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◆快慶のお不動さんと猪目窓「正寿院」
鎌倉時代の仏師・快慶作の不動明王坐像と災いを除き、福を招くハートの猪目窓で有名な正寿院。
御本尊の十一面観世音は50年に1度だけご開扉(※次のご開帳は2040年)の秘仏です。
前回、夜桜が楽しめる夜間特別拝観の際に「正寿院なら風鈴まつり」とお伺いし、今回は夏の風物詩を見にやってきました。
本堂では日本各地のご当地風鈴、奥の部屋には【ゆるかわだけど、猫の施しを通して人間を考える】「猫八施図(ねこはちせず)」の掛け軸が飾られています。このお部屋には天井画も施す予定です。
◆京都の風鈴寺で厄除け・魔除けの「風鈴まつり」
風鈴の原型はお寺の「風鐸(ふうたく)」といわれており、その音色が聴こえる場所は聖域で厄除けや魔除けの意味があるのだそうです。
風が吹くとチリンチリン、シャラシャラシャラ…とあちこちでやさしい音が鳴り響き、参拝者はみんな風鈴を見上げていました。
名物の花風鈴トンネルや伝統工芸品の風鈴など、音色も涼やかで目を楽しませてくれる風鈴があちこちに飾られています。
境内には地蔵堂。
地蔵とは「地」は大地、「蔵」は胎内、大地のような広い慈悲の心の仏様という意味があります。「叶紐(かのうひも)」という結び目の表が「口」、裏が「十」の縁起物に願いをこめて結んで行きましょう。
ほかには風鈴の絵付けをしたり、「私の花手水」では自由に好きなお花を飾ることもできます。
お寺の中でハートのマークを探したり、わくわくする楽しみがいっぱい!
訪れた日は「庭を見ながらお寺でヨガ」も開催していました。正寿院は何度も通いたくなります。
京都の風鈴寺 快慶のお不動さん 高野山真言宗 正寿院
610-0211京都府綴喜郡宇治田原町奥山田川上149
0774-88-3601
4~10月は9時~16時半、11~3月は16時まで
拝観料600円 (風鈴まつり期間中は700円 叶紐・お菓子付き)
http://shoujuin.boo.jp/
※2020風鈴まつりは感染対策の為、事前申込にて開催。
2020年7月1日~8月31日
◆和室のような宇治茶バスで宇治田原めぐり
正寿院のある宇治田原は通常、車で行く場所ですが、期間限定でバスでも行くことができます。しかも「宇治茶バス」という和室のようなオシャレなバス!
京阪とJR宇治駅から休日ダイヤ(日・祝)で一日2本運行しています。
正寿院の猪目窓を模した窓、降車ボタンもハートのマーク。そして椅子は畳のようなデザイン。手すりは竹の模様のラッピングがしてあったりと随所に趣向を凝らしてあります。
今回はこの宇治茶バスに乗り、一日乗車券で宇治田原を満喫するコースをご紹介いたします。
宇治茶バス (京都京阪バス株式会社)
2020年4月5日から11月29日までの休日ダイヤ運行
写真:一番奥の席にあるハートの猪目窓が可愛い!
◆お茶の京都交流拠点施設「宗円交遊庵 やんたん」
正寿院から乗車して最初に目指すのは、あたたかいおもてなしで観光情報を教えていただける「宗円交遊庵 やんたん」。1つ目のバス停「宇治田原郵便局前」から徒歩5分です。
名前の意味の「宗円」は日本煎茶の祖 永谷宗円(ながたに そうえん)と地名の湯屋谷の通称「やんたん」から来ています。
写真:「にしんの茶そば」周りは左から、ほうじ茶、※夏野菜の揚げ浸し、※エディブルフラワー(食用花)、茶殻の炊いたん 税込700円
(※この日は通常のランチの時間が終了していたため、夏野菜の揚げ浸しとエディブルフラワーはサービスでついていました!)
お茶をはじめとした宇治のお土産もたくさんあり、お腹を満たしたり、スイーツをいただくことができます。
ここで「やんたん散策マップ」をいただいて出発すると便利です。
宗円交遊庵 やんたん Soenkoyuan YANTAN
住所:610-0221京都府綴喜郡宇治田原町大字湯屋谷小字尾華21
Tel: 0774-46-8864 Fax: 0774-46-8898 [email protected]
OPEN: 10:00~17:00 定休日:水曜・木曜
https://www.facebook.com/SoenKoyuanYantan/
https://www.instagram.com/soen_koyuan.yantan/
https://www.sk-yantan.com/
◆庶民が緑茶を飲めるようになったのは永谷宗円のおかげ!永谷宗円生家
江戸時代中期まで庶民は赤黒く味の粗末なお茶を飲んでいました。
もっと美味しい緑色のお茶を飲んで欲しいと永谷 宗円が生み出した「青製煎茶製法」を発明し、甘味・旨み・渋みを合わせ持った緑色のお茶を完成させました。この緑茶が江戸の山本屋(山本山)で人気となり全国的に有名に。今でも焙炉(ほいろ)跡が残っています。このように緑茶ができたのは永谷宗円さんのおかげ。永谷園は後に子孫の方が創業されました。
宇治田原では京都市内より一足遅く紫陽花の時期がやってきます。永谷宗円生家では7月中旬ごろまでたくさんの紫陽花が咲いているお庭を楽しむことができます。
永谷宗円生家
https://www.ujimiyage.com/user_data/kanko00_28
住所:〒610-0221京都府綴喜郡宇治田原町湯屋谷小字空広
TEL:0774-88-6638(宇治田原町産業観光課)
※内部見学は土日祝のみ
保存協力金100円
やんたんから徒歩15分ほどの場所に永谷宗円生家があります。
写真:永谷宗円と100年前の信楽焼 山城と近江を結ぶ交通路「信楽街道」も近いことが分かる
◆お茶の祖を祀る「茶宗明神社」
元は大神宮社(だいじんぐうしゃ)という神社でしたが、昭和29年に功労の証として永谷宗円が合祀されて茶宗明神社(ちゃそうみょうじんしゃ)という名前も持ちます。
永谷宗円は湯屋谷村周辺の湿田の暗渠排水工事を行ったことや、98歳という長命であったことから「干田大明神」と崇められ、この茶宗明神社に祀られています。
苔むして厳かな雰囲気の神社にはあのお茶漬けで有名な「永谷園」の創業者顕彰碑があります。
奉納された絵馬を見ると、日本だけでなくフランス語や東南アジアなど色々な国の文字も書かれていました。中でも目を引いたのは英語で書かれたスターバックス「TEAVANA」の絵馬。お茶に関する企業もお参りする神社です。
永谷宗円生家のすぐ隣なので、一緒にお参りしていきましょう。
茶宗明神社
住所:〒610-0221京都府綴喜郡宇治田原町湯屋谷空廣
TEL:0774-88-6638
URL : お茶の京都 宇治田原町観光情報サイト
◆史跡 宇治田原茶発祥の地
宇治田原は日本緑茶発祥の地。
お茶が椿の種類で葉の形も似ているというのも、教えていただいて初めて知りました。
高雄高山寺からお茶の樹をいただいて植えたという、この大福谷は宇治田原茶発祥の地。
大正天皇ご即位の大礼の際にも献上されたという由緒のあるお茶です。
現在も野生のお茶の樹が自生しており、お茶の実も生えていました。
通常、お茶畑でお茶の実を見ることがないのは「お茶畑が快適」だから。
危機を感じると子孫を残そうとお茶の花が咲き、実となるのだそうです。
動画「のんびり宇治田原町めぐり」「やんたんものがたり」もご覧ください。
家康・伊賀越えの道
天正10年6月2日「本能寺の変」が起こったときに徳川家康が堺から、この湯屋谷を通って伊賀に向かったといわれています。
信楽街道 徳川家康の伊賀越え(神君伊賀越え)
URL:https://ujitawara-kyoto.com/sansaku/course-2/
お茶屋「高田園製茶」
窓の形が茶壷のお家にとっても元気な名物女将がいる!と連れてきていただいたのは高田園というお茶屋さん。
部屋の中には拝見台と呼ばれるお茶の色を見極めたという台や、昔のお茶のパッケージがたくさんありました。
特に目を引いたのは数々の賞を受賞したときの賞状。どれもデザインが可愛い!家の中には湯屋谷の昔の絵地図や屏風などがあり、映画のセットのような懐かしい雰囲気です。
他にも茶室や珍しいお茶の番付表を見せていただきました。
バスでめぐる宇治田原、他にもハートの展望台、茶園やスイーツなど見どころが盛りだくさん。
一日乗車券ではJR黄檗駅や、京阪中書島なども行けます。あちこち巡って楽しんでみてくださいね。
写真:高田通泉園 抹茶ソフトクリーム バス停「宇治田原郵便局前」すぐ