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2019年も開催!!地元住民が教える悪態祭りの由来と伝説

マツバラアキヒロ
2019/12/5
2019/12/5
2019年も開催!!地元住民が教える悪態祭りの由来と伝説

悪態祭りとは?

悪態祭りとは茨城県笠間市の愛宕神社の北側にある飯綱神社で毎年12月に開催される祭りです。天狗に扮した13人の地元住民が愛宕山の麓から愛宕山山頂にかけて歩きます。その道中天狗たちに対して祭りの参加者は悪態をつきます。参加者同士でも罵り合います。茨城県外から来た人たちは遠慮がちに「バカヤロー!」と言っているのですが、さすが全国一ヤンキーが多い茨城県民。何の躊躇もなく「バカヤロー」「コノヤロー」の悪態を付きまくります。茨城県民のアドバンテージが遺憾なく発揮される瞬間です。やはり悪態の「慣れ」が違いますね。

山頂まで天狗一行と参加者が到着したらお供え物を参加者で奪い合います。お供え物を見事奪えた参加者には幸福が訪れるといわれています。このようなへんてこりんな祭りなので地元では「日本三大奇祭」の一つとしてプロモーションしています。(日本三大奇祭って10個以上あるじゃねーかとかいうツッコミは無しで)

祭りは現在昼間に開催されているのですが、かつては夜間に開催されていたようです。暗くて顔が見えないから聞くに堪えない汚い言葉が飛び交っていたそうです。

【由来1】役人のクレーム調査説

悪態祭りの由来は諸説ありますが、そのうちの一つが江戸中期の役人が民の不満を聞くために一日だけ無礼講の日を設けてその日一日「何を言ってもお咎めなし」としたのが始まりと言われています。

【由来2】厄除け説

悪態を付くことで邪悪なものを追い払うという意味もあります。節分の「鬼は外」みたいな感じですね。また、悪態祭りはもともと”悪退”祭りと言われていたという説もあり、”悪”を悪態を付くことで追い払う事が出来ると考えられていました。悪態を付くのも邪悪を追い払うおまじないの類で祈りの一種と捉えることもできます。随分と荒々しいお祈りですね。静かに手を合わせて心を落ち着かせて自分の心と向き合うなんてものとは大違いです。

ご利益

そもそもなぜ天狗に悪態を付くのか?悪口で天狗を言い負かすことが出来れば悪霊も逃げ出し、幸運が訪れるといわれています。また、参加者全員で奪い合うお供え物を獲得できると、「無病息災」「家内安全」「無病息災」「五穀豊穣」のご利益があるといわれています。

また、悪口を全力で言うことによって自分の中の毒を外に吐き出してスッキリするというご利益ももちろんあります。現代人にはこちらのほうが馴染みやすいかもしれませんね。

愛宕山に伝わる天狗の伝説

悪態祭りが解される茨城県笠間市では天狗に関して大きく二つの言い伝えがあります。

一つは「魔界へ行った山伏、修行僧説」です。山伏として修業を積みながらも傲慢で我欲の強いものが、死後それ故に極楽浄土へ行くことができず、地獄へ落ちることもないものが、魔界の一種である天狗道へ行ったとする説。

中世の仏教では六道(天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)のほかに天狗道が存在すると解釈され、傲慢であるため天道に行けず解脱もできず、かといって仏法を学んでいるため地獄や畜生道に行くこともないものが天狗道へ行くと解釈されました。いずれにしろ他人とは違う特殊な能力を持ちながらも傲慢さや欲の強さ故にはぐれものになってしまった者、という存在です。これを現代風に例えると芸人や歌手志望の人が地道な下積み生活を何年もして、まったく売れず、ネットで動画投稿をしてヒットしたユーチューバーみたいな感じです。

二つ目は自然現象を天狗と仕業としてとらえていたという事です。昔は現代みたいに気象衛星もありませんし、科学的に解明されていないことが今よりも多い時代です。台風、地震、突然の山火事などの現象です。もちろん人間にとって有益な現象も天狗の仕業とされてきました。突然体調が良くなったり、気候が良くなったり、戦争などで敵の軍が嵐の影響で被害を受けたり、です。地元の人には古来から神のようでもあり魔物のようでもある天狗を畏怖の念を持って信仰してきました。

上の写真は筆者が愛宕山で撮った写真で、個人的に「天狗が居そうだな」と感じたエリアを撮ってみました。もちろん天狗というのは伝説上の存在で非科学的だと断じてしまえばそれまでですが、古代の人たちが不吉な者や人智を超越したものを天狗に例えて解釈していたからこそ天狗の伝説が残っているのだと思います。事実、愛宕山の森は鬱蒼としていて視界が悪く「何か」居そうな雰囲気は確かにします。古代の人たちは現代人と比べて霊的なものに対する感性が圧倒的に高かったと想像できますが、それでも昔の人が感じた残り香のようなものを少し感じることが出来たのは少しうれしかったです。鬱蒼とした森と開放感のある関東平野があるからこそ天狗という存在が相応しいのかもしれませんね。

どうせ騒ぐなら茨城まで来い!

渋谷や大阪のミナミで何かにつけてバカ騒ぎしまくる若者も要は日ごろの鬱憤を晴らすために騒いでいるわけなので、だったら茨城まで来て悪態祭りに参加すればいいと筆者は個人的に思います。ついでに地域活性化に少しばかり協力できますし。特に悪態祭りの開催される笠間市は都会に比べて人口も少ないし、あまり人に迷惑も掛からないので騒ぎたい人は日本全国にある奇祭に参加して騒ぎましょう!

関東平野は今日も平和だ

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