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2026年度 お祭り団体・自治体に向けた補助金活用ガイド! ― 文化資源を“積み上げる”ための実践 ―

株式会社オマツリジャパン
2026/1/8
2026/1/8
2026年度 お祭り団体・自治体に向けた補助金活用ガイド! ― 文化資源を“積み上げる”ための実践 ―

祭りの運営に関わる方、地域観光を担う自治体職員や観光協会の方へ。2026(令和8)年度の観光庁予算は、訪日客の増加を背景に、観光を地域社会の中でどう持続させるかという視点を強めています。本記事では、その全体像と個別施策を整理しながら、補助金を単年で終わらせず、文化や祭りを地域に積み上げていくための考え方を解説します。

 

2026(令和8)年度観光庁予算の特徴

「量」から「質・分散・共生」へ。国の観光政策は次の段階へ

2026(令和8)年度の観光庁予算を読み解くうえで、まず押さえておきたいのは、国の観光政策が大きな節目を迎えているという点です。訪日外国人旅行者数3,000万人の達成を経て、次に見据えられているのは「6,000万人時代をどう迎えるか」という問いです。単に人数を増やすだけでなく、その増加を社会としてどう受け止め、持続可能なかたちにしていくかが、いま強く意識されています。

足元の動きとしては、為替の影響もあって訪日客は全体として伸びています。ただ、世界情勢や台湾をめぐる政治状況などもあり、一部の国からの訪日客が減少に転じているところもあります。それでも全体としては増加基調にあるため、国としてはここに対して大きく予算をつけ、積み増していく――そういう流れとして捉えるのが素直だと思います。

「質・共生」が意味するものとは何か

今回の予算の特徴は、大きく三つの柱に整理できます。第一は、「インバウンドの受入れと住民生活の質の確保との両立」です。予算書の中では「共存と質の向上」と整理されていますが、ここで言う「質」は、観光体験の質の話“だけ”ではありません。むしろオーバーツーリズムへの対応として、現地の住民の方々の生活の質を担保すること、安全性をしっかり守っていくこと――そのニュアンスが濃いと感じています。観光客がメジャーな観光地に殺到し、混雑やゴミ問題などが顕在化している地域もある中で、「共存」をどう成立させるかが課題になっている、ということです。

地方誘客と観光産業の再設計

第二の柱は、「地方誘客の推進による需要分散」です。東京・大阪・京都――いわゆるゴールデンルートや、すでに知られた観光地への集中を是正し、より広い地域へ人の流れを広げていく。そのためには、地方ごとの魅力を活かした体験コンテンツの整備と、それを支える交通や情報発信の環境づくりが欠かせません。

第三は、「観光産業の活性化」です。観光産業は地域経済を支える一方で、人的負担が大きく、収益構造が脆弱になりがちです。省力化や効率化、デジタル技術の活用を通じて、産業としての基盤を強化しようとする方向性が読み取れます。

こうした三本柱から浮かび上がるのは、観光を経済政策にとどめず、地域社会政策として捉え直そうとする国の姿勢です。次章では、この政策の流れの中で、祭りや文化資源に関わる人々が特に注目すべき個別施策について、具体的に見ていきます。

 

祭り関係者が注目すべき個別施策

「文化資源」を軸にした施策が整理された

2026(令和8)年度の観光庁予算の中で、祭りや伝統文化に関わる方々にとって、最も重要なキーワードは「文化資源の活用」だと考えています。今回の予算では、文化が単なる観光素材の一つではなく、地方誘客を支える中心的な資源として、明確に位置づけられています。

「文化資源を活用したインバウンド創出」とは何か

(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001975073.pdf)より

その象徴となっているのが、「文化資源を活用した全国各地のインバウンド創出・拡大」という項目です。この施策は、文化を軸に地方誘客を進めていくための大きな枠組みとして整理されており、その中に複数の具体的な取り組みが位置づけられています。

本格的な日本文化を「体験」にするという考え方

(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001975073.pdf)より

まず中心に据えられているのが、「本格的な日本文化を体験できるコンテンツの造成」です。祭りや伝統芸能、武道、地域に受け継がれてきた行事などを対象に、体験としての設計や磨き上げを行い、あわせて海外へのプロモーションまでを一体的に支援することが想定されています。単に「見せる」のではなく、背景や意味をどう伝え、どのように関わってもらうかが問われています。

拠点整備と文化財公開が持つ意味

(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001975073.pdf)より

この枠組みの中には、「地方誘客の核となる拠点の整備」も含まれています。文化資源を点として扱うのではなく、拠点施設や受入環境を通じて、面的に活用していくという考え方です。祭り会館や展示・体験施設などを活用し、開催日以外も含めて文化に触れられる環境を整えていくことが想定されています。

さらに、「国宝等の文化財の公開促進」も、この「文化資源を活用した全国各地のインバウンド創出・拡大」の一部として位置づけられています。秘仏や限定公開の文化財など、これまで観光活用が限定的だった資源を、適切な形で公開していく流れです。祭りと文化財を組み合わせた周遊やストーリー設計も、この文脈の中で考えることができます。

このほか、国立公園など自然に紐づくエリアにおいても、自然体験に地域の文化や行事を組み合わせることで、滞在の魅力を高めていこうとする考え方が見られます。自然資源と文化体験を重ねることで、観光の広がりを持たせていく、という補助的な視点として押さえておくとよいと思います。

(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001975073.pdf)より

観光需要分散と「地域の伝統行事の活用」

(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001975073.pdf)より

また、令和7年度補正予算に位置づけられている「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」も、祭り関係者にとって示唆の多い施策です。需要分散という方針のもとで、「地域の伝統行事の活用」が明確に盛り込まれており、観光庁の資料上でもだんじり祭りの写真が使われるなど、祭りが具体的な対象として想定されていることが分かります。

(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001975073.pdf)より

ここ数年来、訪日外国人向けの高付加価値な観光コンテンツをつくる事業と、全国各地で新たな観光資源やコンテンツを創出していく事業が行われてきましたが、両者が徐々に一体的に整理されてきているようにも見えます。これまで分かれていた新規創出型と品質向上型の考え方が、一つの枠組みの中で扱われる方向に向かっている、という理解です。

こうした中で、全国各地の祭り主催者や伝統芸能団体にとって、国が観光資源として「地域の伝統行事の活用」というイメージを持っていること自体は、全国各地の祭りの主催者や伝統芸能団体にとってチャンスなのだろうと思います。

ただし、これらは多くが間接補助事業であり、国が全額を負担するものではありません。地域側や事業実施者側の負担が求められる場合もありますので、その点は事前に確認しておく必要があります。

 

何から始めればいいのか

小さな祭り・初めてでも考えたい補助金活用の基本

ここまで、2026(令和8)年度の観光庁予算を軸に、国の観光政策の方向性を見てきました。いざ自分たちの地域や祭りに引き寄せて考えようとすると、「補助金は難しそうだ」「自分たちには関係がないのではないか」と感じる方もいるかもしれません。

結論から言うと、必ずしもそうではありません。補助金の申請にあたって、祭りの規模が大きいかどうか、過去に目立った実績があるかどうかが、最初に問われるわけではありません。大切なのは、その取り組みが地域の観光の方向性とどうつながっているか、という点です。

自治体との関係づくりが最初の一歩

実際、これまで観光庁の事業では、申請にあたって自治体の観光課などから同意や賛同を得ることが求められます。これは、地域としてその取り組みをどう位置づけるのかを確認するためのものです。ただし、主催を自治体にしなければならない、自治体が前面に立たなければならない、といったルールがあるわけではありません。民間の団体や祭りの主催者が主体となり、自治体から協力を得る体制が整っていれば、それで十分だと考えられます。

地域の観光戦略を知ることから始める

また、「これまで観光向けの取り組みをしたことがない」「実績がないと申請できないのではないか」と不安に感じる方も多いと思いますが、重要なのは、過去の実績よりも、いまその地域がどのような観光戦略を持っているかを理解しているかどうかです。たとえば、現在どの国・地域からの来訪者が多いのか、年間の客数はどれくらいなのかーーたとえば県がアジア圏からの集客を検討している中で、自分たちだけが欧米圏から招こう、と言うのは整合しないですよね。まずは観光協会や自治体の観光課に問い合わせて、公表されている観光統計や観光計画を確認し、自分たちの構想がそこから大きくずれていないかを整理しておくことは大切です。民間からの動きがあれば、前向きに受け止めてもらえることがほとんどだと思います。

補助金申請は、特別な人だけができるものではありません。地域の状況をきちんと把握し、関係者と対話を重ねながら進めていく。その積み重ねが、最初の一歩になります。

単年事業を「積み重ね」に変える視点

加えて整理しておきたいのは、自分たちの地域にどのような文化資源があり、それをどのような体験として捉え直せるのか、という点です。祭りのどの部分に価値があるのか。行事そのものなのか、担い手なのか、地域との関係性なのか。誰に向けて届けたいのか。開催日以外も含めて、活用できる余地はあるのか。こうした整理が、その後の企画や連携の軸になっていきます。

そして、一部例外はありますが、補助金事業が単年度で設計されていることも押さえておきましょう。補助金が採択されたからといって地域の課題をすべて解決できるわけではなく、補助金獲得は何かを始める第一歩に過ぎません。

ただし、補助金が単年だからと言って、地域側までが「その年限りの取り組み」として捉えてしまってはいけません。文化資源の磨き上げや体験コンテンツの造成、拠点施設の活用といった取り組みは、本来、一度きりで完結するものではなく、少しずつ積み重なっていく性質のものだからです。

補助金は目的ではなく、あくまで手段です。事業をきっかけに、次に何を積み上げていくのか。地域として、どのような形で文化や祭りを未来につないでいきたいのか。そうした視点を持ち続けることが、結果として意味のある取り組みにつながっていくのではないでしょうか。

 

オマツリジャパンの支援の実績

祭り・文化資源を活かした観光コンテンツ支援の実践例

ここまで見てきた観光庁の政策や施策の方向性は、文化資源を体験として設計し、実際に人を呼び込み、地域に価値を残していくことに重きを置いています。その流れの中で、私たちオマツリジャパンがこれまで取り組んできた実践は、まさにこの方向性と重なっています。

観光庁事業での造成・実施の実績

2024年度には、観光庁の「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」において、複数の事業が採択されました。東京高円寺阿波おどりでは、外国人旅行者向けに、踊りのワークショップ、演舞への参加体験、快適な観覧環境を組み合わせた特別体験ツアーを造成しました。また、武道を文化資源として捉え直した空手ツーリズムや、長野県、山梨県でも著名な寺社とワインなど地域資源を活かした体験事業などにも取り組みました。

補助事業に限らない、地域との伴走支援

2025年度にはーーこちらは観光庁の事業ではありませんが、祭りや伝統文化を軸にした観覧体験の造成や販売支援にも取り組みました。その事例の一つが、小浜放生祭での特別観覧体験の造成です。この取り組みは観光庁の補助事業を活用したものではありませんが、私たちは地域に足繁く通いながら、祭りの保存会や担い手の方々、観光協会など観光に携わる方々の間に入り、対話を重ねてきました。「ここまでなら祭りとして無理がない」「この形なら観光客にも楽しんでもらえる」。そうした感覚をすり合わせながら、体験商品として形にしていきました。文化と観光のあいだをつなぐ“橋渡し役”を担うことも、私たちの重要な役割だと考えています。

一方で、「売る」というフェーズにおいても、私たちは実践を積み重ねてきました。西馬音内盆踊りでは、特別観覧体験の販売支援を行っています。青森ねぶた祭をはじめ、これまで数多くの富裕層向け観覧体験を自ら企画・販売してきた経験を活かし、地域で造成された商品をどのような形で市場に届けていくかを一緒に考えてきました。

販売については、私たちが自社のお客様に直接販売する導線に限りません。販売を担う事業者や、国内外の旅行会社などに商品を届けるためのサポート、いわば販路開拓の強化も行っています。地域の中で生まれた商品を、適切な形で継続的に流通させていく。そのための選択肢を用意できることも、私たちの強みです。

構想から販売、その先まで支えるという考え方

私たちの支援の特徴は、こうした実績の背景にある、「関わり方」そのものにあります。企画が固まった段階から関わるだけでなく、構想段階から地域に入り、必要な場合は補助金申請の支援、そして実際に採択された後の造成、販売、継続までを一つの流れとして捉えています。

地域の取り組みを一過性のものに終わらせず、地域にとって意味のある形で積み上げていく。その一連のプロセスに寄り添い、伴走できることが、オマツリジャパンの支援です。

祭りや文化を、これからの時代にどうつないでいくか。補助事業の活用に限らず、構想段階から造成、販売、その先の継続まで、どこからでもご相談いただけます。地域の状況に寄り添いながら、一緒に考えていければと思います。まずはお気軽にお声がけください。

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