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「秩父夜祭」、ユネスコ無形文化遺産に登録され日本の伝統文化を国内外に発信

更新日:2024/3/4 obaq
「秩父夜祭」、ユネスコ無形文化遺産に登録され日本の伝統文化を国内外に発信

■300年を超える歴史を刻む「秩父夜祭」

「秩父夜祭」は、2016年に「山・鉾・屋台行事」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。毎年12月2日、3日に行われる秩父神社の例大祭として、300年を超える歴史を刻んでいます。

300年を超える歴史を刻む「秩父夜祭」

「秩父夜祭」は、秩父神社に立った絹織物の市が、地域の経済が発展するにつれて規模が拡大し、盛大に行われるようになったものです。開催日の2日間は、早朝から深夜まで秩父神社を中心とする市街地はお祭りムードの熱気で包まれます。

「秩父夜祭」当日に秩父神社に参拝する人々

■初日の宵宮から豪華絢爛な山車が市街地を巡行

初日の12月2日は宵宮と呼ばれています。10:00から秩父神社の神楽殿で「秩父神社神楽」奉奏が行われた後、11:00頃には山車の曳き廻しが始まります。

秩父神社神楽殿での「秩父神社神楽」奉奏

「秩父夜祭」の2日間に市内を引き廻される山車は全部で6基です。その全てに伝統的な匠の技が活かされ、釘は一本も使いません。山車を囲む繊細な彫刻が極彩色に彩られ、金糸をあしらった幕の刺繍には、目は釘付けになってしまいます。豪華絢爛な姿は、「動く陽明門」と称されることもあります。山車の重さは最大20トン近くになるので、車輪を回すには100人前後の人が綱を引きながら息を合わさなければなりません。

「動く陽明門」とも称される「秩父夜祭」の山車

100人前後の人が綱を引く山車

山車の曳き廻しは、秩父神社を囲む本町通り、中町通り、上町通りで行われます。山車からは秩父屋台囃子のリズムがエネルギッシュに打ち鳴らされ、町の中には笛や太鼓、鉦の音色が絶え間なく響き渡ります。

山車の曳き廻し

山車の曳き廻し

山車の曳き廻し

山車と一緒に通りを歩くと、交差点などでユニークな光景を見かけることがあります。「ギリ廻し」と呼ばれる特殊な方法で方向を変えるのです。山車の下に台をセットし、これを支点として2本のてこ棒を使えば少ない人数でも方向転換することができます。

「ギリ廻し」で方向転換する屋台

「ギリ廻し」で方向転換する屋台

「ギリ廻し」で方向転換する屋台

■山車の引き廻しに加え多種多様のイベントで盛り上がる12月3日の本祭・本宮

2日目の本祭・本宮では9:00から山車の曳き廻しが行われます。これに加え市内各所では、秩父郷土芸能、屋台芝居、秩父歌舞伎公演などの多種多様のイベントが行われ、バラエティー豊かな秩父の郷土文化に触れることができます。

西武秩父駅前広場での秩父郷土芸能公演

様々なイベントで気分を盛り上げ、クライマックスの時を迎えます。太陽が西に沈む頃には、秩父神社の境内からは熱気が溢れ出すばかりでなく、敷地に入れない人が逆流してきます。

12月3日の夕暮れ時の秩父神社鳥居前

12月3日の日没後の秩父神社境内

■冬の夜空を背景に極彩色の歴史絵巻が折り重なる本祭・本宮の御神幸行列

「秩父夜祭」最大の魅力、御神幸行列です。18:30頃に秩父神社を出発する予定ではありますが、17:00前には境内は札止めの状態になってしまいます。17:30頃には行列を先導する大榊(おおさかき)が姿を現すのです。その横では神輿が行列の準備を整えています。

御神幸行列を先導する大榊

大榊の横で御神幸行列の準備を整える神輿

時を待たずに、氏子各町会の高張提灯が続々と境内に集結してきます。

境内に集結する氏子各町会の高張提灯

御神幸行列は準備状況によって予定時刻を前後することもありますが、先導大麻、大榊、道案内の神・猿田彦(さるたひこ)、日月万燈、楽人、錦旗、御手箱、太刀箱の順に秩父神社を後にします。その頃には神輿に御霊が遷され、御神幸行列に加わります。

御霊が遷される神輿

御神幸行列に加わる神輿

神輿の後方に宮司、大総代が続き、その後ろを2頭の神馬が歩きます。

神馬より一足早く御神幸行列に加わる神輿

そして、神馬を追うように6基の山車が曳き廻されます。

秩父神社の境内で「ギリ廻し」をして神馬を追う山車

順番に御神幸行列に加わる山車

秩父神社を出た御神幸行列は、本町通り、中町通り、聖人通りを進み、御旅所に向かいます。延々と続く行列が練り歩く秩父の市街地には、冬の夜空を背景に極彩色の歴史絵巻が折り重なります。

山車が曳き廻される聖人通り

御神幸行列の終着点となる市役所前の御旅所

御神幸行列の先頭が御旅所に到着する20:00前後から羊山公園で花火の打上げが始まり、さらに雰囲気を盛り上げてフィナーレとなります。

羊山公園で打ち上げられる花火

「秩父夜祭」は、ユネスコの無形文化遺産ばかりでなく、京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに「日本三大曳山祭り」の一つに数えられています。300年を超える歴史を刻み、国内外に日本の伝統を発信し続けています。

祭り開催情報

名称 秩父夜祭
開催場所 埼玉県秩父市番場町1-3
秩父神社および周辺市街地
開催日 2023年12月2日(土)、2023年12月3日(日)
午前中~20:00、12月3日は早朝~翌朝まで(要確認)
アクセス 秩父鉄道秩父駅から徒歩3分(秩父神社)
関連サイト http://www.chichibu-jinja.or.jp/
https://www.mapple.net/spot/11000095/
http://www.chichibuji.gr.jp/yomaturi2...
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
2010年より旅行系のフリーライターとして各種メディアで記事の執筆を行っております。「おまつり」には各々の地域の歴史や伝統、文化が凝縮しています。関東地方で開催されている「おまつり」を中心に、その魅力を紹介して参ります。

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