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熊谷うちわ祭は参加歓迎のお祭り!?いつ参加できる?観光客もOK?【埼玉県熊谷市】

2025/6/23
2025/6/23
熊谷うちわ祭は参加歓迎のお祭り!?いつ参加できる?観光客もOK?【埼玉県熊谷市】

夏の暑さで知られる埼玉県熊谷市。この街が、さらに熱く盛り上がる三日間があります。その舞台が、「関東一の祇園」とも呼ばれる「熊谷うちわ祭」!

熊谷うちわ祭ポスター

毎年7月20日から22日にかけて熊谷市の中心部で開催されるこのお祭りの見どころは、期間中に各所を曳き回される12基の山車・屋台。この山車・屋台が集まり、賑わう姿を見ようと例年多くの観光客が訪れます。
「関東一の祇園」と称されるほど壮大で賑やかなこのお祭りの魅力は多岐に渡り、各町区の山車・屋台の巡行に一般の方が参加できるチャンスが多数用意されているなど、知る人ぞ知る楽しみ方が盛りだくさん。
隣町の出身で、熊谷へ高校通学経験のある筆者が、熊谷うちわ祭の魅力と実際にお祭りに参加する方法を、分かりやすくお伝えしていきます!

山車・屋台が見逃せない熊谷うちわ祭

熊谷うちわ祭は、熊谷市鎌倉町に鎮座する「愛宕八坂神社」に合祀された「八坂神社」の例大祭の通称です。八坂神社は、その名の通り京都の八坂神社から戦国時代末期の文禄年間(1592年-1596年)に勧請された神社で、お祭りも京都の「祇園祭」と近い時期に行われています。
京都の祇園祭は、毎年7月1日から31日までの一ヶ月間開催される、疫病退散を願う「御霊会(ごりょうえ)」の流れを組むお祭りです。この「疫病退散」という祈りは、京都だけでなく全国へと広がり、各地で祇園祭が根付いていきました。特に夏場は、数々の疾病が広がりやすい時期。医療が発達する前は命取りになることも多かったこの時期に、祇園祭や熊谷うちわ祭が開催されているのにも、このような歴史的背景があります。

熊谷うちわ祭

江戸時代中期の寛延3年(1750年)に書かれた文書に熊谷の夏祭りの記載が見られるところからも歴史を感じられます。この年に町民の願いにより、それまで各寺社がバラバラに行っていたお祭りを町内一斉に行うようにしたことが、今に伝わる熊谷うちわ祭の原型と言われているそうです。

“うちわ祭”という珍しい名称が付いていますが、その由来は明治時代にまで遡ります。元々このお祭りでは、地元の町内各店が買い物客などに赤飯を振る舞う風習がありました。こちらは江戸時代後期の天保年間にはじまったとされていますが、明治35年頃に地元料亭「泉州楼」の主人が東京での修行時代に訪れた「天王祭」で、うちわが飛び交う光景に刺激を受け、日本橋小舟町の老舗「伊場仙」から渋うちわを買い求め、熊谷で配るようになりました。その後に地元商人たちが屋号を書いたうちわを祭礼に合わせて配布するようになり、”うちわ祭”と呼ばれるようになっていったそうです。

今でも各商店等の屋号の入ったうちわを手に入れられるのも熊谷うちわ祭の楽しみ方の一つ。このうちわには純国産の「丸亀うちわ」を使用しており、職人が一枚一枚手作りしているという点も見逃せないポイントなんです。スポンサーによっての特別デザインがあったりもしますので、うちわを見比べてみるのもおすすめですよ。お祭り広場に設置された八坂神社の行宮を参拝するといただけますので、ぜひ手に取ってみてください!

熊谷うちわ祭

そして、熊谷うちわ祭の魅力といえば、なんといっても勇壮に曳き回される山車・屋台です。総勢12基の山車と屋台が市街地を練り歩き、叩き合い(お囃子の競演)を繰り広げる様子はまさに圧巻。20日に熊谷駅前にすべての山車・屋台が横一列に並び行われる「初叩き合い」、21日に国道17号で行われる「巡行祭」、22日に熊谷うちわ祭のフィナーレ的に行われる「曳っ合せ叩き合い」は見るものを魅了します!

江戸時代には、中山道の宿場町「熊谷宿」として発展した熊谷。江戸時代から続く町人の文化は、時を超えて今でも残っています。その片鱗を見ることができるのが、山車・屋台です。絹産業が盛んであった明治時代には、東京・神田の紺屋から第弐本町区が山車を買い入れ、これを皮切りに、豪華な江戸型山車や屋台の購入・制作が各町区で盛んになりました。神田祭ではもう見られなくなった山車や屋台の姿を、熊谷では今もなお豪華絢爛な形で見ることができるのです。

熊谷うちわ祭

初日の町内巡行に参加しよう

初日の昼に行われる「町内巡行」では、各町が運行する山車や屋台が、各町内を曳かれていきます。外部の方も曳くことができますので要チェックですよ!山車や屋台を曳く手伝いはもちろん、休憩所ではお祭り関係者の方々との交流もできちゃいます。

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

この山車・屋台を曳くのに、特別な準備はいりません。各町共通で50mほどの太くて長い縄を曳いているタイミングがあるので、「一緒に曳かせてください」と声をかけて参加してみてください。
祭り衣装などはいらず、普段着のままでOK!すべての町区で一般参加ができる時間を設けていますので、以下のマップを参考に山車・屋台を探してみてはいかがでしょうか。

12カ町の山車・屋台を巡航する熊谷うちわ祭。お祭りのはじまりということで、各町区ともに元気良く町内を回りますよ。

熊谷うちわ祭

時には山車・屋台に乗る人形を披露する場面も。山車・屋台から人形がせり上がってくる様子を直近に見られるのは、各町区を追いかけている時ならではの見どころです。

熊谷うちわ祭

12カ町それぞれの魅力がありますので、ぜひ推しの町区を見つけてみてください。
気になる町区があったら、ぜひ参加を!きっと特別な体験になりますよ!

各町の山車・屋台の紹介はコチラ

熊谷うちわ祭、日ごとの見どころをご紹介

1日目の見どころ

初日、20日の見せ場は二つ。「渡御祭」と「初叩き合い」です。
「渡御祭」とは八坂神社から御霊をお神輿に移し、お祭りの中心地となるお祭り広場に設置された行宮へと渡御する神事です。発輿祭・途上奉幣祭・着輿祭で構成され、朝6:00に本宮をスタートし、約6kmを3時間かけて市内を巡り、町を清めて周ります。重要な神事のひとつですので、ぜひこの時間から来てみてはいかがでしょうか。

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

「初叩き合い」は、熊谷駅前に12基すべての山車・屋台が一列に並び、お囃子を奏で合う、初日の最後に行われる見どころです。こちらは夜18:30から開始されます。
熊谷うちわ祭の初日に来たからには、これを見ずには帰れません。ぜひその年最初のお祭りの熱気を感じてください。
熊谷駅前ということでアクセスもしやすく、初参加の方でも気軽に見ることができるシーンです。

また、この時にぜひ注目していただきたいのがお囃子です。熊谷うちわ祭で奏でられるお囃子は「熊谷祇園囃子」と呼ばれ、その特徴は、なんといっても擦り鉦(すりがね)の音ではないでしょうか。これを大音量で叩き合い、カンカンという音を響かせる様子は、熊谷うちわ祭に来た記憶に深く刻まれるでしょう。この擦り鉦の音をベースに、附締太鼓(しめつけだいこ)、長胴太鼓(ながどうだいこ)、鉦、篠笛の4点セットでお囃子が構成されていきます。

地元のお祭り関係者に聞いたところ、第弐本町区が江戸から山車を買い取って地元でお囃子が作られた当初は、鉦の音が前面に出ない江戸囃子だったものが、鉦が特徴的な「さんてこ囃子」の囃子手たちが演奏しているうちにその要素がミックスされていき、熊谷らしい元気のあるお囃子に進化していったようです。(諸説あります。)
アップテンポで奏でる銀座区やゆったりとしたリズムの第壱本町区など、同じ熊谷祇園囃子でも各町区での違いや特徴があります。地元の囃子手であっても、自分の町区以外のお囃子を奏でることは難しいと言われるほど、各町区の演奏には独自の特徴がありますので、ぜひ注目してみてください。

そして、もう一つの楽しみに「町内巡行」があります。初叩き合いが行われる前の昼過ぎから夕方にかけては、山車・屋台が各町区を曳かれて行くのです。夜のお祭りとは違い、落ち着いた雰囲気の中で行われるこの時間帯は、地域の空気感を感じられるタイミングでもあり、ディープにうちわ祭を楽しみたい方にぴったりです。地元の方との話がしやすい時間でもありますので、“推し町区”を探して、気に入った町区があったらその町区を中心に3日間のお祭りを巡ってみるというのもおすすめです。

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

2日目の見どころ

2日目、7月21日のメインは「巡行祭」。各町の山車・屋台がお神輿とともに熊谷の市街地を練り歩く壮大なパレードです。

例年13時からでしたが、近年の猛暑対策として夕方スタートに変更されているのでご注意を。
各町区は、17時に八木橋百貨店前の交差点に集結。神事を経て、17時30分ごろから整列巡行が始まります。12台の山車・屋台が目の前を次々と通り過ぎる様子は圧巻。彫刻や刺繍幕など、細部まで贅を尽くした“動く芸術”を、じっくりとご堪能ください。

巡行祭二つ目の見どころは、扇形に山車・屋台が並ぶ市役所入り口交差点。鉦(かね)や太鼓でお囃子を鳴らし合う様子は見応えがあり、ぜひこのお祭りの盛り上がりの中に身を置いてみてください。

1日目に推しの町区を見つけたという方には、大通りを進む山車・屋台についていくことができるチャンスの日でもあります。地点地点で町区の方と話をしたり、記念写真を撮れるタイミングもありますので、チェックしてみてください!

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

そして、2日目の夜は特におすすめです。

この夜だけは、年番町区(祭りの主幹町)が定める公式行事から離れ、各町区の組頭を中心に、山車・屋台がより自由に動き出します。お祭り関係者の熱量が最高潮に達する時間帯です。

巡行祭を終えた山車・屋台は再び西へと向かい、20時頃には再び八木橋百貨店前の交差点に集結。その後、鎌倉町通りや星川通り、細い路地へと入り込み、辻々で「叩き合い」が繰り広げられます。熱と音と光が交錯する、熊谷うちわ祭屈指の見どころです。お見逃しなく。

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

3日目の見どころ

熊谷うちわ祭の、三日間の熱気が最高潮に達するクライマックスが7月22日。この日特に見逃せないのが、夜に行われる「曳っ合せ叩き合い」です。
夜20:00時過ぎ、「お祭り広場」と呼ばれる市街地の交差点に12基の山車・屋台が集結し、各町がお囃子を叩き合い、音が重なり合い、お祭りはフィナーレへと向かっていきます。

提灯の灯りが揺れる中、各町が誇る山車・屋台が真正面から向き合い、お囃子を叩き合う様は圧巻そのもの。他には変え難い感動を覚える瞬間に立ち会えます。

熊谷が一年で最も熱くなる夜を、ぜひご堪能ください!

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

「曳っ合せ叩き合い」の後には重要なお祭りの儀式である「年番送り」が行われます。
熊谷うちわ祭は、毎年異なる町区が「年番町」として、お祭り全体の統括を担っています。20:30頃から行われる年番送りでは、今年の年番町から翌年の年番町へとその役目が正式に引き継がれるのですが、その儀式も見どころの一つとなっています。

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

フィナーレを飾った山車・屋台が各町区に帰って行ったあとも、まだまだ熊谷うちわ祭は終わりません!お祭りの締めくくりとして、八坂神社へとお神輿が戻っていく「還御祭」が執り行われるんです。
お祭り広場にある行宮に留め置かれたお神輿が、熊谷駅や市街地を経由して八坂神社へと戻っていきます。八坂神社へ到着するのは深夜に差し掛かる時間ですが、荘厳な雰囲気でのお神輿のお還りを見られるのは貴重な体験になること間違いなしです。

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

熊谷うちわ祭©熊谷市観光協会

毎年7月20日から22日の三日間で開催される「熊谷うちわ祭」は、12カ町による山車や屋台の共演をはじめ、お神輿の渡御、そして伝統ある貴重なうちわが手に入るなど、さまざまな楽しみが詰まった一年に一度のお祭りです。

また、推しの町区を見つけて、その町区の山車・屋台を曳くことも可能です。ぜひそれぞれの体験を「熊谷うちわ祭」でしてみてください!

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