節分はもともと、平安時代の疫病を追い払う風習である、「追儺」が起源と言われております。この時代に疫病の象徴として鬼が用いられたわけですが、豆まき自体はもう少し後の、室町時代に中国の風習が日本に伝わり、定着したと言われております。この二つの風習が時代と共に融合し、現在の形を取ったわけです。
しかしこの節分の風習は、実は日本の中でも完全に統一されているわけではありません。今回は、節分のユニークなやり方をいくつかピックアップして紹介していきます。
節分に撒く豆も地域毎に違う?
皆さんは節分に何を撒きますか?多くの方は煎った大豆を撒くとお答えするかと思います。しかし、九州地方の一部の地域では、大豆ではなく落花生を撒くそうです。
なんでも、鹿児島と広島の産地周辺では落花生を使用するらしく、これは伝統的な由来があるのではなく、生産量の多さから落花生を使用するようになったようですね。
面白いことに、東北や北海道でも落花生を豆まきに用いるようです。こちらは落花生の生産量などに関わらず、散らからないことや、撒いた後も食べることが出来るといった、便宜的な理由からのようですね。
そもそも豆まきをしない地域も…
節分に豆まきをすることを大前提に紹介してきましたが、実は一部地域では豆まきそのものをしないらしいのです。
その地域というのが、沖縄と北陸地方(富山、石川、福井)です。冒頭で紹介した通り、その起源がかなり古いことからも、沖縄にこの風習が根付いていないことは納得が出来ますが、北陸地方に関しては意外ですね。
北陸地方で豆まきをしない家庭が多い理由に関しては、一説によると、浄土真宗の方の多い地域であることがその一つとして挙げられるようです。
四国では節分に○○を食べる?
伝統的には、節分には鰯と柊を飾ると言われておりますが、近年ではもっぱら恵方巻を食べるのが一般的となってきましたね。
そんな中、四国地方を中心に、節分に蒟蒻を食べる地域があるそうです。この、節分に蒟蒻を食べることを「砂おろし」と言うそうです。「砂おろし」とは、身体の中の毒素を排出することを指しており、節分の本来の目的である、疫病を追い払うことと同じような効果をもたらすものとして食されていたようですね。実はこの行事食は、節分の時に加えて、正月などにも食されるようですよ。
掛け声も地域によって違う?
最も一般的な掛け声は「鬼は外、福は内」なのではないでしょうか。こちらに関しても、地域によって異なる掛け声をするところがあるようです。
まず、千葉県成田市の成田山新勝寺では、不動明王を祀っているため、鬼はそこにはいないことから「福は内、福は内」と声をかけるそうです。
次に、奈良県吉野郡吉野町の金峯山寺蔵王堂では「福は内、鬼も内」と声をかけるそうです。「鬼も入れちゃまずいんじゃ…」と思いますが、これは鬼をも改心させるということから、受け入れるそうです。なんだかすごく懐が深いですね。
最後に番外編として地域というよりも一族なのですが、紀州熊野の熊野本宮宮司の九鬼家では「福は内、神は内」と声かけするそうです。お名前に鬼がついていることがその理由らしいのですが、鬼塚さんなど、他の鬼のつく一族の方もこのように声をかけるのでしょうかね。
いかがでしたでしょうか?他にも沢山のユニークな風習が存在するのですが、紙幅の関係上、一部のみを紹介させていただきました。
近年では節分といえば豆まきに加え、関西から始まった「恵方巻」がフォーカスされがちですが、実は多種多様です。出身地域が異なる人に出会った時には、どんな節分をしていたか聞いてみると面白いかもしれませんね。