一年を通じて、魅力あふれる祭りが数多く開催される鹿児島県。なかでも、地元で深く愛されている次の3つのお祭りは「鹿児島三大祭り」や「県内三大祭り」「県下三大祭り」とも称されています。
◎おはら祭(鹿児島市)
◎弥五郎どん祭り(曽於市)
◎お釈迦まつり(志布志市)
お釈迦まつりの代わりに霧島市の「初午祭(はつうまさい)」などが挙げられたり異説はありますが、今回は、一般的に三大祭りとされているこの3つのお祭りについてご紹介します。
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おはら祭(鹿児島市)
南九州最大のお祭り「おはら祭」は毎年11月2・3日の2日間開催され、鹿児島市の繁華街「天文館」が祭り一色となる鹿児島の秋の風物詩です。祭りの名前の由来は、鹿児島民謡の「おはら節」。終戦から4年後の昭和24年(1949年)、復興に燃える市民たちにより祭りが始まりました。
祭りの最大の見どころは「総踊り」。誕生は江戸時代といわれ、昭和初期に中山晋平の編曲で現在の形になった「鹿児島おはら節」のほか「鹿児島ハンヤ節」などの曲に合わせ、華麗な衣装に身を包んだ2万人以上の踊り手が練り踊る姿は壮観です。
総踊りのほかにもお祭りに合わせてライトアップした「花電車」が運行したり、「おごじょ太鼓」やおはら節をアップテンポにした「TOKYOオハラ」にのって躍動する「オハラ21」など、見どころがたくさん。鹿児島の方言で女性を意味する「おごじょ」たちの華麗な演舞は必見です。
◎2023年の開催は?
2023年も例年通り11月2日(木)に前夜祭の「夜まつり」、3日(金・祝)に「本まつり」が行われます。さらに、今年は特別なコラボも!開園40周年を迎えた「東京ディズニーリゾート®スペシャルパレード」がやってきます。詳しいスケジュールなどは、鹿児島市観光ナビのおはら祭のページからご確認ください。
弥五郎どん祭り(曽於市)
曽於(そお)市の岩川八幡神社で例年11月3日に開催される「弥五郎どん祭り」。約900年の伝統を持つ、五穀豊穣を祝うお祭りです。
身の丈4m85㎝、25反もの梅染めの衣をまとった「弥五郎どん」は神幸の先導者を表していますが、一説には隼人族の首領とも、6代天皇に仕えた武内宿禰などとも言われ、正体は未だはっきりしていないそうです。そして実はこの弥五郎どんは三兄弟の次男で、長男は都城市山之口町にある的野神社の弥五郎どん、三男は日南市飫肥にある田ノ上八幡神社の弥五郎どんと言われているのだとか。
祭りがスタートするのは何と深夜1時。「弥五郎どんが起きっどー」の掛け声とふれ太鼓が始まりの合図です。その後、午前4時からの「弥五郎どん起こし」に参加した人は、体が健康になって運気も上がるのだそう。そして朝6時頃になるとすっかり身支度を整えた弥五郎どんが網に引かれ、巨体が身を起こします。
午後から岩川八幡神社を出て、市街地を3時間かけて威風堂々と練り歩く「浜下り」が最大の見どころです。大勢の見物客が弥五郎どんを取り囲み、鳥居をくぐる瞬間は大きな歓声が上がります。町中での注目ポイントは岩川高架橋くぐり。名物「弥五郎どんのイナバウアー」を繰り出して無事に難所をかわすと、ここでも観客の歓喜の声と拍手に包まれます。
その他、相撲・剣道・柔道・弓道・空手などの奉納武道大会、少女バレーボール大会、演芸大会、市中パレードなどの神振行事も行われて、大隅の町は大賑わいとなります。
◎2023年の開催は?
今年も例年通り、11月3日(金・祝)に行われます。11月2日(木)18:00からは前夜祭の「どんドン祭り」を開催。吹奏楽や太鼓の演奏、ダンスや音楽劇などの催しが満載です。弥五郎どん祭りの最大の見どころ「浜下り」は11月3日の午後1時に八幡神社を出発する予定です。詳しい催しの内容やスケジュールなどは、曽於市観光協会「そおなび」の弥五郎どん祭りのページからご確認ください。
お釈迦まつり(志布志市)
志布志(しぶし)市で行われている「お釈迦まつり」は、県内外から毎年10万人以上が訪れる県下屈指の大祭で、江戸時代から続く長い歴史を持ったお祭りです。花まつり、灌仏会(かんぶつえ)などと呼ばれる4月8日のお釈迦様の誕生日を祝う伝統行事で、「しがつようか」がなまって「しがっじょか」という呼び方も。現在は例年4月28日に前夜祭が、29日に本祭が行われています。
その一年で結婚した新婚カップルの花嫁さんが、シャンシャン馬と呼ばれる飾りをつけた馬に乗って進む行列が見どころ(2023年から人力車に変更)。行列には花嫁以外にも踊り連など大勢の市民が参加します。行列のゴールである宝満寺公園では「甘茶かけ」も。お釈迦様の像に年齢の数だけ甘茶をかけ、無病息災を祈願します。
◎2023年の開催は?
今年のお釈迦まつりは4年ぶりに本格開催され、従来のシャンシャン馬に乗馬する形式から、人力車に乗ってパレードに参加する形式に変更されました。
行列のほかにもステージでは音楽やダンス、よさこいの披露、商店街通りでは丼ぶり、スイーツなどでグルメ三昧と、大にぎわいの一日となりました。来年の予定は未発表ですが、今年の内容の詳細は志布志市観光特産品協会の「2023 志布志お釈迦まつり」のページなどでご確認ください。
まとめ
今回は鹿児島県のお祭りのなかでも、特に「三大祭り」と称される3つのお祭りについてご紹介しました。いずれも独自のルーツと特徴がある、とても興味深いお祭りですが、「おはら祭」と聞いてもしかしたら東京の渋谷でも行われているのを思い出す方もいるかもしれませんね。
毎年5月中旬の土・日曜日に渋谷109前を通行止めにして、道玄坂・文化村通りをメイン会場に開催される「渋谷・鹿児島おはら祭」は、まさに鹿児島の「おはら祭」を東京で再現したお祭り。鎌倉時代に渋谷氏が所領を得て、一族をあげて薩摩に移住したことから、実は両者には深い結びつきがあるのです。このお祭りにも鹿児島の連がかけつけ、関東の連とともに数千人の踊り手が「おはら節」「渋谷音頭」「鹿児島ハンヤ節」「TOKYOオハラ」などを練り踊ります。
鹿児島の祭りを現地で楽しむも良し、東京やそのほかの地域で行われている機会に足を運ぶも良し。薩摩の文化とお祭りにぜひ触れてみてはいかがでしょうか。