玉村町・たまむら花火大会とは
玉村町は都心から見ると群馬県の玄関口にあたる位置にある。関越道を使うと「上里SA」と「高崎JCT」の中間にある「高崎玉村スマートIC」を目指すことになる。電車だと高崎線の「新町駅」が最寄りだが、そこからバス利用になるので夜の帰り道を考えると車が前提になる。
たまむら花火大会は、毎年7月15日前後の3連休の初日に開催される(今年は7月15日の土曜日)。ポスターの裏面には地元の企業や団体だけでなく、地域住民の方が少しずつ出し合った協賛金への感謝の言葉がつづられていて、みんなに応援される素晴らしい花火大会だと分かる。
そして、たまむら花火大会のキャッチコピーは「田園夢花火」という。遠くに赤城連峰・榛名連峰を望む水田の真ん中から打ち上げられ、その光が水面に反射して輝く。カエルの声と花火の炸裂音が共存する不思議空間はまさしく夢花火。
花火名人、菊屋小幡花火店
さて、たまむら花火大会といえば忘れてならないのが菊屋小幡花火店の存在だ。私が分からないくらいずっと前からたまむら花火大会の打ち上げを手掛ける。花火ファンの界隈では有名な花火屋さんで、様々な場所で開催される花火コンテストの入賞常連さんである。
中でも特筆すべきは2018年の「大曲の花火」にて内閣総理大臣賞(総合優勝)を勝ち取っていること。以前私がレポートした絶景花火でもその整った玉について説明している。
そんな小幡さんは長らく担当してきたこの花火大会でどんな玉を打ち上げるのか?では行ってみよう!
光・音・衝撃で花火を感じよう
詳しくは後で述べるが、これから紹介する写真は激近の最前列、当日はやや風下。覆いかぶさってくる花火がすごい迫力であった。
昨今の花火大会では音楽に合わせたミュージックスターマインというプログラムがあるのが普通だが、たまむら花火大会ではそういうのは無し。カエルの合唱を聞きながら乾いた炸裂音を味わうのがオツなのだ。
プログラムの単発打ちのコーナーには「5号玉10発・7号玉2発」のように大きさが書いてあるのだが、大きさが変わると筒からの発射音も変わるので注目(耳)したい。10号玉なんてもう、発射用火薬のアタック音にステンレスの筒がキーンと共鳴、空を切り裂く玉のシュルシュルからしばしの静寂ののちドカン。これがたまらんのよ。(おっと言葉が乱れた。)
いやそれにしてもオシャレ玉が数多く見られる。実はどこの花火屋さんもコロナ禍で需給バランスが崩れた影響もあり、まだ普段通りの実力・生産能力が発揮できないという噂話もきいているのだが、これだけのものを見られたら満足じゃないですか、ねえ?
水田に花火が映えるのもたまむらの風景。花火大会のポスターにはほぼ必ずといってよいほど水面に映る花火の光が登場する。
あれ?あの道路の上に誰かいるような・・・?虹色にも目を奪われるけどそっちも気になるんです。もうちょっとよく見てみましょう。
打ち上げ現場にいる花火師の姿がよく見える。これも至近距離での観覧ならではだ。やっぱり花火師の息吹を感じられる花火大会っていいですよね。
町民のための花火大会にお邪魔しました
さあ、今回のレポートの本題はここからだ!花火大会終わっちゃったんでもう見えなくなっているが、さっきまで公式サイトに注意書きがあった。
・基本的に町民のための花火大会であること。
・臨時駐車場は用意していないし、迷惑駐車は絶対にしないこと。
一見、塩対応に見えるが要するに観光客相手ではないから関係ない人は来ないでねということ。コロナも終息したわけではないし、ごみ処理や違法駐車、警備の問題がつきまとうから致し方ないというか、ごもっともな話。
私も一時は観覧を見送ろうかと思ったのだが、よく見るとふるさと納税で特別観覧席が返礼品として用意されているのを発見(のちに数量限定で一般販売も行われた)。ふるさと納税は明らかに他自治体の人むけなので、さっそく申し込んだら専用駐車場までついていた。なんとありがたい。
外は暑いし場所も確保されていることだし、本来はぎりぎりに到着してもよいのだが取材ということでちょっと早めに玉村町に到着。さっそくまずはお土産を購入する。
安全で盛大な花火に協力してゆったり観覧の権利ゲット
さて、これまで数々の花火大会を観覧した私に言わせてもらえれば、今回は「快適さ」という点では文句なしS級MAXであった。よってひたすらたまむら花火大会実行委員会ならびにたまむら花火大会を愛する会を褒めちぎることとする。異論は認めない。
指定駐車場は会場最寄りの上陽小学校だ。たまむら花火大会の本部もここに設置されていて会場からは本当に至近距離。しかし花火大会の駐車場といえば終了後に狭い出口に車が殺到して、1時間たっても1ミリも動かないなんてことはざらにある。これだけ会場に近い場所にあればなおさらだ。
しかしここでは十分な広さのあるグラウンドに係員がいて、先着順に出口(入口とは別に確保!)から出やすいように整然と並ばせていた。不公平感がなくてよい。
陽が落ちるまで車内でほんの少し時間をつぶし、いざ改めて観覧席へ!
近ッッ(笑)。わずか200mで観覧場所に到着。これなら小さいお子さんやお年寄りでも余裕でしょう!あっ、ちなみにトイレは50mのところの本部付近にあった。
それでいて花火打ち上げ場所までの距離は驚きの200m。小さい花火で200mというのはそこそこ見かけるが、10号(尺玉)ありで200mというのは相当なもの。ギリギリに到着してもここから前半に記したあの素晴らしい花火体験につながるわけである。これもう王侯貴族か何かか!?なお、後ろの方や横の方は無料席(というか何でもない道端)になっており、地元の方が場所取りされておりました。
そんなわけで2023年、たまむら花火大会。開催していただいた関係者の皆様には感謝感謝。来年もあればぜひリピートしたい。
楽しい時間もついに終わり、最後の最後。駐車場から出るときにも係員の方がしっかり誘導してくれて、驚くほどスムーズに次々と車が捌けていく。私の順番が来るまで5分とかかってないんじゃないかな。本当に素晴らしいふるさと納税の返礼品でした。最大級の感謝と賛辞を送ります。