富山・福野の祭り
富山県南砺市で砺波平野の南部に位置する福野地区。江戸時代には周辺地域の中心となる市場町として発展してきた街です。この福野地区で毎年5月1、2日に開催されているお祭りがあります。その名も「福野夜高祭(よたかまつり)」です!
福野夜高祭は、ポスターからも分かる通り夜空に煌めく行燈(あんどん)が特徴的なお祭りです。約20基もの行燈が登場し、その中でも7町から一つずつ繰り出す約7mもの高さがある大行燈は見る者を圧倒します!
またこのお祭りは福野神明社の春季祭礼の宵祭として実施されているのもポイントで、宵祭からものすごい盛り上がりを見せることで知られているんです。
それではここからは、福野夜高祭が最も盛り上がる、5月2日の様子をご紹介していきます!
大行燈が勢揃い
福野夜高祭の中心地となるのは、四ツ角に銀行が立ち並ぶ上町交差点。こちらへ各町の行燈が集まってきます。日も暮れはじめた18時過ぎになると、たくさんの行燈が勢揃いしていました!
一つ一つの行燈が、工夫を凝らして装飾されているのも見どころ。なぜこんなにも豪華な行燈が並ぶのかというと、その理由は神明社の創建時に遡るそうです。
江戸時代初期の1652年(承応元年)、大火で燃え尽くしてしまった福野の街に神明社を創建することになり、その際に伊勢神宮からの分霊を行燈を灯して出迎えたのが起源なんだとか。それ以来、370年以上続く福野の風物詩となっています。
行燈が神明社への宮入に向け動き出す18時半頃になり、交差点には提灯を従えた男達が控えました。各町の最高責任者で”裁許“と呼ばれる皆様です。
さあ、行燈が運行される時間です!まずは小さめの子どもたちが引く行燈から。
対して大行燈は最後に運行するため、まだじっとその時を待っています。
神明社鳥居前の参道まで行燈が進んできましたよ。参道には露店も立ち並びます。
行燈を引き立たせるかのように、後方にそびえるのは白山方面の山々です。この季節でもまだ雪が残っているのですね。
もうまもなくで鳥居へ到着。続々と宮入をしようと行燈がやってきます!
お祓い等を済ませたら、再び街中へ。近くで見ると繊細なイラストも描かれており、美しいですね!
交差点へと戻ると、続いての宮入へと動き出す行燈が。
進む行燈に戻る行燈。どこで行燈を見ても魅力的です!
大行燈の宮入
完全に暗くなってきたタイミングで、裁許の皆様にも動きがありました。当番町の新町が、何やら伝えに走っているご様子。
大行燈の動き出しのようです。いよいよ巨大な大行燈が歩みを進めますよ!
御蔵町の大行燈が進みます。前方下部の吊物は、羽を広げた鳳凰です!上部には花がたくさん咲いており、”花車”と呼ばれる大行燈です。
福野夜高祭開催中です!当番町の新町の大行燈が宮入に向かいました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/HM0bgpu5E8
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
こちらは上町の”高御座”。
大行燈が揃ってのすれ違いシーンは迫力があります!左の大行燈は横町のもので、大国様が乗っているのも注目です。
大行燈がどんどん目の前を通っていきます!闇夜に輝くこの姿は美しいですね。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/XodYx6f9J7
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
小さい行燈も負けじと盛り上がっていますよ!
大行燈が進んでくる様は、なんだか神々しいですね!
まだまだ大行燈の宮入は続きます。こちらは”宝船”が目を惹く辰巳町。前方には天下泰平と書かれた軍配も。
さあ、辰巳町の宮入です!鳥居前へと突っ込んできました。
裁許の皆様が提灯を地に置き、鳥居には酒瓶が供えられます。
そして、清めの酒が配られていきます。
乾杯をし、再び動き出す大行燈。これはかっこ良すぎです!!
辰巳町の宮入の様子です!乾杯をし、再び大行燈が動き出します!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/LeqDXeCubF
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
宮入を終えた辰巳町の大行燈が動き出します!後ろから来るのは、辰巳町の本家に当たる浦町の大行燈です。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/Jp9sjy2H7E
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
続いて宮入へ向かっているのは浦町。”御所車”が印象的なこちらですが、実は先ほどの辰巳町とは本家(浦町)と分家(辰巳町)の関係なのです。他には上町(本家)と七津屋(分家)も同様の関係になります。
歩みを進め、鳥居前へと到着!
浦町は鳥居の中へ入っての参拝。
参拝を終え、大行燈を回転させて街中へと戻っていきます。
上町の宮入の様子はこんな感じでした。力を入れて大行燈を回転させる姿は見どころ。”ヨイヤサ”の掛け声もいいですね!
上町の大行燈が、福野神明社の参道へとやってきました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/UfP1AUqs9w
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必見!引き合い(けんか)
夜も更け、23時頃の上町交差点です。この時間になると各町はもうものすごい盛り上がりとなり、福野夜高祭の最大の見せ場「引き合い(けんか)」の時を迎えます!
引き合い(けんか)とは、大行燈同士がすれ違い様に壊し合いを行う、まさにけんかなシーンのこと。かつては実際に競い合いから喧嘩になっていたと言われ、それが伝統となり今に伝わっています。けんかが始まるまでは各町がこのように円を組み、夜高節を歌い上げながら、お祭りの雰囲気は最高潮へと向かっていくのです!
けんか前のこの雰囲気も良いですねえ。ヨイヤサが響きます!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/C95jI0BF3j
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
この雰囲気はたまりませんね。ヨイヤサがどこまでも響き渡ります!
やはり引き合い(けんか)が見たい福野夜高祭ですが、その前の盛り上がりが最高でした!これは眠れなくなりそう笑#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/qMcbk3GgpZ
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
なんと、酒瓶を担いでの舞まで!
拍子木を叩いて煽っていきますよ。
大行燈の上では、左右に激しく揺らして盛り上げる人の姿も。凄すぎです!
一夜明けても福野夜高祭はたまらなかったなあ。山車の最上部で揺らしまくってるのが凄すぎる。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/Sd94syfD1q
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
23時半頃になり、いよいよけんかが始まります!
新町が辰巳町へと突っ込んでいきました。上でも下でも激しい壊し合いです!
破ったり、蹴り壊したり、あの手この手で壊していきます!
福野夜高祭のクライマックスを飾る引き合い(けんか)。新町が辰巳町へ突っ込んでいってはじまりです!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/beINTfDp3q
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
続いては上町と辰巳町のけんか。
力いっぱい引っ張り合い、バリバリという音が響く場面もありました!
一度見てみたかった福野夜高祭のけんかですが、こんな迫力とは!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/b3ZC5RtIZv
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 2, 2023
けんかは攻め側の上り行燈3町、守り側で止まっている下り行燈3町で行われます。御蔵町のみ、仲介役として下り行燈の最後尾で見守り、けんかに参加しないのもポイントです。
勢いよく3箇所で次々にけんかを行っていく訳ですが、なんと勢い余って、横町の大行燈が倒れてしまうハプニングも!滅多にないこととのことですが、幸いけが人は無く、中断を挟み安全が確認されてからけんかが再開されていました。
神明社の神様は女性とのことで、より派手にけんかが行われると喜ぶなんて話もある福野夜高祭。ハプニングはありましたが、今年は良い年になるかもしれません。
けんかを終えた大行燈はこんな姿に。けんかの物凄さを感じられますね!
福野夜高祭の引き合い(けんか)は、毎年5月2日の23時頃から行われます。ぜひこの雄姿を見に、福野へ来てみてください!
曳山・屋台も登場
引き合い(けんか)の興奮冷めやらぬ翌日ですが、この日5月3日は福野神明社春季祭礼の本祭の日。この日は昨日とは打って変わり、曳山4基と屋台1台が出て街を練り歩きます。
10時からの式典に合わせ、上町交差点へ集まっていました。
祭り囃子が披露される場面も。この後は宮入が行われ、お神輿の渡御も実施されました。
福野夜高祭の魅力は、大行燈だけじゃないんです!引き合い(けんか)が行われた翌日が実は本祭の日で、4基の曳山と1台の屋台、そしてお神輿が出るんです。10時からは式典が開かれ、祭り囃子の披露が行われていました!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/4itbOT5elb
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) May 3, 2023
福野駅へのアクセス
・富山駅よりあいの風とやま鉄道で高岡駅へ、JR城端線へ乗り換え合わせて約65分
・金沢駅よりIRいしかわ鉄道線で高岡駅へ、JR城端線へ乗り換え合わせて約75分