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高尾山に八王子の日本遺産が集結!祭囃子、木遣り唄、獅子舞も一挙お披露目!その意義とは

更新日:2022/10/24 いなむ
高尾山に八王子の日本遺産が集結!祭囃子、木遣り唄、獅子舞も一挙お披露目!その意義とは

実は高尾山は、東京都八王子市の日本遺産である。2022年10月16日、高尾山のふもとに同じ日本遺産である八王子市の伝統芸能が登場する「森パトDay2022 みんなで学ぶ“にほんいさん”〜GO AROUND Mt.TAKAOSAN〜」と題したイベントが開催された。主催は一般社団法人八王子青年会議所だ。

高尾山は観光地であり、見方を変えれば、情報発信拠点でもある。元々持っている立地のポテンシャルを生かし、伝統芸能継承のため、興味を持ってもらうきっかけ作りが行われたともいえる。

休日の高尾山のケーブルカー前に大勢の観光客が訪れ、順々に演じられる伝統芸能に見入っていた。このイベントが伝統芸能継承の文脈で、どのような意味を持つのだろうか?そのような問いとともに、このイベントの様子を振り返る。

日本遺産って何?八王子の構成遺産とは

まずは今回のイベントのテーマでもある「日本遺産」とは何か、ここで確認しておこう。以下に日本遺産ポータルサイト(文化庁)から図解を引用させていただく。

従来の文化財行政

日本遺産

日本遺産ポータルサイト「日本遺産とは-日本遺産事業の方向性」より引用

つまり個々の文化財を、その町の歴史的「ストーリー」を軸に一つのつながりの中で解説することで、文化財の意味や価値、町の魅力をより分かりやすく伝える取り組みである。

八王子の日本遺産は「霊気満山 高尾山 ~人々の祈りが紡ぐ桑都物語~」というストーリーで2020年に認定された。このストーリーは戦国時代に八王子に居城を築いた北条氏照から始まり、養蚕と絹織物で発展した町は桑都(そうと)とも呼ばれ、高尾山への人々の祈りが豊かな文化を育んできたという内容だ。

29の構成遺産があり、八王子城跡、高尾山、絹の道、桑都の銘酒、八王子の獅子舞など史跡から芸能まで様々だ。今回のイベントでは、日本遺産のパネルが登場!クイズラリーをしながら、その理解を深めていくという内容になっていた。また、八王子森林パトロール隊による日本遺産ガイドツアーやステージ上での伝統芸能の披露もあった。

イベント会場には、北条氏照を模したゆるキャラ「うじてるくん」も登場!多くの観光客の記念撮影に応じていた。

伝統芸能を一挙お披露目!

今回のイベントは一日中催しが開催されていたが、午前中のみ取材ができた。午前中に拝見することができた伝統芸能について振り返っていきたい。ステージが用意され、鎧や兜、烏帽子を身に着けた司会者が進行していた。

日曜日の高尾山ということもあって、大勢の観光客で賑わっており、子どもたちもたくさんいた。このような環境で芸能がお披露目できるのはとても良い機会だし、改めて高尾山の情報発信拠点としての可能性を感じる。

最初は「迎え囃子」の演奏

まずは高尾山を訪れる観光客にイベントのことを周知するため、迎え囃子の演奏から始まった。
担い手は八王子祭囃子連合会の皆様。平成6年に発足し、20以上の団体が加盟しているという。祭囃子を通じた世代間コミュニケーションを作っていくとともに、伝統芸能の継承に取り組んでいるとのこと。
最初の演奏ということで、徐々に人だかりができていった。

素朴な歌声「木遣り唄」

次に行われたのが「木遣り唄」(きやりうた)だ。この芸能に馴染みのない人もいるだろうが、重い木材などの運搬の際に、人々の呼吸を合わせるために歌われる唄だ。

伝統的な作業歌・労働歌であり、昭和35年には八王子市無形民俗文化財に指定された。身振り手振りはなくただ口を動かして歌うのみで、素朴な生活の中から湧き上がってきた芸能であることを強く感じることができた。
木遣り唄は、八王子の消防記念会によって保存されている。

獅子舞や連獅子も登場

木遣り唄の次は、再び八王子祭囃子連合会の登場。お囃子に加えて、獅子舞や連獅子が登場した。江戸前の獅子で、一人で演じるタイプの獅子舞だ。

獅子頭や胴体を脱ぐと、ひょっとこが登場!次々と繰り出される芸に見飽きることがない。

その後は白髪の天狐と赤髪の大蛇も登場!長い髪の毛が左右に揺れるおどろおどろしい雰囲気が、物の怪のように感じられた。

祭囃子の様子は動画でもまとめたので、ぜひご覧いただきたい。

八王子祭囃子連合会の終了後は記念撮影タイムとなった。

八王子の魅力を日本遺産の視点で繋ぐ

今回のイベントを主催する一般社団法人八王子青年会議所の佐藤武司さんに、このイベントの経緯や狙いに関するお話を伺うことができた。

ーーー普段、お祭りを取材することは多いのですが、青年会議所主催で、日本遺産という括りでのイベントを取材することはなかなかありません。今回のイベント開催の経緯を伺いたいです。

今年はコロナ禍でなかなかイベントができない中、八王子まつりも中止となり伝統芸能の活躍の場が少なくなっていました。また、高尾山のゴミ拾いをしている八王子森林パトロール隊という組織があり、今年55周年を迎えました。

様々な経緯が重なり、高尾山で日本遺産を切り口として、八王子森林パトロール隊による日本遺産ガイドツアーや、伝統芸能の披露、そのほかの日本遺産のパネル展示などを行うことになりました。

青年会議所内部のイベントで伝統芸能に来ていただくことはありましたが、公のイベントで出演していただく機会はそう多くありません。今回は八王子の魅力を発信するにはちょうど良い高尾山という場所を選び、このイベントの開催に至りました。

ーーー日本遺産についてまだ知らないことが多いのですが、日本遺産がある自治体というのは珍しいのでしょうか?

八王子の日本遺産は2020年に認定されました。日本遺産は東京都内では、八王子にしかありません。地方創生の一環として文化庁がやっているもので、インバウンドでお越しいただいた観光客にどう八王子を回っていただくか、どう経済効果を生むか、ということ考えています。

八王子の課題は高尾山には観光客が来るのですが、そこから八王子の中心部への直通のバスや電車がない(北野などを経由する)ため、なかなか全体に人が循環しないという構造があります。そこを日本遺産で繋いで、回っていただくという狙いがあります。世界遺産と何が違うの?と言われることもあり、まだまだ日本遺産の知名度はそこまで高くありません。イベントを通して広めていきたいです。

ーーー伝統芸能について伺いたいのですが、八王子の芸能の特色はなんでしょうか?

芸妓衆がいるというのは都内では珍しく、都心部では何カ所かで見られますが、多摩地区では八王子が唯一です。その背景には八王子が織物のまちとして繁栄し、中町黒塀が花街として栄えたことが挙げられます。

あとは八王子車人形も2022年に入ってから、国の重要無形民俗文化財に指定されました。車に乗った上で、人形を動かす特色ある踊りです。八王子にはこれらを始めとした、様々な魅力的な芸能があります。

芸能の継承も視野に入る、新しいイベントの形

今回、イベントを訪れてみて、改めて高尾山という場所での発信力の大きさを実感した。また、日本遺産を通して、高尾山から八王子全体へと興味を持ってもらう狙いがあることもわかった。

日本遺産の視点で考えれば、芸能は祭りにとどまらず、地域の魅力としてその周辺の産業や文化との関わり合いを持ちながら継承されてきたことがうかがえる。

今回、高尾山に訪れていたのは家族連れも多く、子供たちも熱心に芸能に見入っていた。新しい文脈で芸能が発信されているこのイベントの効果と魅力を感じることができた。

伝統芸能の継承という視点で考えてみても、祭りの開催のみならず、新しい視点でパッケージ化を行いイベントを開催することは重要だろう。これが次世代を始めとするファンや担い手の獲得にも繋がっていくのだ。

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この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
獅子舞マニアです。ライターやカメラマンをしています。趣味は、獅子舞の鼻を撮影することです。その他クレイジーな祭りにも潜入します。

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