生演奏で踊られる盆踊りは残っていますが、大阪は「生音頭」のメッカ! たくさんの音頭取りたちや、彼らが所属するさまざまな会派が存在し、大阪府下のさまざまな盆踊り会場を巡回して自慢の歌声を披露しています。

今回、横浜にやってくる「宝龍会」も、数々ある会派の1つ。大阪で有名な音頭といえば、河内音頭や江州音頭がありますが、「宝龍会」は大阪の南部に伝わる「泉州音頭」を専門としており、古くからの地元盆踊りの形式にこだわった活動を続けています。東京ではめったに踊る機会のない泉州音頭に触れられる貴重なチャンス! 興奮が昂まります。

開始早々、ボルテージは最高潮に!

開演時間の16時30分に、予定通りイベントがスタート!

今回舞台に立つのは、宝龍会のメンバー6人と、さらにゲストとして、東京で活動する江州音頭の会「モノガタリ宇宙の会」のメンバー2人も出演します。

トップバッターを飾った宝龍会会長の弘若に続き、登場した宝龍弘承。音頭取りの目の前には透明の仕切りを置いて、飛沫を防いでいます

ライブハウスというだけに、音響のクオリティは抜群! 音頭取りの歌声に、五臓六腑に響く深い太鼓の音が重なり、序盤からダンスフロアのテンションは最高潮に盛り上がります。太鼓と鉦と音頭というシンプルな構成だからこその、底から次あげるような強い「ノリ」に踊り子たちが乗せられていきます。

2番手に登場したのが、ニューフェイスの宝龍弘稀。東京在住ながら、大阪に遠征して宝龍会のイベントに参加していたら、いつの間にか会に入門していたという豪の者です

宝龍会がこだわる昔ながらの盆踊りの形式というのが、複数の音頭取りが「ノンストップ」で歌を引き継いでいく「マイクリレー」スタイル。歌い終えるごとに演奏を止めるのではなく、ノータイムで次の音頭取りが登場し歌を繋いでいくことで、場がダレることがなく、グルーヴ感がそのまま継続していきます。ただ、ダンスフロアの熱量をキープできるかどうかは、音頭取りの技量次第! その腕が問われます。

続いて登場したのが、モノガタリ宇宙の会・宇宙軒梅ぼし。傍で合いの手をつとめるのが宇宙軒明星。泉州音頭から江州音頭への見事なマイクリレー! もちろんノンストップでの連携です。

会場を沸かす巧みな音頭に、ご祝儀が飛び交う!

泉州音頭の楽しみは、音頭に合わせて踊ることだけではありません。音頭の内容に耳を傾けるのもまた一興です。基本的に泉州音頭で唄われる歌詞は、七・七調の「口説き」と呼ばれる物語で、その題材(外題)は「八百屋お七」「娘巡礼」「石童丸」「平井権八」「鈴木主水」「高田馬場の決闘」などなど、落語や講談の演目のようにたくさん存在します。古くは江戸時代頃から庶民を熱狂させてきた超ロングセラーの物語を、踊りながらじっくりと楽しむのもいいでしょう。

会長自らの太鼓で音頭を取る宝龍弘和。ちなみに音頭取りの前に垂れるのは「幕」と呼ばれるもので、所属する会派と名前が大きく書かれています。師匠から一人前と認められると、音頭取りは自分の「幕」を所有することができるのです

ステージ(ヤグラ)の上に立つ音頭取りには踊り子たちから「御花」と呼ばれる祝儀がわたされます。要は「投げ銭」、いまでいう「スーパーチャット」のようなもので、お金を入れた封筒に自分の名前を書いて渡すと、音頭の最後に読み上げてくれます。自分の応援したい“推し”音頭取りへの応援の気持ちをカタチで示す、なんとも粋なカルチャーです。この日も、各音頭取りにバンバンと「御花」が上がっていました!

これが「御花」だ!(名前の部分にモザイクをかけています)

宇宙軒明星。冒頭で横浜開催にかけて、『ブルー・ライト・ヨコハマ』を披露するという粋な演出!

通称“麺屋”、“なっちゃん”こと宝龍弘義

手元に並ぶ大量の「御花」を読み上げる宝龍弘丸

大トリに登場したのが宝龍会会長の宝龍弘若師匠! 寒稽古(1月20日前後の大寒から2月末くらいまで池や海で叫びながら声を鍛える、昔ながらの稽古)で鍛えた自慢の喉で、大団円に向け一層会場の空気を盛り上げます!

最後は、「泉州伊勢音頭」(泉州音頭の最後にかかるおめでたい唄)で、参加者全員で扇子を振りながら、千秋楽を迎えます。大盛り上がりのまま、イベント終了。お疲れ様でした!

コロナ禍における盆踊りイベントの在り方も示す結果に

徹底した感染症対策のおかげもあってか、イベント開始から2週間が経過した段階で、幸いにもイベント参加者からのコロナ感染者が出たという報告はなく、これをもって主催者側からも「イベント成功」のメッセージをSNSにて発信。

まだまだ新型コロナウイルス感染症の猛威は全世界で衰えず、2021年のお祭りや盆踊りも続々と中止・延期のニュースが飛び交っていますが、そんな中でも、伝統文化を絶やさないために、全国各地の人々が創意工夫を凝らして模索を続けています。今回の「センシュウ・ナイト・ヨコハマ」も、コロナ禍での盆踊りイベント開催の1つのヒントを示してくれたのかもしれません。

今年も本場泉州での盆踊り開催は厳しい状況ではあるようですが、来年こそは思う存分、盆踊りのヤグラの下で踊りたいですよね!

当日配信のアーカイブ映像はこちら!

オマツリジャパン編集部
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
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