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シリーズ【インバウンド集客の秘訣、話します!】  ①忘れがちな「販路」の話

株式会社オマツリジャパン
2024/6/20
2024/6/20
シリーズ【インバウンド集客の秘訣、話します!】  ①忘れがちな「販路」の話

コロナ禍が明け、円安の影響も受けて、外国人観光客が大挙して日本を訪れています。これを商機と見た国や自治体でも、さまざまな補助金で外国人観光客向けの旅行・体験商品の造成を促しています。これによって、日本各地に魅力的なコンテンツがたくさん誕生していますが、申請作業やコンテンツ作りに集中するあまり、せっかくの商品を知ってもらい、買ってもらう「販路」のことが見落とされている例が多々あります。皆様のお悩みに、オマツリジャパンのインバウンド集客スペシャリスト、田中がお答えします。

 

魅力的なコンテンツも知られなければないのと同じ

菅原:皆様、こんにちは。株式会社オマツリジャパンの菅原と申します。そして、もう1名は当社の営業部長・田中でございます。

田中:どうぞよろしくお願いいたします。

菅原:2024年度になってから早くも2カ月が経過し、現在は6月。株式会社オマツリジャパンでは全国のお祭りや地域の伝統文化を観光資源として活用するためのアドバイスや実行支援を行っておりますが、特にこの時期は、官公庁や自治体の実証事業や入札関係の公募などに取り組む時期、あるいは採択が決まって事業をスタートする頃です。

コロナがほぼ収束し、観光客も国内外で戻りつつありますが、日本の観光政策においては訪日外国人向けの受け入れ体制の整備や観光商品の造成に注力しています。国や自治体も外国人観光客をターゲットにした観光戦略に力を入れているトレンドがあります。そこで本日は、私たちの観光商品の造成、販売支援において、特にインバウンドへの販路開拓支援のスペシャリストである田中の経験を生かした地域観光商品の開発と販売における戦略について情報発信をしたいと思います。

国の事業に関して、動画をご覧いただいている皆様の中には申請や採択された方もいらっしゃるかと思いますが、その際に見落とされがちなのが、作成したコンテンツをいかに流通に乗せるかが重要なポイントです。今回は、地域の皆様が作成する商品を販路に展開する際に考えるべきポイントを少しご紹介できればと思います。

それではまず、メインスピーカーの田中さんに自己紹介をお願いいたします。

田中:オマツリジャパンの田中寛典と申します。私は以前、新宿・歌舞伎町にあった「ロボットレストラン」の営業部長として販売やプロモーションを担当しておりました。この施設は4年前、コロナ禍前に閉店しましたが、年間35万人ほどのお客様の99.1%が外国人という非常に特徴的な商業施設でした。

この施設の閉店後、私は、その集客実績を基に観光庁や文化庁の補助金事業のコーチングアドバイザーとして活動を続け、その後、オマツリジャパンに入社いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

菅原:本日は2人で話を展開して参りますが、私から質問を投げかける形で進めて参りたいと存じます。初めに、インバウンドに対して観光商品を作る際に意識すべき点について、お話しいただけますでしょうか。

田中:「インバウンド」というと、今では観光業界で使われてきた「訪日外国人観光客」を指す言葉として盛んに使用されていますが、一方でマーケティング用語としてもかねて使われていて、いわゆる「待ち受け型」の営業手法を示す言葉なのです。たとえば、お客様に対してホームページを整備したり、外国人の方には多言語対応をしたり、といった手法ですね。

しかし、私がロボットレストランで成功したインバウンド集客では、むしろその逆の「アウトバウンド」な営業を積極的に行っておりました。具体的には、近隣の商業施設や旅行代理店への営業、広告の掲載などです。

要するに、一番心配なのは、多くの人がコンテンツ制作などに力を注いでインバウンド対応したと満足して、アウトバウンド的な「販売」「販路開拓」のことを見落としてしまうことです。いくら魅力的な旅行商品を作り、魅力的なホームページを整備したところで、それだけではお客様が訪れてくださるわけではありません。

菅原:おっしゃる通りですね。

田中:商品やサービスを広めるためには積極的なプロモーションが必要です。それは広告費用をたっぷりかければできることがたくさんありますし、一方無駄な費用を使わずにできることもあります。

例えば、2024年現在でもチラシや紙媒体の広告は重要です。延べ35万人の外国人客をお招きしたロボットレストランの取り組みでは、9年間にわたり、確実な成果を上げ続けたのは、都内の宿泊施設にパンフレットを配布することでした。紙媒体の広告は、印刷費やデザイン費は必要となりますが、インフルエンサーに頼みましょう、あるいはCMを打ちましょうといったことに比べれば、当然費用は抑えられますね。

そして、チラシやポスターを作る際にはデザインなども大切ですが、もっと大事なのは効果測定です。例えばロボットレストランでは、チラシにナンバリングして、どの地域からのお客様かを明確化する仕組みを構築していました。「あ、この数字はこの宿泊施設から来たお客様だ」、「あ、これは県外から来たお客様だ」などと把握することができていました。

当然ながらこれは常設の商業施設だからこそ可能な手法なのですが、補助金事業を含めて、せっかくの事業を単年で終わるものにしてしまうのは適切ではないと思います。なるべく作成したものを継続して使用する姿勢が望ましいです。

そして、どの国籍のお客様が、何人でご来店したか、お客様の年齢層など、実際にご来店したお客様からアンケートを取って、それらのデータを収集するという方法も有効だと思います。実際、外国人観光客が増えた、とおっしゃっている地域の皆さんに、「何かプロモーションを行っているのですか?」あるいは「どのような方が来ていますか?」と伺っても、その詳細を答えられる方はほとんどいらっしゃいません。「なぜか分からないけれど、お客様が来ている」、こんな状態は非常にもったいないと思います。積極的にデータを収集し、それをマーケティングに繋げることをおすすめします。

突出した地域や年齢層、つまりターゲット層が定まっていれば、そこに特化して進めていくか、あるいはその同様のお客様や国籍などで可能性のある地域が見つかれば、まだ来ていない地域へのプロモーションを検討もできます。

 

事業地域に外国人観光客を呼び込む第一歩は?

菅原:チラシだけでもいろいろなことがわかりますね。

田中:最近、補助金や助成金を受けて作成したコンテンツを、外国の方に売りたいけれどどうすればいいか、という相談が私のところにも多く寄せられています。皆様の悩みは共通している部分が多いため、いくつかのポイント、手順を説明いたします。

私がまずお勧めするのは、自分の所属している都道府県の外国人観光客の統計をウェブサイトなどで調べることです。観光統計から外国人の宿泊データを確認し、自分の事業地域にどの程度外国人が来ているのかを調査します。

それでもし、自分の事業地域に、外国人観光客が少ないことがわかった場合にどうすればいいのか? ならば近隣の観光客が多い地域から呼び込む方法を考えましょう。例えば、観光客が多い宿泊施設にパンフレットを置かせてもらうなどのプロモーションが有効です。

そして、もう一つ集客の重要なポイントはOTA(オンライン・トラベル・エージェント)の活用です。著名なところで言うと「TripAdvisor」などのサイトに商品を掲載することで外国人観光客に大いにアピールできます。

OTAでの販売には当然ながら手数料がかかるため、価格設定の際にはこれを考慮する必要があります。適切な販売サイトを選ぶことも重要です。各OTAにはそれぞれの強みがあります。選定に当たっては、観光庁が提供しているOTAに関するまとまった情報がありますので、参考にしてください。

OTAのことは、私たちオマツリジャパンをはじめ、専門の企業に相談・依頼することも一つの方法だと思います。プロジェクトに応じたコンサルティングや翻訳サービスも利用できますので、予算に応じて協力会社を活用していただくのもおすすめです。

 

OTAとは?初めて利用する時に考えたいこと

菅原:初めてOTAを利用するという事業者の方も多いと思います。現在、複数のOTAが営業を展開していると思いますが、海外向けのチケット販売や掲載に関する相場や、掲載後の管理についてもお聞かせいただけますか?

田中:通常、相場は15%〜22%程度です。ただし、各会社によって異なります。そして今ご指摘いただいたように、OTAに販売ページを作成し、商品が売れた後の管理も重要です。専属のスタッフがメールを管理し、予約が入ったら在庫を減らすなどの作業が必要になります。これらの管理は大変なので、誰がチケット管理をするかも考慮して掲載を決めていただきたいと思います。

例えば、「オマツリジャパン」では複数のOTA、旅行会社と契約しており、それぞれの旅行会社とのパイプを持っています。当社のような協力会社に管理を任せることで、事業者のチケット管理の負担を軽減することもできます。

菅原:オマツリジャパンでも、全国各地のお祭り関連の特別体験や観覧席などの扱う機会が増え、複数のOTAとパートナーシップを結んでおります。どこに掲載するか迷われている場合は、弊社にご相談いただければ、フラットな視点で適切な掲載先をアドバイスできます。例えば、今お話ししている田中からの直接のアドバイスも可能です。

在庫管理や予約管理について、もう少し詳しく教えていただきたいです。ちなみにロボットレストランではどうやって管理していたのですか。

田中:ロボットレストランでは、複数のサイトから予約を取り、自社サーバーで予約管理ページを作ってまとめていましたが、専任スタッフが必要となる業務です。

しかし一方で、管理の煩雑さやコストを避けて、予約先を一社だけに頼るのは不安があると考えます。各会社によってターゲット層や得意な客層が異なるので、複数の会社を利用するのが良いでしょう。事業規模にもよりますが、最大で3社程度の窓口を検討するのが良いと思います。

リリース後に、オペレーションや満足度の検証、どの販路で売れたのかも検証が必要です。例えば、観光協会やDMOの皆さんが在庫管理をする際には、まず2〜3社をピックアップして販売状況を見ながら継続可能なビジネスモデルを目指すことが重要です。

細かい部分ですが、OTAには旅行会社と提携しているところもあり、例えば、A社と提携しているグループ全体の予約を一つのシステムで管理できるものもあります。また、メールや電話での連絡を一元管理するシステムもあります。事業規模に応じて、そうしたシステムを利用するのも一つの手段です。

また、地域の観光局や政府機関(例えばJNTOやJETRO)に相談するのも有効です。彼らは観光客向けの情報を豊富に持っていますし、適切なOTAを紹介してくれることもあります。特に、予算が限られている場合には、こうした政府機関を活用することをおすすめします。

 

販売の計画こそ早急に!理想は「半年前から」

菅原:なるほど。ありがとうございます。それでは、こうした販売戦略についてスケジュール感はどのように考えればいいのでしょうか?

田中:スケジュールを考える前提として、「旅前」「旅中」「旅後」という考え方があります。「旅前」では旅行計画を立てる段階でのプロモーション、「旅中」では現地での情報収集に基づく決定、「旅後」では旅行後の体験共有、それぞれに応じた戦略が必要です。

例えば、採択が進んでいる観光庁の「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」では、「旅中」のプロモーションが効果的だと考えられます。OTAも「旅中」に強い旅行会社が多いため、予約タイミングに応じた戦略を立てることが重要です。

そして、販売スケジュールが遅れると、年間の事業計画に影響が出るため、販売期間は十分に確保する必要があります。例えば、2025年1月開始のイベントやツアーの場合、少なくとも2カ月間の販売期間が必要です。さらに準備期間を仮に3週間程度と想定すると、旅行会社と契約し、販売計画を立てるために、少なくとも半年ほど前、今年の夏には動き始めるべきでしょう。

特に助成金事業の場合、夏や秋にイベントを実施する場合は、その前から旅行会社に連絡し、販売方法やターゲットを決めて動く必要がございます。全ての仕様がきっちりと固まる前にでも、旅行会社やOTA(オンライン旅行代理店)と相談し、過去の事例や写真素材などを提供して早期に動き出すことが重要です。

国別の観光客数の事情も考慮する必要があります。例えば、オーストラリアや欧米の観光客は、半年以上前に旅行計画を立てることが多いのですが、一方でアジアの観光客は3カ月前に計画を立てることが多いというデータがあります。こうした国ごとの違いを理解し、適切なタイミングでプロモーションを行うことが大切なのです。

菅原:ありがとうございます。今回の動画では、インバウンド向けのチケット販売の第一歩についてお話ししました。今後も動画コンテンツを発信してまいります。今回お話しした内容と、課題が重なる事業者の皆様は、ぜひお気軽に「オマツリジャパン」にお問い合わせください。弊社の事例についてもリクエストがあれば動画を用意いたしますので、ぜひご視聴ください。ありがとうございました。

【この記事は動画版もあります!】

オマツリジャパン公式youtubeチャンネル

 

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