Now Loading...

南大阪のディープ盆踊り「泉州音頭」が東京を席巻! 前代未聞のスケールで開催された音頭イベント「泉州ナイト」徹底レポート

更新日:2019/6/13 小野 和哉
南大阪のディープ盆踊り「泉州音頭」が東京を席巻! 前代未聞のスケールで開催された音頭イベント「泉州ナイト」徹底レポート

2019年3月16日、墨田区本所BIG SHIPにて開催された、泉州音頭の東京上陸イベント、「泉州ナイト」の模様を主催者の目線からレポートします。大阪から音頭取り10名以上を招いて、南大阪のローカル盆踊りナンバー「泉州音頭」で踊るという前代未聞の音頭大会でしたが、なんと200名近くのお客さんが殺到するという大盛況とあいなりました!  伝説となった一夜を追体験してください。

<参考記事>
東京イベント開催記念! 大阪のディープサウスで人々を熱狂させる盆踊り「泉州音頭」とは何なのか!? 実際の音頭取りに聞いてみた

【前編】
https://omatsurijapan.com/blog/senshuondo-2019-01/

【後編】
https://omatsurijapan.com/blog/senshuondo-2019-02/

書き手=小野和哉(泉州ナイト2019実行委員会) 写真=sui_so_sui(泉州ナイト2019実行委員会)

 

泉州ナイト

 

ついに…

 

 

 

ついに、やつらが東京に来た!

 

そうなんです。ついに、「泉州音頭」が東京に上陸したのです!

昨年(2018年)の12月頃から、東京サイドの実行員会と、地元大阪の音頭取りの皆さんと連携しながら進めてきたこのイベント。主催メンバーは全員イベントの素人、かつ現地から10名以上の音頭取りを迎えるという、ちょっと素人じゃ手に負えないくらいのスケール感。かなりテンパりながらも、ようやく当日を迎えました。さて、イベントはどのような感じだったのか。振り返っていきましょう!

 

当日の模様はこちらの動画から!

 

大阪から音頭取りご一行が到着

 

 

今回、イベントで音頭を取っていただく「泉州音頭 宝龍会」の皆さんは、朝早くの新幹線に乗り、昼過ぎに東京上陸。気持ちが勇むのか、集合予定時間の数時間前に会場入り!

 

 

イベントスペースとなる多目的ホールが開くまで待機の時間。踊りの復習などをしていると、外から雨音が聞こえて来て、集客を心配する実行員会メンバーの心に暗雲が立ち込めましたが、しばらくすると晴れ間が見えてきました。よかった!

 

会場隅にささやかながらの櫓?を設置。ここで音頭取りたちの熱いマイクリレーが繰り広げられます

 

音頭取りたちが師匠からお許しが出ると、自分の幕を持てます。自分が音頭を取る時は、この幕を櫓に垂らして「俺だ!」と己をアッピール

 

存在感しかない、会場入り口

 

物販スペースでは宝龍会特製の手ぬぐいとタオルを販売

 

踊り子さんが音頭に合わせて、合いの手を入れられるように貼り紙を作成

 

スタッフ入りとともに、テキパキと進められる会場設営。普段から地元でゼロベースでのお祭り設営をやられているという音頭取りの皆さんだけあって、尋常ではない速度でセッティングを進めていきます。お祭り男たちの底力を知る……。

 

そして、あれよあれよという間に開場の時間に。先ほどまで雨が降っていたにもかかわらず、続々とお客さんがやって来ます。アワワと慌てていたら、いつの間にかイベント開始の時間を迎えていました。

 

「これから何が起こるんだ!?」というスリリングが緊張感の中、宝龍会広報担当の弘丸さんの挨拶で音頭大会がスタート。伝説の始まり

 

ディープサウス節炸裂で会場早くも熱狂

開幕を切るのは、弘承さん。普段は太鼓を打っていますが、もちろん唄います

 

実行委員会メンバーが踊りを先導。踊りの輪が少しずつ広がっていきます。GET UP & DANCE !!!!!

 

泉州音頭の地元では、音頭取りたちがノンストップで入れ替わり立ち替わり櫓の上に立って音頭をとるというスタイルが本場流です。つまり音頭が止まらずに、何時間も延々と唄と踊りが続きます。なので、踊り子が疲れたり、下手な音頭だとサイアク踊り子がいなくなるなど、必然的にダレる時間ができるのですが、時間が経つと息を吹き返したかのように、盛り上がりがやってきます。盆踊り会場の熱量がまるで一つの生き物のように移りゆくダイナミズムが、泉州音頭の魅力。その空気感を再現しようと、泉州ナイトもノンストップで音頭取りが次々とステージに上がります!

 

激渋な唸りを披露する弘竹さん

 

ハスキーボイスで啖呵をきる弘和さん

 

徐々に温まってくる踊り場!

 

踊り場を盛り上げてくれたのは、音頭取りだけではない! 料理とお酒で出店いただいた井の頭ナムチャイさん。会場の熱気も相まってか、ものすごい勢いでビールがはけていました

 

さらに今回は、出張バーテンダーも出店。本イベント用の特製カクテルもご用意いただきました

 

ガパオライスとカクテルでチルアウトする、オマツリジャパンの加藤さん。練習会会場のお貸し出しなど、色々とお世話になりました

 

飲み比べセットも大好評!

 

宝龍会の踊り担当・弘駒さん

 

根っからの商売人のこと弘義さん

 

会長の命によってトレードマークのタンクトップが封印された弘承さん。しかし、その太鼓さばきは東京でも冴え渡る!

 

踊り子たちのあふれる笑顔

 

左上から時計回りで、弘秀さん、弘幸さん、弘丸さん、スペシャルゲストの白龍会 玉三郎師匠

 

ラストは「泉州伊勢音頭」で興奮のるつぼに

地元「泉州」のお祭りの櫓の雰囲気をできる限り東京でも再現したい、その1つの要素として今回「御花」システムを導入しました。

「御花」とは、自分の応援したい音頭取りにお金でその気持ちを示すというシステム。

 

ご祝儀袋にお金を入れて自分の名前を書くと、音頭取りが唄の最後で感謝の言葉とともに名前を読み上げてくれます

 

御花が上がると音頭取りのテンションが上がって、会場も盛り上がります!

 

会長とは長年の盟友であるという光若さん

 

そして、3時間ノンストップのクライマックスを飾るのは、宝龍会会長の宝龍弘若師匠!

 

 

「幡随院長兵衛」からの、キラーチューン「泉州伊勢音頭」へとなだれ込んでいきます。泉州音頭のお約束として、最後はおめでたい「泉州音頭」で締めるという慣習があります。これまで壇上に立った音頭取りたちが揃い踏みで、扇を振りながら合唱します。

 

最高潮を迎える踊り会場!

 

「最後は絶対盛り上げるで」と意気込んでいた宝龍会の皆さんでしたが、その言葉通りの大団円! ノンストップだからこそ、迎えたクライマックスは最高潮の盛り上がりとなりました。まさに、これが泉州音頭! ここはお江戸か、はたまた泉州か。東京にいることを忘れるほど、大阪の熱い気配に満ちた時間と空間になったのでした。

 

これからも「泉州音頭」に熱い注目を!

さて、ここからは実行委員会のメンバーでもある筆者の個人的な想いを綴らせていただきます。

イベント直後は放心状態でしたが、数ヶ月経ってようやくイベントレポートの筆をとることができました。それだけ、実行委員会メンバーにとっても大きなイベントでした。果たして「泉州ナイト」とはなんだったのか? 結果的に、200名近くのお客様に来ていただき、その後も様々場所で「イベントに行ったよ」と言っていただき、大成功であったことは間違いないようです。

河内音頭や江州音頭と比べると、まだ東京での知名度は低い泉州音頭。「東京に泉州音頭を知らしめる」、まさにその第一歩となるイベントにはなった自負はありますが、それでも地元においても、かつて人々を熱狂させた泉州の盆踊り文化は忘れ去られつつあるようで……。音頭取りの皆さんも、1つのテーマとして「大阪で泉州音頭を盛り上げたい」という想いを以前から語られておりました。そして、そのためには外部からの応援や盛り上がりが必要であるとも。

大阪に限らず、そこに住まわれている方こそ、地元の文化の価値に気づいていないという傾向は多く見受けられます。それはある意味でいたし方のないことでもあり、同時に外部の人間ができる伝統文化への大きなサポートの1つが「祭りをとことん楽しむ、盛り上げる」ということなんだと思います。

「泉州ナイト」も、そういった外部からの応援の一助になったのであれば、実行委員会の一人として大変嬉しく思います。そして、その盛り上がりを大阪にも伝えるべく、このイベントレポートを書かせていただきました。

 

さて、今回のイベントで泉州音頭の魅力に気づいてしまった方は、ぜひ地元泉州で開催される盆踊り大会にも参加していただければと思います。宝龍会さんのSNSアカウントで情報を発信しているので、ぜひチェックをば!

 

宝龍会 Twitterアカウント
宝龍会 Facebookアカウント

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
東京在住のライター/編集者。千葉県船橋市出身。2012年に佃島の盆踊りに参加して衝撃を受け、盆踊りにハマる。盆踊りをはじめ、祭り、郷土芸能、民謡、民俗学、地域などに興味があります。共著に『今日も盆踊り』(タバブックス)。
連絡先:[email protected]
Twitter:koi_dou
https://note.com/kazuono

オマツリジャパン オフィシャルSNS

あわせて読みたい記事