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獅子頭は100万円で作れる!?地域が愛する宝物の裏側に迫る

更新日:2020/5/29 いなむ
獅子頭は100万円で作れる!?地域が愛する宝物の裏側に迫る

獅子頭と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?獅子舞に使われる道具だというのはご存知かもしれませんが、デザインの意味、製作工程、資金集めなどについて知っているという方は少ないでしょう。この記事では、地域が愛する宝物「獅子頭」の裏側に迫ります。記事を読み終えた頃には、獅子頭により一層愛着を感じられるようになるかもしれません。

1.獅子頭って何?

獅子頭は獅子舞に使われる小道具の一種で、一説によればライオンをモチーフにしています。日本にはライオンがいないため、日本の獅子頭はインドや中国の影響を強く受けているようです。獅子はインドで紀元前3世紀に仏教を広める石柱に掘られました。それが中国で仮面舞踊に取り入れられ、朝鮮半島を経由して日本に伝わったと言われています。

日本最古の獅子頭は奈良県の正倉院に納められており、752年の東大寺大仏開眼の際に使われたという説が有力です。それ以降、日本国内でも「厄を食べて幸せを招く」として、現在に至るまで日本全国多くの地域に広まりました。獅子舞は、日本で最も数が多い民俗芸能と言われています。

2.獅子頭のデザインの意味

獅子舞の模様には様々な意味が込められており、とても奥が深いです。石川県加賀市黒崎町の獅子頭を例に見てみましょう。ライオンのたてがみを連想させる渦巻きのような模様は「雲、火炎、魂」を意味します。

頭の頂点から前側へ垂れる髪の毛をシュンガと呼び、馬の毛などを使うのが一般的です。場所によってはなんと、この髪を整えるためのヘアスプレーを持っている地区もあります。髪の毛は紺(黒)と白で構成されていることが多く、呼吸を合わせるという意味があるようです。決して、白髪混じりという意味ではありません。

その他にも、意味は様々。黒い目の球を囲むように黒い円が描かれている場合は、蛇の目と呼びます。これは石川県加賀市の中でも富山県由来の獅子頭で多く見られる特徴です。このように、獅子頭には地域特有のデザインもあります。

ところで、最近はコロナウイルスまん延の影響で自宅で過ごすことも多いでしょう。上の写真のように、獅子頭の絵を描いてみるのも良いかもしれません。絵を描くと細かいデザインを意識するようになり、獅子頭に対してより興味が湧いてきます。

3.獅子頭の裏側に隠された秘密

獅子頭の中も覗いてみましょう。獅子頭の中には脳みそがあるの?と思いきや、決してそのようなことはありません。獅子舞の持ち手がT字型に組まれています。獅子舞を舞う時には、この持ち手を持って踊るのです。地域によっては、一本の棒が横に通されているだけの時もあります。

また、地域によっては持ち手に様々なものを括りつける場合もあり、注目すると面白いです。例えば、舞った時にシャラシャラ鳴るように鈴をつけたり、神社などで購入したお守りをつけたりしています。このように獅子頭の裏側には、青年団の思いや踊りやすさを追求した工夫が見られるのです。

4.獅子頭はどのように作られるの?

獅子頭を製作しているのは、全国でも数少ない工房です。石川県では白山市にある知田工房が有名で、県内で唯一、獅子頭制作を専業としている職人さんがいます。昨年2月にお話を伺いに行ったのですが、獅子頭制作はかなり奥が深いです。

漆職人、飾り職人など様々な職人が制作に関わっており、工房が企画して取りまとめ役になるという分業制で進められています。知り合いのつながりが重要で、参入障壁も非常に高いです。木は桐を使うことが多く、木を倒して5年以内に下地を掘り、形を整え、塗料で色を付けるという様々な工程があります。

5.獅子頭の制作費用の集め方

工程が多岐にわたり、1つ1つ手作りで手間もかかるため、獅子頭の価格は100万円以上かかるものが一般的です。獅子舞を運営する各地域の青年団は、寄付を募ったり、宝くじの助成金に応募したり、ご祝儀の一部を貯金したりと様々に工夫をしてお金を作り出しています。

また、獅子頭の制作費用含む活動費の捻出方法としてユニークなのが、石川県加賀市山中温泉町の青年団の取り組みです。地域のインフラ系の企業「株式会社マルヰ」と提携して、電気プラン契約の新規顧客獲得を青年団が支援することで、成功報酬が入る収益モデルを確立させました。

6.獅子頭には地域の愛が詰まっている

このように獅子頭という小道具一つとっても、語りつくせないくらい物語があります。これは獅子舞が地域にとって重要なもので、はるかインドまで続く歴史的な背景の中で、人々の試行錯誤と工夫により受け継がれてきた証と言えるでしょう。

ところで、獅子頭は上の写真のように、公民館や神社の棚の中に保管している地域が多いです。大事なトロフィーなどと一緒に保管されている場合もあります。獅子舞の祭りが終われば、また一年後の祭りに向けて、熊が華々しい春を待ち冬眠するように眠りにつくのです。

獅子頭は1年間365日のうち、数日しか活躍の場がありません。地域の資産として考えると一見勿体無いのですが、地域が最も盛り上がる数少ない祭りの日に欠かせない小道具であり、地域にとても愛されています。獅子頭が町に出ると、地域の人々の顔がパッと明るくなるのです。そう考えると、獅子頭は地域にとって、とても大事な存在だと言えるでしょう。

<今回ご紹介した獅子舞のエリア>

石川県加賀市黒崎町、山中温泉町、石川県白山市知田工房

●獅子舞についてより詳しい情報はブログ「旅してみんか」をご覧ください。

●この記事でご紹介できなかった獅子舞の小道具はこちらで紹介中!

いなむ
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
獅子舞マニアです。ライターやカメラマンをしています。趣味は、獅子舞の鼻を撮影することです。その他クレイジーな祭りにも潜入します。

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