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だんじり1台の値段はいくら?彫刻の凄さと合わせてご紹介!

だんじり1台の値段はいくら?彫刻の凄さと合わせてご紹介!

1.お値段はなんと!

岸和田型だんじりの製作費用は平均1億円以上もする走る芸術品です。だんじりは樹齢300年を超える欅の大木から作られます。樹齢数百年を超える良質の欅の大木なんてそんなにあるものではありません。したがってその材料費も高く、軽く数千万円はします。だんじり大工は原木を製材し、製作するだんじりの図面を書き、一つ一つの部材を製作します。

だんじりの彫刻

そしてその部材を彫刻師が下絵を書いて荒彫り、仕上げ、彩色を施します。

だんじりの彫刻

だんじりの彫刻

だんじり大工は彫り物を受け取りそれを組み上げていきます。

だんじりの彫刻

だんじりの彫刻

だんじりの彫刻

だんじりの彫刻

だんじりの製作には約4~5年もの歳月がかかります。だんじり製作に費やす日数と手間、そしてなによりも出来上がった、だんじりの完成度を見るとそのお値段が1億円以上するのも納得いただけるものと思います。

2.だんじり図解説明(簡易版)

だんじりの各部位を詳細説明すると細かくなりすぎるので、ここではあまりだんじりに詳しくない人を対象によくわかる部分にポイントを絞って説明させていただきます。だんじりの全体写真に番号をつけた部分について簡単に説明をさせていただきます。

仲之町

だんじりの彫刻

だんじりの彫刻

①枡合(ますあい)
枡組と枡組の間の部分。高いところにあるので人の頭で隠れることも少なく比較的見やすいところにあります。

②番号持ち(ばんごうもち)
宮入りの順番を表示するためのもの。だんじり前面中央にあり、曳行時に人が乗っていると隠れて見えない部分にあります。

③土呂幕(どろまく)
腰回り4段ある彫り物の最下段。面積が広いので大きな迫力のある彫り物が彫られています。

④松良(まつら)
だんじり前方の隅の部分。腰回りの彫り物を組むためにつけられているもの。ここのくり抜き具合が見どころの1つです。

⑤見送り(みおくり)
小屋根下の広い空間。広い空間を生かしてたくさんの彫り物が入っています。合戦物が彫られていることが多いです。

彫り物は非常に精巧で見どころの1つなのですが、祭り当日は腰回りや見送りは金網で覆われていますし、だんじりが動いてる時は細かいところは見えません。じっくり見たい場合は休憩中に町の人に声をかけて、許可を得てから近くで見てください。運がよければ自慢の彫り物を解説してくれるかもしれませんよ。

3.部位説明

①枡合(ますあい)

枡合には戦いの場面が彫られることは少なく日本神話が彫られることが多い。その理由は定かではないが、構図的にこの空間にはまり易いからだと考えられる。「天の岩戸開き」「神武東征」「素戔嗚尊大蛇退治」「神功皇后応仁天皇平産す」などが正面、左右に配置されることが多い。(向きはだんじりに向かって左右)

大手町:大屋根枡合正面 天の岩戸開き
だんじりの彫刻

大北町:大屋根枡合正面 神武東征
だんじりの彫刻

藤井町:大屋根枡合右面 素戔嗚尊大蛇退治

北町:大屋根枡合右面 神功皇后応仁天皇平産す

②番号持ち(ばんごうもち)

宮入りの順番を表示するためのものです。宮入り順番が固定の町では町名が彫られています。宮入り順が固定の地域では町名が彫られていたりします。前に乗っている人の背中に当たり彫り物がかけたりするので、宮入り以外では取り外している町もあります。また番号持ちがない町もあります。

宮本町:素盞鳴尊

岸城神社の宮入りは毎年クジビキなしの番外1番固定。ということで番号まで彫られています。

大工町:義仲慕う巴御前

平成最後の宮入りでは、宮三町に続く、クジビキで2番を引き当てました。宮入り順はその年のクジ引きで決まるので彫りこんでおらず、墨で文字で書いています。実はこの巴御前の視線の先には松良があり、そこには巴御前が慕う木曽義仲が彫られています。

中井町(八木地区):八木地区では毎年宮入りの順が固定です。番号順を表示しなくてもわかるので町名を彫っている町がほとんどです。

③土呂幕(どろまく)

腰回り4段ある彫り物の最下段(下の写真で白い点線で囲った部分)。高さ約40cm、左右約180cm、奥行きも深いもので40cmもあります。彫り物スペースが広く迫力のある彫り物が彫られる部分で、彫り師の腕の見せ所です。だいたい、そのだんじりの彫り物責任者クラスの方がメインで彫られます。定番の題材が彫られたり、各町独自の彫り物が彫られたりします。

南町:土呂幕正面:岸和田大乱戦

点線で囲った部分が土呂幕です。

その昔、紀州の軍勢が岸和田に攻め入った際、大タコに乗った法師と無数のタコたちが、岸和田城を救ったという伝説「蛸地蔵縁起絵巻」があり、それを題材に彫られています。これを題材にした彫り物は天性寺のある南町だけです。

大蛸の上に乗って戦う法師様

④松良(まつら)

だんじり前方の隅の部分。3方向からの見栄えが要求される部分です。縦に長い部分ですので縦構図が映える場面が彫られます。「大江山 頼光の木渡り」「源頼光 大江山鬼退治」「安宅の関 弁慶義経を打擲」などがよく彫られています。

大手町 松良左:大江山 頼光の木渡り

大手町 松良右:安宅の関 弁慶義経を打擲

⑤見送り(みおくり)

土呂幕と並び、だんじり彫刻のメインの見所です。小屋根下の立体的な広い空間を使って多くの彫り物が配置されます。その広い空間を活かして「難波戦記(大坂冬の陣・夏の陣に題材を得た作品群)」や「源平合戦」などの戦記物が彫られることが多い場所です。

大手町 見送り:難波戦記(写真上から、だんじりに後ろから向かって正面、左、右)

4.彫り物に込められた熱き想い

ここまで見ていただいた彫り物の写真だけでも彫り物の芸術性、その素晴らしさが十分お伝えできてると思いますが、次に彫り物に込められた熱き想いのエピソードをご紹介させていただきます。泉大津市豊中町の番号持ちのお話です。

以下は豊中町の上田様のfacebookの記載内容をベースに少し私の言葉を追記し一部内容を修正して記載させていただきました。少し長文になりますが読んでいただきたいと思います。(「」は原文そのまま)

「豊中町地車は、温故知新•唯一無二•斬新且つ繊細の三つを基本コンセプトに、大工さんには五十項目以上の依頼書と、数十回にも及ぶ打ち合わせをし、彫刻師さんに於いては、六百日以上工房に訪問打ち合わせを重ね平成29年に完成を見ました。」新調にかかわった人々が多くの時間と労力をかけたものです。「町民の情熱と匠の技が結集された地車は、驚心動魄たるもので、これからの豊中町民の誉と誇りとなる、英姿颯爽としたもの」であると製作にかかわった人だけでなく、それをみた多くの人が感じていると思います。

しかしながら、この地車を誰よりも心待ちにされて居た新調委員長が、完成間近の八月十七日に急逝されました。」

「平成二十四年には、町民の待望の夢であった地車新調を町会長として決議し、その後は新調委員長としてこの大事業を進めて来られました。病床の中にあっても、最後の最後まで拘わり続けた先代譲りの番号持ちとその表情ですが、その完成を見る事なく旅立たれました。

その番号持ちは、拝殿前に据えた際に日が昇る東の空に向かい満面の笑みで『こんな立派な地車できました。』と志半ばに旅立った委員長に対し、語りかける様な表情でと依頼して製作されたものです。


非常に穏やかな表情をしていますよね。きっと、亡き新調委員長へ、その想いは届いていると思います。

5.見物時の注意点

最後にだんじり見物時の注意点を何点か上げさせていただきます。

1.動いている時には近づかない。とっても危険です。
2.だんじりに近づく時に綱はまたがない。綱の先まで行って綱のないところ、もしくはだんじりの後方から回り込んでください。
3.だんじりに絶対に触らないでください。だんじり本体だけでなく、だんじりの付属品(金網、旗、幕、綱)全て触れることはご法度です。
4.だんじりに極端に近寄らないでください。彫り物に服とかがひかかると彫り物が破損する恐れがあります。
5.だんじりを近くで見たい時は、その町の法被を着た関係者にひと声「近くで見ていいですか?」と声をかけましょう。タスキをしている人が役持ちなので近くにいたら、その人に声をかけましょう。タスキをした人が居なければ近くに居るその町の法被を着た人でも構いません。
6.事故で傷ついた部分を写真に撮ったり、指摘するのはやめてあげてください。できれば綺麗な部分の彫り物を見て褒めてあげてください。
(テレビの影響でぶつけるのが当たり前のように思っている観光客もいますが、事故は失敗したために起こるもので、誰も失敗しようなんて思ってはいません)

その他にも「人混みで傘をささない。(雨が降ったらカッパ着用)」「人混みで乳母車を押さない」「ゴミをポイ捨てしない。(ゴミ箱に捨てるか持ち帰り)」「立ちションしない」とか一般常識は守っていただくようお願いします。また言葉使いが荒くなっている場合もありますが祭礼関係者の指示には必ず従ってください。

この記事では彫り物に焦点を当てて書かせていただきました。この記事を参考に岸和田祭りで実際に彫り物を見ていただき、その素晴らしさを感じていただけたら幸いです。
(今回の記事で登場する彫り物で9月の岸和田祭りで見れないのは忠岡の仲之町、岸和田市八木地区の中井町と泉大津市の豊中町。それ以外の彫り物は9月の岸和田祭りで見ることが可能です。)

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