日本の代表的な性の奇祭である神奈川県川崎市の「かなまら祭」。約4万人も訪れる観客の8割が今や外国人という、インバウンド人気も非常に高いお祭りです。私たちオマツリジャパンでは、2023年に宵宮の神事などを体験する特別プランの企画と販売を行いました。
2024年には、同プランを購入希望者自身による「参加型価格決定方式」で販売する実証実験を実施。他にも警備費削減への一助となるよう「お神輿お守り隊」を企画・販売、提灯協賛メニューもすべてオンラインで販売しています。
<この記事のポイント>
- ・混雑を回避できる「駒札」をはじめ濃い内容で満足度の高い体験プランを提供
- ・参加型価格決定方式の『イイ値(ね)決めチャレンジ』を導入して実証実験
- ・警備費を軽減する企画を体験商材化。提灯協賛もオンライン販売
- ・インバウンド対応
目次
行列を回避できる「駒札」が人気!特別な体験プランを提供
オマツリジャパンが「かなまら祭」を主催する若宮八幡宮様(金山神社様。以下敬称略)とのご縁をいただいたのは2019年のこと。前宮司の中村様にインタビューに応じていただき、2本の記事を作成して弊社のメディアサイトに掲載しました。
翌2020年には、コロナ禍で無観客・関係者のみの開催だったかなまら祭のオンライン配信をお手伝い。その後、弊社のオンラインショップ運営が本格化し、お祭りの体験ツアー販売等ができないかとご相談したことが、2023年の宵宮特別プランの企画へと繋がります。
宵宮特別プランは、ご相談で出た多くのアイデアを盛り込み、下記の内容で開催しました。
- ・大根を男根を模した形に削る「大根削り神事」を体験
- ・現在は非公開となっている、性にまつわる資料室を解説付きで見学
- ・関係者のみで行われる宵宮祭を間近で観覧
- ・大根削り神事の限定御朱印を進呈
- ・本来は関係者のみがつける駒札(下げ札)を進呈
このうち、特に好評だったのは「駒札」です。翌日のかなまら祭の本祭は、大混雑で境内に入るまで数時間も行列に並ぶことも少なくありません。この駒札は「ファストパス」のように、提示すれば警備員が優先的に境内に通してくれるもの。宵宮特別プランの大きな特典になると期待して売り出したところ、若宮八幡宮公式X(旧Twitter)以外での告知をほぼ行わなかったにもかかわらず、1枚5,000円で限定30枚の参加チケットは数日のうちに完売となりました。
参加者へのアンケートにも「駒札がもらえるから申し込みました」「何といってもファストパスとして使える駒札があるのが嬉しい。それでこの値段は破格だ」といった回答が複数あり、駒札の効果も相まって満足度の高い体験プランを提供できました。
2024年の販売では「購入希望者が金額を決める」仕組みを導入
2023年が盛況に終わったことで、宵宮体験プランは2024年も開催を前提に計画が進んでいきました。ただ、参加者アンケートに「破格」とあったように、販売価格については検討事項でした。募集人数を増やすことも検討しましたが、神社の広さや体験内容から難しく30人が上限です。初回は若宮八幡宮のご好意でお弁当とお茶もプレゼントしていただきましたが、それらも正式にプラン内容に盛り込んだうえで適正価格を探っていきました。
そして2023年が暮れる頃、オマツリジャパンは慶應義塾大学経済学部の河合啓一先生よりお問い合わせを受けます。河合先生は同年の夏に青森ねぶた祭をはじめとした各地のお祭りで高額の有料観覧席というキーワードを目にする中で、その金額が消費者にとって適正な金額なのか、高すぎたり安すぎたりはしないか、消費者ニーズに応えられるような販売の仕組みもあわせて研究対象にしていらっしゃいました。
そこで、若宮八幡宮のご快諾を得て、2024年の宵宮特別プランはいわば購入希望者自身が購入金額を決める「参加型価格決定方式」という新しい仕組みの実証実験を兼ねて販売することが決まりました。これは販売開始時に一番高い金額が提示されており、時間の経過とともに徐々に提示された販売金額が下がっていき、購入希望者は自身が「この金額を支払ってもいい」と思う金額のときに予約購入し、最後に売り切れた時点の販売金額が全員の支払金額となる「誰も損をしない」という仕組みです。
この仕組みの導入については、株式会社サイバーエージェントAI事業本部AI Lab様と慶應義塾大学経済学部 河合啓一研究室様による、フェアな価格付けに関する取り組み『イイ値(ね)決めチャレンジ』の一環として行いました。
通常のオークションでは金額が徐々に上がっていきますが、それとは逆に金額が下がっていく新しい感覚の販売方法のため、解説動画や記事で丁寧にご説明し、参加希望者には仕組みをご理解いただいたうえで購入に進んでいただくよう工夫しました。結果は、30,000円からスタートした販売金額が13,450円の時点で売り切れとなり、想定した金額を大きく上回るものとなりました。
今回は小規模なお祭りでパイロット版として実施しましたが、このようなテストを繰り返していくことで、今後は大規模なお祭りやイベントへの適用も考えられます。金額を下げるオペレーションも将来的にはAIを活用したり、販売ページに組み込むなどで自動化の可能性も広がります。この販売方法にご興味を持たれた方はぜひお気軽にお問い合わせください。
警備費を軽減する企画を体験商材化。提灯協賛もオンライン販売するメリットとは?
昨今、お祭り開催では警備費の高騰に悩みが尽きませんが、かなまら祭も例外ではありません。特に、お祭りのシンボルともいえる巨大な男性器を象ったピンク色の「エリザベス神輿」は、運行中どこにいっても大混雑を引き起こし、間近で見たくても近づけないほどです。
しかし逆に、お神輿にぴったりと寄り添って歩けるのなら、お金を少し払ってでも体験したい方、お祭りに携わりたいと思ってくれる方がいるのではないか?ということから「お神輿お守り隊」という新たな企画商品が生まれました。
2024年はお試しで10名限定、参加費を一人3,000円で募集したところ、数日で完売。宵宮体験プランが『いい値(ね)決めチャレンジ』で売り切れた後に販売したため、「残念ながら宵宮体験は予算が合わずに買えなかったけれど、こちらのなら買えました」という需要も取り込むことができました。
お神輿の運行中は写真撮影などはせずに渡御に集中していただき、お神輿と担ぎ手を守るかたちで運行に追従していただくという条件を設けましたが、参加者全員がその条件を守ってくださいました。来年以降は、例えば4基あるお神輿すべてに「お守り隊」についていただく、エリザベス神輿にはもっと多くの方についていただくなど、ブラッシュアップした企画をお届けする予定です。
また、2024年は提灯協賛の一部をオマツリジャパンのオンラインショップで販売しました。鳥居の左右に1か月間掲出されるもので、お試しで1週間限定で販売したところ、地域内だけでなく、かなまら祭に提灯を掲出したいという遠隔地の企業や個人の方からも受注。地元だけではなく全国から協賛を募れるのはオンライン販売ならではといえるのではないでしょうか。
しかも、オンラインでの販売はとても簡便です。少量でも売ろうと思ったときすぐに商品販売ページを作成し、スピーディーに販売フェーズに移れます。販売プラットフォームを持ち、豊富な販売実績とお問い合わせへの細やかな対応に定評のあるオマツリジャパンにぜひお任せください。
インバウンド対応も可能。体験プランの企画や協賛メニューのオンライン販売も弊社へ
かなまら祭はいつ頃から外国人に注目されていたのでしょうか。神職の中村様のお話によると、30~40年ほど前、日本に滞在していた知識人が新聞記事に取り上げたことがきっかけなのだとか。しかも、昔も今も口コミによる広報がほとんどというのは驚きです。
宵宮体験プランにもアメリカやアジアの方が参加され、お神輿お助け隊にも欧米の方が参加されました。オマツリジャパンではスタッフの中に英語でコミュニケーションが取れるメンバーが複数名おりますので、海外の方がいらっしゃっても英語でサポートが可能です。
そして現在は体験プランの販売エリアが国内のみですが、ゆくゆくは海外にも販路を広げてインバウンドのお客様を呼び込みたいと考えています。
今回の宵宮体験のような満足度の高いプランの企画、警備費の軽減を目指す「お神輿お守り隊」のような企画や発想は、ご相談や対話の中から生まれました。ぜひ一緒に考えていければと思いますので、私たちにお気軽にご相談ください。
また、桟敷席や観覧席の販売に参加型価格決定方式を導入してみたい、提灯を始めとした祭りの協賛メニューのオンライン販売をお考えの皆さまも、ぜひ一度オマツリジャパンにお問い合わせください。