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「大館アメッコ市」冬の秋田に咲く飴の花|観光経済新聞

2021/8/28
2021/9/10
「大館アメッコ市」冬の秋田に咲く飴の花|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

冬の秋田に咲く飴の花

大館市は秋田県北部の街。渋谷駅前で、急逝した飼い主を10年待ち続けた「ハチ公」の出身地である。大館駅のホームには秋田犬の足跡シールが貼ってあり、駅前広場では秋田犬の銅像がお出迎え。さらにこの街は、日本三大地鶏の一角である「比内地鶏」の産地であり、名物駅弁「鶏めし」が有名。駅のニューデイズでも販売しているが、駅向かいの花善さんに行くと確実に買える。

今回紹介する「大館アメッコ市」は400年以上前の天正年間(1573~1591)、大館城下に開かれた「市」で始まったとされ、近くの山に祭られる「白髭大神」が飴(あめ)を買いに来たという伝説もある。祭りの日に沿道を彩る鮮やかな木は、農家が旧正月の行事として豊作を祈願するため、ミズキの枝に飴を付け、稲穂の代わりに神前に供えるようになったものだ。

飴を作って食べていたのは農家であったが、農家以外の人も健康と幸福を願いこの日に飴を食べるようになり、そのための飴を農家の主婦が町で売るようになった。現在では毎年2月第2週の土日に大町通りで開催されており、色とりどりの飴が飾られたミズキの木が並ぶ。縁起物である達磨や鯉(こい)の絵馬も飾られる。お願いごとを書いた短冊も飾られほほ笑ましい。

お祭りの終盤になると、ミズキの枝の切り売りが始まり、枝の大きさに応じて、500~数千円で販売される。最後は全て切り落とされ、祭りは終わりを迎える。

このお祭りの日に飴を食べると風邪をひかないと言われており、縁起の良い飴を買い求めるお客さまが、例年であれば県内外からたくさん訪れ大町通りを埋め尽くす。2021年、コロナ禍の影響で冬のお祭りが軒並み中止になる中、アメッコ市は感染対策を施し、工夫を凝らして縮小開催にこぎつけ、その伝統を絶やさない姿勢に感銘を受けた。ミズキの木々に飾られた鮮やかな飴の実は、雪に閉ざされた北東北に、ひと足早い春景色を出現させたようであった。

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