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浅草・三社祭でびんざさら舞を開催!日本古来より伝わる華麗な田楽の舞い

2021/5/25
2021/5/24
浅草・三社祭でびんざさら舞を開催!日本古来より伝わる華麗な田楽の舞い

毎年、5月に行われる浅草・三社祭。江戸三大祭りの1つとして知られ、盛大なお神輿が有名なお祭りだ。今年は新型コロナウイルスの影響でお神輿の巡行が中止になるなど、規模が大幅に縮小されてしまった。そのような中で、どうしても見ておきたかったのが浅草神社で行われた都指定無形民俗文化財「びんざさら舞」だ。

もともと日本全国の獅子舞を取材して回っている私は、田楽の広がりが獅子舞を全国に伝えるきっかけにもなったため、田楽の伝播性にとても関心があった。田楽の一種である浅草神社のびんざさら舞は「ささら舞」と「獅子舞」から構成されており、どちらも日本古来の祭礼の形を今に伝える舞である。古風で華やかな舞いを見るとともにその歴史を知るべく、5月15日に浅草神社へと向かった。

まずは拝殿で開催、華麗なびんざさら舞

会場となる浅草神社は、つくばエクスプレス、東武線、地下鉄が通る浅草駅から徒歩7分の場所にある。駐車場はあるので車でのアクセスも可能だが、当日は混むので電車でのアクセスがより安心かもしれない。私は浅草駅から歩いて浅草神社へと向かった。

11時ごろに浅草神社の鳥居をくぐると、大勢の人だかりができていた。もうすでに拝殿でびんざさら舞が行われているようだ。まず獅子役が獅子を舞い、その後にささら舞が実施された。拝殿での演目は少し遠目からの見学となり、近くから撮影をすることはできなかった。獅子舞が行われるのは拝殿のみなので、ここでしっかりと見ておきたい。雄と雌がそれぞれ舞ってから夫婦和合の舞が行われ、合計3つの演目を行なっていた。

拝殿から出てきたびんざさら舞の舞い手たちは、11時半過ぎに神楽殿へと向かった。きらびやかな装束を間近で見ることができた。

神楽殿で見られるささら舞

神楽殿では観客席の場所が確保されており、突き出した神楽殿の舞台を見上げるような形で見学した。ここでは、華麗なささら舞を見ることができた。

この神楽殿では、司会の方がまず浅草神社やびんざさら舞に関する歴史についての解説を行ったのち、舞い手によるささら舞が披露された。ささら舞は、種蒔、肩揃、鶫間口、蹴合という4つの演目からなり、それぞれ以下ような意味が込められているそうだ。

①種蒔:農耕の種蒔をする形
②肩揃:肩を揃えて田植えをする形
③鶫間口:鶫(つぐみ・武蔵国における旧名は「鳥馬」)が害虫を捕らえ食べる形
④蹴合:軍鶏が喧嘩をする所作で豊作の喜びや青春の跳躍を表す形

びんざさら舞の始まりとは?

ところで、このびんざさら舞はどのようにして始まったのだろうか?それは浅草神社の始まりと深く関係している。628(推古天皇36)年3月18日、宮戸川(今の隅田川)の河口付近を浅草浦と言い、そこで檜前浜成(ひのくまのはまなり)、竹成(たけなり)と言う漁民の兄弟が漁をしていたが、雑魚一匹獲れなかった。しかし、そうこうしているうちに、一寸八分(5.454cm)の金無垢の御神体が網の中に入ってきた。それを土地の文化人である土師真仲知(はじのまつち)に見ていただいたところ、聖観音像としてお祀りしたのが浅草神社の始まりだそうだ。

また、びんざさら舞の始まりは、この聖観音像出現時に草庵造りを行い、それを手伝ったお百姓が草庵の周りを踊った時だという。その時の子孫が今でもびんざさら舞を踊っているというわけだ。浅草神社の祭礼という形での始まりは、鎌倉時代後期から室町時代のこと。江戸時代後期の書物『東都歳時記』には、1312(正和元)年、花園天皇の時代にご神託があり始まったと書かれている。

※上記内容は、神事びんざさら舞保存会/台東区教育委員会作成のパンフレット『神事びんざさら』及び浅草神社のホームページ、びんざさら舞の司会の方の説明を基に記述。

他にもある三社祭で行われる行事

三社祭はもともと、浅草神社の例大祭だ。毎年5月の第3週の金土日に行われ、神楽殿におけるびんざさら舞だけでなく、巫女舞や例大祭式典なども行う。また、神輿の渡御も行われ、宮出しや宮入りなどをはじめ盛大に盛り上がる。今年2021年は新型コロナウイルスの影響で規模が縮小して、神輿の渡御が中止となってしまった。2020年に続いて2年連続での縮小開催となったが、来年以降の展開をぜひ見守りたい。

浅草神社の三社祭におけるびんざさら舞は、日本最古級の祭礼様式を今に伝え、日本古来の田楽や獅子舞の形態を今に伝えるものだ。今回訪れて、そのゆっくりと華麗に舞う姿には日本古来の趣が感じられ、重要な伝統芸能が今に伝わることを実感した1日だった。

浅草神社のホームページ

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