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【大聖寺桜まつり】様々な獅子舞に遭遇!?石川県加賀市の大聖寺桜まつり

更新日:2021/3/16 稲村 行真
【大聖寺桜まつり】様々な獅子舞に遭遇!?石川県加賀市の大聖寺桜まつり

石川県加賀市大聖寺では、毎年4月に桜まつりが行われている。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、規模を縮小することが決まった。本来であれば、お神輿、獅子舞、屋台の賑わいに加えて、桜の華やかさも感じられるとても盛り沢山なお祭りだ。2019年に開催された桜まつりの様子をお届けして、魅力を振り返りたい。

石川県加賀市の大聖寺桜まつりとは

このお祭りは、商売繁盛と五穀豊穣を祈願する加賀神明宮(山下神社)の例大祭。毎年、4月の第2土曜と翌日曜に行われている。山車や獅子舞、子供の囃子などが町中を練り歩き、「今ここら辺を山車が通ったよ。」とか、「あっちに獅子舞がいるから行ってごらん。」という風な会話が繰り広げられる。地域の方々の交流の場であるとともに、観光客にとっては地域の文化を学ぶ良い機会となる。

前日準備のしめ縄

桜まつりの行われる前日には、山車が通る道沿いに「結界」を作る。普段自動車や歩行者が通っている道も、祭りの日には山車が通る神様の道となるからだ。神様の道と個人の家などが立ち並ぶ俗世界と分けるための線引きが必要、と考えるとわかりやすいだろう。自分の家と目の前の道との結界は自分で作るのが基本である。

この結界を作るのに必要なものは、しめ縄と紙垂(しで)。紙垂とは、しめ縄につけて垂らす特別な断ち方をして折った紙のことだ。日本全国で様々な形態があり、桜まつりのものは作りが簡単な伊勢流の紙垂が用いられている。紙垂をしめ縄に取り付ける過程で、近所の方同士の交流も自然に生まれる。

迫力のある山車

山車は1日目の午後に加賀神明宮(山下神社)を出発して、水守神社に到着。そこで一晩、神様がお休みになって、また、次の日に加賀神明宮に戻ってくるという流れだ。道中、人々の行列とともに、ゆっくりと進んでいく。華やかな山車と昔の格好をした人、色とりどりの旗が非日常的な雰囲気を作り出す。

加賀神明宮前に立ち並ぶ屋台

お祭り期間はカステラ、唐揚げ、フライドポテトなど祭りらしい屋台も立ち並ぶ。加賀神明宮の鳥居の前に出店が固まっているのでわかりやすい。出店で買った食べ物を片手に、桜が咲く大聖寺川沿いを散策するのも楽しい。

様々な場所で獅子舞に遭遇

この大聖寺桜まつりで個人的におすすめしたいのが、獅子舞を探して大聖寺の町の散策を楽しむということ。太鼓や笛の音がする方に歩いていくと、各地区で様々な獅子が舞っているのを発見。獅子舞が道路にはみ出しながらも、各地区の家や公民館などの前で舞っている姿をみて、「こんな獅子舞もあったんだ」と多種多様な獅子舞の姿や演目に触れることができる。

獅子舞のカヤ(胴体の部分)に桜の模様があるものもあり、桜の季節らしいデザインである。

普段、利用しているファミリーマートにも獅子舞が登場。

獅子舞の踊り手と地域愛

ある地区の獅子舞を見学に行った時、数年前に子供と孫と一緒に、親子孫3代で獅子舞の踊り手を務めたことがあるという方のお話を伺った。お孫さんは桜まつりに出るために、中国の上海から駆けつけてくれたらしい。会場は大いに盛り上がり、拍手喝采だったそうだ。歳をとると徐々に土地に感謝する気持ちが芽生えたり、山から神様が降りてくるような感覚さえ感じたりもするようになったとのこと。このお話を伺って、心の底から地域を愛する気持ちを感じた。

次世代に祭りの伝統を繋ぐ

現在、新型コロナウイルスの流行や担い手不足もあり、祭りの実施が困難になっている地域も多い。次世代に対してどのように祭りの伝統を繋いでいくかを考えているという話もよく聞く。そんな中で、2021年4月に実施予定の大聖寺桜まつりも規模を縮小することが決まった。しかし、大聖寺には地域愛のある祭りの担い手の方がたくさんいらっしゃる。賑わいがあり、魅力的な大聖寺の桜まつりをまた見られたらと感じている。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
日本全国500件以上の獅子舞を取材してきました。民俗芸能に関する執筆、研究、作品制作等を行っています。

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