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11月23日の「新嘗祭」とは?どんな行事?なぜ「勤労感謝の日」になった?全国各地の新嘗祭行事も!

2022/11/23
2024/3/8
11月23日の「新嘗祭」とは?どんな行事?なぜ「勤労感謝の日」になった?全国各地の新嘗祭行事も!

毎年11月23日は、1948年に「勤労感謝の日」となるまでは「新嘗祭(にいなめさい)」という祭日でした。現在も宮中で行われ、全国各地の神社においても行われていますが、その詳しい内容や目的などはご存じない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、新嘗祭について解説するとともに、「神嘗祭」や「大嘗祭」など似た言葉の行事との違いや、新嘗祭に合わせて神社で行われる楽しい行事などについてもご紹介します。

新嘗祭とはどんな行事?

「新嘗祭」は、「にいなめさい」の他に「しんじょうさい」とも読み、天皇がその年の収穫に感謝し国家の安寧と翌年の豊穣を祈るため、天照大神をはじめとするすべての神様に新穀をお供えし、新穀を神様と一緒に召し上がる行事です。「新」は「新穀」(初穂)を意味し、「嘗」は「なめる」「にえ」などと読む漢字で、「召し上がる」「御馳走」などを意味します。

秋の実りに感謝する収穫祭は太古の昔からあったといわれますが、宮中での新嘗祭の原形は飛鳥時代につくられたとされています。
現代の新嘗祭では、皇居内で鎮魂祭や神楽が行われ、神嘉殿に神饌(しんせん)や御饌(みけ)とも呼ばれる、神々に献上するお食事を供えます。

御饌には天皇陛下が自ら栽培されたお米や、各都道府県で2軒ずつ選ばれた農家からの献上米のほか、新米からつくった白酒・黒酒、五穀、栗、鮮魚などが並びます。これらを日暮れと明け方の二度、天皇陛下が神々と共食する儀式が主要行事です。

かつてほとんどの国民が農業を営んでいた時代、穀物の実りは生死にかかわり、国民を一年養う大切な蓄えとなることから、新嘗祭は国を挙げて行われてきました。現在でも宮中の恒例祭典の中では、五穀豊穣を祈願する毎年2月17日の「祈念祭」と対になる、最も重要な儀式に位置づけられています。

なぜ11月23日?「勤労感謝の日」になった理由とは

新嘗祭は、もともと旧暦11月の2番目の「卯の日」に行われており、年によって日付は変動してまちまちでした。旧暦から新暦に移行した1873年(明治6年)、新暦のこの日が11月23日だったため、翌年以降は11月23日に日付を固定して「新嘗祭」を行うようになり、祭日にもなりました。

旧暦を新暦に当てはめるとおよそ1か月遅れくらいになるため、旧暦11月の2番目の卯の日は現代でいうと12月の中旬~下旬。ちょうど冬至の頃にあたります。冬至は一年で最も昼間の時間が短く、太陽のパワーが衰える時期です。

このタイミングで新嘗祭を行うことには、太陽の神とされる天照大神をもてなすことでその強力な力の復活を祈ることや、天皇陛下自らも新穀を食すことによって、神々の霊威を身に受けて新たなる力を得、次の年の豊穣を祈願する意味合いもあったようです。

第二次世界大戦後の1948年(昭和23年)、新嘗祭は「勤労感謝の日」に変わりました。これは、宮中の行事としては残しつつも、国家神道の色が強い新嘗祭を国民生活からは切り離すというGHQの占領政策を受けたもの。それ以来、稲作だけでなく「勤労をたっとび、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」という国民の祝日になり、現在に至ります。

新嘗祭と大嘗祭はどう違う?神嘗祭との関係は?

「新嘗祭」と似た名称の行事に「大嘗祭(だいじょうさい)」と「神嘗祭(かんなめさい)」があります。

「大嘗祭」は新天皇が即位して最初に行う行事で、即位の時期が7月までならばその年に、8月以降であれば翌年に行われます。大嘗祭が行われるためだけの「大嘗宮」と呼ばれる祭壇が新設され、「大響の儀」という会食が多くの参列者と盛大に行われます。

毎年行われる新嘗祭は、現在は11月23日と日付が固定されていますが、大嘗祭は古式にのっとり、11月にくる2番目、もしくは3番目の卯の日に行うのが慣例です。5月に令和へと御代替わりを迎えた2019年は、11月14日、15日に大嘗祭の中心的な行事「大嘗宮の儀」が行われました。

 

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一方、「神嘗祭」は新嘗祭の1か月ほど前に行われる儀式です。もともとは伊勢神宮で行われ、明治時代になってから宮中でも行われるようになりました。伊勢神宮で最も重要なお祭りで、毎年10月15日~17日、その年に収穫された新穀を天照大神に捧げて恵みに感謝します。

宮中の神嘗祭は毎年10月17日に行われ、天皇は新穀を口にせず、賢所に新穀を供えて神恩に感謝し、神嘉殿からはるか伊勢神宮を遙拝する儀式が行われます。

伊勢神宮で行われる新嘗祭

宮中で行われる新嘗祭の行事は非公開のため見ることはかないませんが、明治時代から終戦まで国家神道の中心として国が維持してきた伊勢神宮では、新嘗祭で行われる儀式の一部を見ることが可能です。

伊勢神宮では、天照大御神をはじめとする神々にお食事をお供えする「大御饌(おおみけ)の儀」に続き、天皇陛下から使わされた勅使が幣帛(へいはく。布帛など食事以外の神饌)を奉る「奉幣(ほうへい)の儀」が行われます。

例年、外宮では11月23日の午前4時から、内宮では午前11時から大御饌の儀が行われ、それぞれの3時間後に奉幣の儀を斎行。それに合わせて多くの参拝者が訪れます。なお、伊勢神宮の新嘗祭は、両正宮に続き11月29日まで、すべての宮社で執り行われます。

また、内宮前にある「おかげ横丁」では新嘗祭の時期にあわせ、新嘗祭を祝い慶びを分かち合うお祭りが開催されます。
奉納酒を季節料理とともに楽しんだり、新酒の試飲体験のほか、新米や特産物の市、伊勢海老汁のお振舞い、新米でついたお祝いの餅まきなど、収穫に感謝し楽しめる催しが盛りだくさんです。
詳しくはおかげ横丁の公式サイトでご確認ください。

全国各地でも!新嘗祭で行われる催し

新嘗祭には伊勢神宮以外でも、全国各地の神社で収穫に感謝する神事が行われます。同時にお祭りや舞の奉納があったり、秋の実りを参拝者へ振る舞ってくれる所も!ここではその一部をご紹介しましょう。

※例年の内容を参考にご紹介しています。年によっては規模や内容を縮小・変更、または中止の場合もあるため、詳しくは主催者からの情報をご確認ください。

◎豊年ほぜ祭り(霧島神宮/鹿児島県)

 

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毎年11月23日に行われる豊作に感謝する祭りで、その年に収穫された新穀を御神前にお供えし、「子供みこし」や吹奏楽の演奏、ひょっとこ踊りなどが奉納されるほか、特産市や露店も出て多くの参拝者で賑わいます。
※2022年は祭典のみの実施となり参列はできません。

◎大宮住吉神楽(大宮住吉神社/埼玉県坂戸市)

 

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毎年2月の祈年祭、4月の例祭、11月23日の新嘗祭の3つのお祭りに合わせて行われ、神楽や能が奉納されます。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

過去に行われた祈年祭での奉納神楽の現地レポートはこちら!

◎黒川能(春日神社/山形県)

平安時代の806年創建といわれている春日神社で毎年11月23日に行われる農作物の収穫に感謝する祭りです。
社殿内で巫女舞や玉串奉納などの神事が行われた後、500年以上にわたり伝承されてきた国指定重要無形民俗文化財「黒川能」の能二番、狂言一番が奉納されます。

◎新嘗祭餅つき大会(蛇窪神社/東京都)

1323年頃に創建され、ご祭神として天照大御神がお祀りされている天祖神社(蛇窪神社)では、毎年11月23日に餅つき大会が行われ、つきたての餅が振る舞われます。

過去に行われた蛇窪神社の新嘗祭餅つき大会、現地レポートはこちら!

◎新嘗祭どぶろく祭り(築地波除神社/東京都)

 

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毎年11月23日に行われる秋の収穫を感謝する祭りで、石川県白山の御神饌田で刈り取られた新米や、この稲を使った濁り酒「幸穂」が神前にお供えされます。境内では参拝者への「幸穂」の振る舞いも行われます。

◎新嘗祭 大根鍋(須佐神社/島根県)

五穀豊穣を神前に報告しお祝いする祭事と合わせて、大鍋で炊かれた大根鍋が参拝者に無料で振る舞われまるほか、地元社中による神楽も奉納されます。

◎野菜宝船の奉納(明治神宮・三嶋大社ほか)

 

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毎年11月23日に、全国各地で収穫を感謝し、農業祭のシンボルとして野菜を満載した宝船が作られています。
東京都の明治神宮では、明治神宮農林水産物奉献会という組織が、東京都の農家から奉納された野菜を宝船の形にして奉納しています。

静岡県の三嶋大社には、新嘗祭に際して、JA三島と三島商工会議所が共同で野菜で作られた「野菜宝船」を奉納しています。

まとめ

かつては「新嘗祭の日までは新米は食べない」とも言われていました。「神様に新穀を捧げるより前に人が食べるのはおそれ多い」という考えからです。

また、昔は稲刈り、天日干し、脱穀などの作業をすべて人の手でおこなっていたため、稲刈りから俵に米を入れ終わるまで2か月はかかり、ちょうど新嘗祭のころに新米が食べられるようになったという事情もありました。

このように「新嘗祭」には、収穫に感謝する人々の思いが込められています。現在は宮中行事になり祝日としては「勤労感謝の日」になっていますが、11月23日は働くすべての人々への労いの気持ちとともに、あらためて食べ物や収穫に感謝する気持ちをもって過ごしたいものですね。

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