瀬戸内国際芸術祭をご存知ですか?今やアートの島として世界中の旅行客を集めるようになった直島、豊島をはじめ、風光明媚な瀬戸内の島々。3年に一度行われ、100万人が訪れるこの国内最大級のアートイベントが、2019年に開催されます。
そこに、ニッポンの芸能「獅子舞」が出演!
なんで芸術祭に獅子舞?なんでそんなに獅子舞が熱いの?アートは好きだけど、お祭りはよくわかんない・・・。
そんな「????」なお客様でも楽しめる!獅子舞組を取りまとめる「讃岐獅子舞保存会」会長 十川みつるさんに、「芸術祭で獅子舞を見るべき理由」を伺いました。
1.瀬戸内国際芸術祭とは?
「一生に一度は訪れたい場所」として、国内外から観光客がこぞって押し寄せる、瀬戸内海の島々。人口3000人ほどの小さな島ながら、安藤忠雄、草間彌生などそうたるアーティストたちの作品がひしめく「アートの島」として知られます。
そんな美しい島々を舞台に、3年に一度行われるのが「瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)」。会期は春、夏、秋に分かれ、それぞれ1か月前後に及びます。各期間中、それぞれ美術作品、アーティストや劇団・楽団のパフォーマンス、地元伝統芸能・祭事と連携したイベントなどが行われ、あらゆる人の感性を刺激してくれるイベントなのです
2.香川の獅子舞って何が違うの?
獅子舞と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?
多くの方が想像するのは、お正月。緑地に白い模様の入った胴体に、赤い顔。頭を噛んでご利益を与え、ピーヒャララの笛の音で陽気に踊る、というイメージではないでしょうか。
ところが、香川の獅子舞はちょっと違う。いや、かなり違う。全然違う。
は、激しい。
そして、あれ?顔が違う。やっぱり激しい。
そして、鬣がストレート。よく見ると、黒いのも、白いのも。ん、実はツインテール?かわいいやん。
さらに、胴体(この布を油単と言います)が派手。
見た目だけじゃない、音も全然違う。
銅鑼がジャンジャン鳴って、どちらかというと中華街っぽいぞ。
そして、なんかめちゃくちゃでっかいのもいる。
うわ、これは自由だ!表現だ!そうなんです、アートなんです!
3.で、獅子舞王国って、どういうこと?
こんな個性あふれる獅子舞を演ずる団体が、なんと800組も存在する香川。人口100万人弱の香川県で、これはすごくないですか!?
もともと獅子舞は神社に奉納するのが役割。それが、戦後高度成長期に余裕ができてくると、自治体や神社の若衆が地域の娯楽を求め、技術を磨き始めました。最盛期には1200あったといいます。
しかし、昔は自分の地域の獅子舞しか見ることはありませんでした。というのも、それぞれ地元の神社にのみ奉納し、しかもお祭りはどの地域も同時期に行われるからです。まさにおらが村、ローカルズ・オンリーで独自の発展を遂げてきました。
そこに革命が起きたのは2009年。広告代理店企画のイベント「獅子舞王国さぬき」で、他の地域の獅子舞を見た演者たち。
「全然違う・・・」
自分たちの獅子舞が当たり前だと思い、打ち込んできた彼らにとって、他の獅子舞を見るのは相当なカルチャーショックだったそうです。
そこで「讃岐獅子舞保存会」を結成し、切磋琢磨を始めた彼ら。隣の獅子に負けないように、技術・表現を磨き、一層進化をすることになるのでした。
4.獅子舞もアートだ!瀬戸芸だからこそ体験できること
讃岐獅子舞保存会が出演するのは瀬戸内国際芸術祭2019年春の回。前回の2016年以来、2度目の招待になります。
まずは4月26日のオープニングイベントで演武を披露。その後メインとなるのは最終日5月26日のオオトリを飾ることになります。
芸術祭なので集まるのはアートファン。つまり、獅子舞のコアなファンではありません。また、獅子舞を知らない海外の方もいらっしゃいます。
そこで、「ふらっと立ち寄ったお客様、獅子舞に興味のない方にもわかりやすく、アート心をくすぐるイベントにしたい」と、様々な企画が詰め込まれています。
まず、出演するのは800の獅子組から厳選された6組。その演舞の内容、それぞれの獅子の特徴や歴史を含めたストーリーを紹介し、知ってから見ることができる構成となっています。
しかも、見るだけではありません。 スタンプラリーで違う種類の獅子舞を巡ったり、なんと段ボールでオリジナル獅子頭を作るというワークショップも!これは芸術祭っぽい!お子さんも楽しめる!
普段じっくり見ることのできない道具や鳴り物に触れることもできます。香川県の獅子は、頭が張り子でとっても軽いんです。しかも、目が動く。そんな仕掛けを触ってみたくありませんか?
つまり、獅子舞ビギナー向けだからこそ、ベーシックから知って、楽しむことができる!これは瀬戸内国際芸術祭だからこそできることなのです。やっぱりこれは、行くしかありません!
5.ワクワク!さらなるディープな獅子舞の世界へ
十川さんに瀬戸内国際芸術祭にかける思いを伺うと、「とても楽しみです。お客様よりも、自分たちのほうが楽しみにしているくらい。」と声を弾ませました。
アートファンという普段獅子舞を見ない層のお客様の目線は、演者にとっても新鮮なもの。自分たちが当たり前だと思っているものが、どう見えるのか。これまでに見た獅子舞とどう違うのか、そんなほかの県や国の人からの声もぜひ聞いてみたいとのこと。こんな交流もアートかもしれません。ぜひ、気軽に演者の皆さんに声をかけてみてださい。
さらに、秋には獅子舞に特化したイベント「獅子舞王国さぬき」が開催されます。こちらは香川県内から60~65の獅子組が会し、朝から晩まで獅子舞三昧!
瀬戸内国際芸術祭で獅子舞の魅力に触れたお客様が、秋にまた戻ってきてくれるようなイベントにしたいと語ります。
違いを知れば知るほど面白い香川の獅子舞。それは、人との交流を経て発展を続ける、生きるアートです。春の瀬戸芸で獅子舞の基本に触れ、秋にはますますディープな獅子舞ワールドへ。
世界に誇る瀬戸内海の島々という最高のロケーションの下、あなたもその一歩を踏み入れてみませんか?
瀬戸内国際芸術祭概要:
ウェブサイト:https://setouchi-artfest.jp/about/
期間:【春】2019年4月26日(金)~5月26日(日)
【夏】2019年7月19日(金)~8月25日(日)
【秋】2019年9月28日(土)~11月4日(月)
会場:瀬戸内海に浮かぶ香川県の12の島と2つの港(一部岡山県の島もあり)
東部の島へは香川県高松港・岡山県宇野港からフェリーで、西部の島へは、香川県西部各港・岡山県児島観光港からのフェリーのほか、高松駅を起点に電車でアクセス可能。
讃岐獅子舞保存会の出演は、
開催日 2019年5月26日(日) 15:30-18:30
場所 高松・高松港周辺 高松港大型テントにて