夏は水辺で行われるお祭りや神事が多い季節。特に「川」を舞台に行われるものは「川祭り」と呼ばれます。中でも規模の大きさや歴史・由緒といった観点から
◎尾張津島天王祭(愛知県津島市)
◎天神祭(大阪府大阪市)
◎管絃祭(広島県廿日市市)
の3つが「日本三大川祭り」と称されています。厳島神社の「管絃祭」は海で行われるのになぜ?と思う方もいらしゃるかもしれません。その理由もあわせて、今回はこの3つのお祭りについて内容や見どころをご紹介します。
尾張津島天王祭(愛知県津島市)
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愛知県津島市にある津島神社の祭礼で、「日本三大船祭り」や「日本三大提灯祭り」の一つとも称される尾張津島天王祭(おわりつしまてんのうまつり)。約600年の歴史を持つ、大変荘厳、華麗なお祭りです。
現在の開催場所は天王川公園の丸池ですが、江戸時代には天王川(津島川)が流れていて伊勢湾につながっていました。津島は伊勢と尾張を舟でつなぐ湊町として栄えていたのです。そして、天王川には天王橋が架かっていて、戦国時代に織田信長がこの橋から尾張津島天王祭を観たのだとか。
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祭り初日の「宵祭」では、屋台の上に半球形に365個の提灯を灯した「まきわら船」が、津島笛を奏でながら水面を進みます。提灯の明かりが川面を照らす光景はとても美しく幻想的です。2日目の「朝祭」では、神社に向けて能人形を飾った車楽船が楽を奏でながら漕ぎ進みます。水と灯りと豪華な装飾品や人形による雅な時代絵巻が繰り広げられる2日間です。
尾張津島天王祭は、毎年7月第4土曜日と翌日曜日に行われ、2023年は7月22日(土)、7月23日(日)に開かれます。
天神祭(大阪府大阪市)
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京都の祇園祭、東京の神田祭・山王祭と並び「日本三大祭り」にも数えられている「天神祭」は、1000年以上の歴史を持つ大阪天満宮の例祭です。
祭りの起源は平安時代中期の951年、大阪天満宮近くの浜から鉾(刀)を川に流し、流れ着いた浜に斎場を設けて禊を行う「鉾流神事(ほこながししんじ)」により疫病退散を祈願したこととされています。現在でも鉾流神事は毎年7月24日の宵宮(よみや)の朝に行われ、斎場を決めるためではありませんが、祭りの重要な行事の一つとなっています。
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そして、7月25日の本宮の日、神輿を船に乗せ川を進む「船渡御(ふなとぎょ)」が天神祭の最も重要な行事です。御神霊を遷した神輿を乗せた奉安船を中心に100隻の船が大川を巡幸し、幻想的な光景が広がります。祭りの最後には約3000発の奉納花火が打ち上がり、夜空と水面を美しく彩ります。
「天神祭」は毎年6月下旬から7月25日までの1か月間行われ、2023年も7月24日(月)に宵宮が、25日(火)に本宮(本祭)が行われます。
管絃祭(広島県廿日市市)
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「管絃祭(かんげんさい)」は、広島県廿日市にある厳島神社で執り行われる祭礼で、「日本三大船祭り」の一つにも称されています。
平安時代に京の都では、貴族が池や川に船を浮かべ、優雅な「管絃の遊び」を催していました。厳島神社を造営した平清盛はこの遊びを厳島神社に移し、神様をお慰めする神事として執り行うようになったのが管絃祭の始まりとされています。
管絃祭が海で行われても川祭りといわれるのは、このように川に起源をもつ行事のためであり、平安絵巻を思わせる優雅さと、瀬戸の海で雄大に繰り広げられるダイナミックさを併せ持つ祭りとなっています。
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管絃祭では船の軸先の左右にかがり火を焚き、二十数個の提灯に灯りを灯した御座船(ござぶね。管絃船ともいう)が厳島神社の御祭神を乗せ、対岸の地御前神社(じごぜんじんじゃ)まで海上を渡る美しい光景が大きな見どころです。
管絃祭は、毎年旧暦の6月17日に行われます。2023年は、8月3日(木)に行われます。
まとめ
今回は「日本三大川祭り」について紹介しました。
天神祭の代わりに、住吉大社の例祭「住吉祭」をあげる説もあります。こちらは住吉大社から堺市の宿院頓宮(しゅくいんとんぐう)まで、大和川を神輿が渡御する勇壮な光景が見どころのお祭りです。
今年の夏は、人々の祈りと願いが込められ大切に受け継がれてきた「日本三大川祭り」を訪れ、歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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