大阪四天王寺の春季彼岸会(しゅんきひがんえ)は先祖供養の法要だけでなく、バラエティにとんだ数多くの屋台が出店される賑やかなお祭りです。寒さが和らぎはじめる頃、本格的な春の訪れを告げるお祭りとしても愛されています。
大阪四天王寺の春季彼岸会は毎年、春分の日とその前後3日間の合計7日間に渡って行われる、四天王寺の中でも規模の大きな催しです。2023年は3月18日(土)から24日(金)まで開催され、期間中は、境内の諸堂にてご先祖供養が行われます。また、境内にはコロナ対策をしたうえで多くの露店も出店するようです。
ここからは2022年の春季彼岸会の様子と、2023年の行事内容についてお届けします。
歴史的遺産の博覧会のような境内
四天王寺はおよそ1400年前、推古天皇の時代に、聖徳太子によって建立された寺院です。四天王寺は歴史好き垂涎必至の、歴史的遺産を数多く有する寺院としても知られています。
特に有名なのが、日本最古の建築様式の一つである「四天王寺式伽藍配置」と呼ばれる建造物の配置スタイルです。四天王寺式伽藍配置では、南大門から中門、五重塔、金堂、講堂が南北に並び、中門から北側は回廊が囲んでいます。
さらに四天王寺では、国宝や重要文化財も数多く保有しています。古の文化がそこかしこに溢れた贅沢で荘厳な境内は、さながら歴史遺産の博覧会のようです。
屋台がいっぱいでテンションMAX!
四天王寺のご先祖供養といえば、宗派にかかわらず誰でもお願いできる「経木流し」が知られています。故人の名を書き読経してもらった経木を亀井堂に持参して、金堂の地下から湧き出てくる霊水に浸してもらい、冥福を祈ると故人の極楽往生がかなうというものです。
今年はこの経木流しへの立ち会いが不可となり、複数のお堂は閉堂中で南鐘堂の鐘撞きも中止になるなど、コロナ禍の影響で例年とは違う点がいくつもありますが※、参拝後のお楽しみである大賑わいの屋台は健在です。
※編集部注:2023年も経木流しへの立ち会いは不可となり、経木をお預けして後から流していただくかたちとなります。お堂の閉堂と南鐘堂の鐘撞き中止も継続です。
四天王寺の境内には定番の屋台はもちろんのこと、骨董市や古着の店などめずらしい屋台も数多く軒を連ねます。
なかでも骨董の店が数多く出店されることで知られ、ここでしか出会えない掘り出し物を求めて、遠方から足を運ぶ方もいるそうです。アンティーク好きにはたまりません。
さすがは食い倒れの街、大阪。この日ばかりは境内中が美味しい香りに溢れます。
バラエティ豊かな屋台が並んで活気に溢れ、店先を見て回るだけで気持ちが浮き立ちます。感染症対策への配慮もしっかり行われているそうなので、安心して屋台を満喫できるのも嬉しいですね。
あれもこれも欲しくなってしまうので、お財布の紐は緩みっぱなし。店員さんとのおしゃべりやお値段の交渉も楽しく、ほっぺもほころびっぱなし。美味しいごはんにお腹も大満足。春が訪れる喜びを、みなさん全身で味わい尽くしていらっしゃいました。
日想観でお祭りの1日を締めくくり
四天王寺の春季彼岸会の中日を締めくくるのは、日想観(にっそうかん)です。日想観は伝統行事であり、仏教修行の1つです。四天王寺では、春分の日と秋分の日に日想観が執り行われます。
修行の一つとはいっても日想観のやり方はとてもシンプル。西の空に沈む太陽を静かな心で見つめて過ごすだけ。誰もが気軽に参加できるのが魅力です。
日想観で見つめる朱く染まっていく空は、暮れていく世界の象徴です。楽しく華やかなお祭りの1日も人間の一生も、いつか終わりの時を迎えます。夕暮れの空に先祖を思い、先祖あってこそ今ここにある自分を思い、感謝の思いを新たにする時間。それが日想観です。
日想観が始まると、ひと時の静寂が訪れたのち、お坊様たちが唱えるお経や真言が響きます。賑やかで楽しいお祭りの1日が終わっていく切なさと相まって、切なく胸に迫るものがあります。
2022年は夕方にかけて一気に雲が空を覆い尽くし、堂々とそびえる石鳥居の中心を通って沈んでいく夕日にはあいにく出会えませんでした。
しかしこんな時こそ笑いのメッカ大阪の本領発揮とばかりに、茶目っ気たっぷりに笑いを誘うお坊様の説法に、参拝者のみなさんも一緒に声を上げて笑っていました。
こんな年があることもまた人生。「また来年」と思える幸せを思うと、これもまたいい思い出な気がします。
ちなみに天候に恵まれれば、このような幻想的な景色が見られるようです。
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四天王寺の春季彼岸会で春を始めよう
四天王寺の春季彼岸会は、あたたかな春の訪れを告げる、華やかで誰もが楽しめるお祭りです。最も賑わうのは春分の日にあたる中日の3月21日(祝・火)ですが、2023年の春季彼岸会は3月24日(金)まで開催されます。
春は賑わう季節である反面、出会いと別れ、新しい暮らしや出会いに喜びと不安が入り混じる季節でもあります。四天王寺の春季彼岸会でご先祖への感謝の思いを新たにするとともに、歴史的遺産と華やかな屋台で賑わう雰囲気に触れて、心身ともにエネルギーを充電してみませんか。
2023年 四天王寺 春季彼岸会 行事
3月18日(土)彼岸入
午後1時~ 大和霊苑施餓鬼
3月19日(日)
午後2時~ 四天王寺霊苑施餓鬼
3月20日(月)
高安山霊園施餓鬼
3月21日(祝・火)中日
正午~ 時正会
午後1時~ 春季彼岸会 英霊追悼慰霊祭
午後3時~ 舞台講施餓鬼
午後5時20分~ 日想観
3月22日(水)
曼供
六観音
3月23日(木)
午前9時半~午後3時半 永代祠堂
3月24日(金)結願
午前10時半~ 地蔵尊
午後3時半~ 結願法要
※お出かけの際は、2023年の春季彼岸会に関するご注意もあわせてご確認ください。四天王寺へのアクセスや最新情報は四天王寺公式サイトにてご確認いただけます。