富士山の麓、北口本宮冨士浅間神社にて、毎年8月に行われる吉田の火祭り。富士山のお山じまいのお祭りであり、日本三大奇祭の一つと言われる吉田の火祭りを陰で支える「祭典世話人制度」をご存知でしょうか。
祭典世話人制度とは?
氏子地域に住む青壮年たちの中で既婚者かつ42歳以下の男性たちが、毎年14名「祭典世話人」に選ばれ、1年の任期を務めます。
年間を通して「吉田の火祭り」をはじめとする、北口本宮冨士浅間神社が執り行う行事の運営準備を行っています。
その奉仕活動は、勢子への挨拶回り、寄付金集め、芳名版の準備…などなど、多岐に渡りますが、表には出ないお祭りの運営にかかわる地道な作業がほとんどです。
祭典世話人は「任期1年」というルールのため、翌年も続けて祭典世話人を務めたり、1度世話人を経験した人が2回、3回と務めることはありません。
年間を通して吉田の火祭りの準備のために様々な奉仕活動を行うにあたり、そのノウハウはどうやって継承しているのでしょうか?
今回は、祭典世話人の制度を支えるOBたちが、どのように現役の祭典世話人を支援しているのか?を現地で取材をしてきました。
祭典世話人制度を支える①旧世話人
旧世話人とは、昨年祭典世話人を務めたOBのことを指します。昨年の経験を活かしながら、現役の世話人たちをサポートしつつ、お祭り当日は神事にも携わります。
世話人は、任期を終える前に次の年の世話人を見つけてくるまでが仕事。しかし、なかなか14名の世話人を探すのは毎年大変だと言います。世話人が総力を挙げてスカウトをし、中には10回以上申し込みをしてようやく世話人を引き受ける人もいるんだとか。
そういう思い入れがあるからこそ、現役世話人と旧世話人とは兄弟の様な信頼関係が築かれています。
祭典世話人制度を支える②氏子青年会
氏子青年会とは、平成14年に発足した組織。先代の北口本宮冨士浅間神社の宮司さんが立ち上げた組織です。現役世話人、旧世話人を経験した世話人OBが所属する組織で、加入する・しないは任意とのこと。
今でこそ現役の世話人をサポートするOBの人数は増えているものの、発足当時はあまり現役世話人をサポートするOBはいなかったんだとか。氏子青年会発足前の、平成13年に祭典世話人を務めた方に話を聞くと…
当時は、現役世話人14名だけであらゆるお祭りの準備を行っていました。夜遅く、時には日付が変わるくらいの時間までかかって、神社の境内で準備に追われていたことは今でも忘れません。
とのお話を聞かせていただきました。当時どれほど大変だったのかが分かります。
また別のOBの方は、
もちろん、現世話(現役の祭典世話人の通称)をほっとけないという気持ちはあるけど、やっぱり中心になって引っ張っていってくれている“親方”の存在があるから。親方が頑張っているから、俺も付いて行こうという気持ちで手伝っている。
と、お話を聞かせていただきました!
いただいたコメントにあった“親方”は、祭典世話人OBのお一人で、15年以上毎年祭典世話人たちの面倒を見ている方のことです。
因みに、“親方”にインタビューの申し込みをしたのですが、取材NG!とのことでしたので、この記事ではご紹介できませんでした(泣)今後もあきらめずに取材の申し込みを続けたいと思います!
祭典世話人をサポートするOBたちを写真でご紹介!
吉田の火祭りの準備をサポートする、祭典世話人OBさんたちの姿をフォトレポートでご紹介します!※旧世話人と呼ばれる、昨年祭典世話人を務めた方も含めてのご紹介です。
・・・
今回は、吉田の火祭りの縁の下の力持ちである祭典世話人制度の、ノウハウ継承とサポートに携わる祭典世話人OBを取材させていただきました。吉田の火祭りが毎年開催されているのは、祭典世話人の働き合ってこそですが、OBは祭典世話人を経験したからこそ、その大変さや辛さが理解できる。だからこそOBとして現役の祭典世話人を支援しようという気持ちで取り組まれていることが分かりました。
旧世話人と、OBの協力がある限り、祭典世話人制度と祭り準備のノウハウは継承されていくことでしょう。
吉田の火祭りに足を運ばれた際は、お祭りの運営にかかわる祭典世話人と旧世話人、そのOBたちの活躍にも注目していただきたいと思います!