今日はまず始めに結論を言います。「SUGOI花火」を冠した花火大会は要チェック!次は北九州と東北で開催予定!
目次
SUGOI花火とストーンズ花火とは
SUGOI花火とは、気鋭の花火演出家による海外レジェンド音楽アーティスト公認の花火ショー。オマツリジャパンではすでに「QUEEN THE GREATEST FIREWORKS」大阪・舞洲(まいしま)公演の模様が伝えられていますのでそちらも参考に。
このSUGOI花火が東京進出なのです。こちらは「東京SUGOI花火『THE ROLLING STONES 60th ANNIVERSARY THE GREATEST FIREWORKS~感激!偉大なる花火~』」いや長いって(笑)。ということで略称「ストーンズ花火」で説明します。いわゆる自治体や地域の商工会が主導する花火大会とは異なり完全に商業イベントです。チケット販売の仕組みも音楽ライブそのもので全席指定となっています。
さてその開催概要は、もう過ぎてしまった話なので要約すると2022年7月6日(水)19:30~20:40、東京都府中市の東京競馬場にて、全国から名の知れた花火会社数社が集まり、最大8号玉を含む合計14,000発の打ち上げ、です。
実はこの東京競馬場、コロナ前は宣伝なしの地元向け花火大会を毎年やっていました。今回はその場を借りて花火はパワーアップということです。
台風4号にSUGOIハラハラ
花火大会の天敵、憎き台風。2日くらい前までは暴風雨予報も出たり出なかったりで、個人的に晴れ男晴れ女を大募集するなど悪あがきしていたのですが、その甲斐あってか台風は南方海上にフェードアウトしていきました。
さらに、何ということでしょう。例年観覧席が煙たくなる府中の南風が台風様のおかげで逆向きとなり、これ以上ない追い風順風に変化。ありがとう台風様(手のひら返し)。
ひと安心で会場に向かうと、見るからにストーンズ目当ての人々と見るからに花火目当ての人々がいました。あと両方好きというウキウキおじさんもいました。
見た目がオラオラ系の兄ちゃんもいましたが、ストーンズTシャツ着用で和気あいあいと列に並んでいます。そもそも全席指定なのであわてる必要もオラつく必要も全くないのです。ただし場内に1か所だけ用意された大型三脚使用可能な「自由席エリア」を目指す一団のみピリピリしていました。あまり言うと自己紹介になってしまうのでこのあたりにしておきましょう。
とにかく、定刻17時に音花火の号砲と共に人々は混乱なくメインスタンドに吸い込まれていきました。余談ながら、例年の東京競馬場の花火大会では全席自由のためゲートオープンと同時に猛ダッシュする人々が「各馬一斉にスタート」などと揶揄されています。
東京競馬場というSUGOIステージ
競馬ファンにはお馴染みでしょうが、念のため紹介しておくと東京競馬場は収容人数およそ20万人(たぶん日本一)を誇る巨大施設です。
これの何が良いかというと、トイレです。花火大会でいつも困るのがトイレ。小さなお子さん連れの場合は特に大変ですがその点ご心配なく。この日の観衆は一説によれば23,000人だそうですが20万人分のキャパがあるので楽勝!スタンドの中に入れば空調も効いているので安心して過ごせます。
開演までの時間も退屈することはありません。物販についてはチケット前売りの時から様々な工夫がされており、通常のチケットの他にも
・特製花火デザインケースCD付チケット
・限定Tシャツ付チケット
・京王電鉄の記念乗車券
などがあり、手慣れている印象。そして笑ってしまったのが無料のパンフレット。なんとあの「競馬ブック」のパロディで、ストーンズの曲が競走馬っぽく解説されており、この日の1曲目と2曲目を当てるダービーも開催するという念の入れよう。観客を楽しませる仕込みはさすがのひとことで、花火メインの私でもストーンズと競馬も楽しめました。
この快適な会場で唯一困ったのが飲食の「飲」のほう。なんと自動販売機が止められていました。いわゆる大人の事情と推察しますが、水分を手に入れるのに長蛇の列というそこだけが小さな不満。
予想を超えるSUGOIコンディション
競馬場ならではの演出があることが事前告知されていたものの、打ち上げ花火というものは安全基準の縛りが厳しく、有名な花火大会でも意外ときゅうくつなレイアウトになることもよくあるので心配でした。が、実際に現場を眺めるとかなり近い&ワイドな事が判明。きっと花火の種類と間合いをうまく設計して基準をクリアしたのでしょう。最大8号玉という大きさもよくぞ実現してくれました。感激です。
そして関係者の苦労が報われたのが天候。開演まであとわずかで雨が降り出し一波乱あったものの、最終的には青空が見える良コンディションになりました。何よりも追い風となったのが本当にうれしい。サンキュー台風様。
SUGOI花火、すごい(真顔)
いよいよ開演。冒頭はストーンズのチャーリー・ワッツ追悼企画として記念映像と「ありがとう」の特製8号玉。写真右下のスクリーンが2枚並んでいる方に本来の観客席があるのですが、そこからではとても写真に収まらないので斜めに離れて撮影しています。これが1か所だけ用意された自由エリア。ですが見るだけなら断然客席がおすすめです。
追悼企画に続いてカウントダウンが始まり、いざスタート!ストーンズの名曲に乗せて文字通りノンストップ打ち上げ、これがまあすごい。以下セットリストに合わせて1曲に写真1枚でご紹介。
なお、パンフレットには本日集結した花火会社が書かれており、各社の意気込みも紹介されていました。どのパートをどの花火屋さんが手掛けたかは非公開なのですが、そりゃあ気になりますよね。そこで「おそらく」とお断りしたうえで、担当した花火屋さんを私が勝手に予想しています。
あくまで私の予想のため正確さは保証しません。できの悪い予想屋と思ってください。実は識者から指摘があり確実に間違っているものがありますが、あえてそのままです。こんなことを考えながら花火を見る楽しみもあるという事でご了承ください。
待たせたな!と言わんばかりにコース全周を使った打ち上げ、ストーンズのトレードマークの型物(しかも立体的!)、至近距離からの噴出。盛り上げ役として申し分ないだけでなく、今日の花火はこんな花火だぞと見る側に分かりやすく教えてくれました。おそらく地元の丸玉屋小勝煙火店が担当。
とにかく濃い!とにかく明るい!という花火。だから中間色も映えまくる。さらに花火の模様が動いたり、目の前で光が上下左右に踊ったり、語彙力が不足気味になります。東京でここまで派手なのは無かったかも?おそらく山梨県のマルゴーが担当。
単発、対打ちを見せるシーンを挟みながら音楽を引き立てる花火。サビがループするのでシーン切り替えの読みがきかず、撮影は困難を極めました(笑)。おそらく地元の丸玉屋小勝煙火店が担当。
しっとりとした曲に合わせて、端正な花火が上がります。デザイン違い、色の組み替え、様々ありながら小玉から大玉に至るまでどれも美しい。モノトーンでさえ表情豊か。パンフレットにうちの丸い花火を見てくれよ的なことが書かれていた、おそらく群馬県の菊屋小幡花火店が担当。
日本人が大好きな錦(金色)の火薬に様々なアレンジを加えて花火の奥深さ、飽きない世界を見せてくれました。おそらく地元の丸玉屋小勝煙火店の担当。
この予想の当たり外れはともかく、丸玉屋小勝煙火店としては地元の負担があったでしょう。正直これだけ豪華メンバー(花火会社)が得意の一品料理を持ち寄ってくる中で、1社だけ定食5種ヨロシクというある意味無茶ぶりで、後で写真判定すると小鉢やみそ汁の具が同じこともありましたが、現地で見ていた私はどれもおいしく頂きました。
ライブの中盤にさしかかり、バラード系の曲になります。注目すべきはこの花火。炭火の色と金色のわずか2色の組み合わせだけどむちゃくちゃ美しい。金色の微粒子が星屑のように浮かんでは消えていく。聞けばコロナ前に新作披露されていた花火とか。東京にも来てくれたんですねえ。おそらく紅屋青木煙火店の担当。
曲も花火もテンポが変わりました。花火についてはチカチカまたたく点滅と、パチパチはじけるカスミソウ(という花火)が印象的。最後の方で、打ち上げ場所いっぱいに往復しているのも東京競馬所の広さをうまく使った演出。しかしどこの花火屋さんのものか、結局最後まで分からずです。またどこかで会えるのを楽しみにしておきます。
さあノリノリになってきた(笑)。曲のテンポアップに花火もしっかりついてきます。手前に奥にと忙しく振り回しながらタイミングはバッチリ!空中で炸裂するタイミングまで狙える技術力を持った花火会社の仕業ですねこれは。ということでパンフレットに緻密な打ち上げシーケンスがウリと書いてある、おそらく信州煙火工業の担当。
間髪を入れずにたたみかけてきます。楽曲に花火でclap(手拍子)を入れているような打ち上げ。色もトリコロールからパステル、最後は虹色になったと思ったら突然周回コースを回り始めてうわーっと思ったらドカンと締め。これもパンフレットに当社のレインボーマインを見て、と書いてある、おそらく信州煙火工業の担当。
イケイケのあとは急にミステリアスな雰囲気。曲だけでなく花火の色と動きも幻惑というか、いい意味で期待を裏切ってきます。赤と思ったら青、リングだと思ったら球形。炸裂した花火玉の中に入っている星が寸分たがわず一斉に変化する、キレキレの花火はおそらく三遠煙火の担当。
パステルカラーと点滅を中心とした花火。そう、先日私が工場見学に赴いた加藤煙火の花火です。さすがにこれは「おそらく」と言ったら叱られそう。とはいえ、見たことがない花火がいくつか上がって「ん!?」となったのも事実。いやはや、技術は日進月歩です。
コロナ対策で観客のシャウトはご法度でしたが、たまらず声を上げちゃった人もいるかもしれません。花火も出し惜しみなしです。今回のように複数の花火屋さんが集まって開催してくれる花火大会のいい所は、次から次へといろいろな花火が見られることですね。おそらく地元の丸玉屋小勝煙火店の担当。
フィナーレはやっぱりこの曲でみんなサティスファクション。競馬場の芝も焦げよとばかりに吹き上がる花火、上空は視界を埋め尽くす黄金・白銀。いやあまいったまいった。この距離でこの火力、まさか東京で味わえるとは!おそらく地元の丸玉屋小勝煙火店の担当。
SUGOI花火はSUGOI祭りなのか?
SUGOI花火のチケットは、手数料込みだとおよそ8,000円。ストーンズ本人は来ないのに、花火に8,000円?と思った人も多いでしょう。けれど、来た人はビタビタに名曲とシンクロする花火に驚き、きっと誰かに言いたくなったでしょう。「東京競馬場の花火はすごかった」と。
SNSでざっと見た限りはそんなふうに皆ポジティブな反応でした。
ストーンズファンでなければ、あの場所に来ることはなかったかもしれません。花火は、屋台のついでに無料で見て帰るものと思っている人もいたでしょう。
夏祭りの花火も風情があり、それはそれでいいものですが、コロナ禍、少子化、原料の高騰と、花火業界を取り巻く状況は大変厳しい中で、SUGOI花火のような形態が生まれたと私は感じています。そこで上がる花火は、やっぱりひと味もふた味も違いました。
好きなアーティストの好きな楽曲を、花火がより盛り上げてくれる。そこから花火も同じように好かれる存在になって欲しい、そう思います。
すでにQUEEN花火の北九州・仙台(名取)はチケット発売中。QUEENのみならず洋楽好きな人、もちろん花火好きな人も、花火師の本気の演出、SUGOI花火を体験してはどうでしょうか?