奈良といえば鹿!春日大社の鹿はどこから?
世界遺産の春日大社は約1300年前の奈良時代に日本の繁栄を願い、茨城県鹿島から武甕槌命(タケミカヅチノミコト)様を神山御蓋山(みかさやま)の山頂、浮雲峰(うきぐものみね)にお迎えしました。このとき白い鹿に乗って神様がおこしになったことから、今でも鹿は神様の使いとして大切に扱われています。
この記事では春日大社で毎年、成人の日に行われる「舞楽始式」について、舞が大好きなカメラマン佐々木がレポートいたします。
春日大社の「舞楽始式」とは?
世界最古のオーケストラともいわれている雅楽の中でも「舞楽」は、大きくわけて3つの団体があります。宮中方(宮廷・京都)、天王寺方(四天王寺・大阪)、そして南都方(興福寺・奈良)です。春日大社では南都楽所(なんとがくそ)により舞楽が奉納されます。
「舞楽始式(ぶがくはじめしき)」は、一年間、無事につつがなく舞楽奉仕できるように祈念する神事です。公式ホームページには本殿前にある「林檎の庭」と書いてありますが、2023年は新型コロナウイルス感染症対策として、お庭の左側にある直会殿で行われました。
舞台を清めるように鉾を振る「振鉾三節」
舞楽は大きく二つの系統があります。
日本から大陸に向かって左の方にある中国の系統は「左方」「左舞(さまい)」と呼ばれ、赤系統の装束を着ます。そして右の方にある朝鮮半島の系統は「右方」「右舞(うまい)」といい、青(緑)系統の装束を着ます。
「振鉾三節(えんぶさんせつ)」では、最初に左方、次に右方の舞人(まいびと)が鉾を持って1人ずつ登場します。最後は、別々の曲を同時に併奏して、二人が一緒に舞うという特殊な曲です。
鳳凰が羽ばたく様子の「萬歳楽」
この「萬歳楽(まんざいらく)」は隋の煬帝が作った曲で、鳳凰が「万歳」とさえずる声を音楽に表し、そのはばたく姿を舞にしたといわれています。鳳凰をかたどった鳥甲(とりかぶと)に赤い襲(かさね)装束を着て舞います。皇室では昔から祝賀の舞として奏上される縁起の良い舞です。
日本らしいしなやかさを感じる「延喜楽」
延喜年間に作られ、年号が曲名になっている「延喜楽(えんぎらく)」。作曲は藤原忠房、作舞は敦美親王による右方の平舞(ひらまい)の代表的な演目です。萬歳楽の答舞(とうぶ:左舞の対となる右舞)で、祝賀の際に舞われます。装束は緑色の襲装束。こちらも萬歳楽のように右袖を脱ぐ片肩袒(かたかたぬぎ)で、華やかな下襲(したがさね)の袖の紋様を見ることができます。
普段は林檎の庭で行われる奉納舞。お庭は白い砂があるため、装束のことを考えると今回のように室内の方が良かったのかもしれません。しかし、広く見やすいお庭から、あちこちに立ち並ぶ柱の奥での奉納舞になり、撮影の難度は爆上がりでした。御簾の向こうに見え隠れする舞は優美ですが、もっとしっかりと見たい気持ちがむくむくと…。次に狙うは奉納舞がたくさん行われる「春日若宮おん祭」。年の初めに撮影の目標ができました。春日大社にまた来ます!
春日大社
〒630-8212 奈良市春日野町160
電話:0742-22-7788 FAX:0742-27-2114
社団法人 南都楽所(なんとがくそ)
〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160 春日大社内
電話:0742-22-7788 FAX:0742-27-2114