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「福島わらじ祭り」で大通りを練り歩く日本一の大わらじ!2023年の現地レポート

2023/8/14
2023/8/14
「福島わらじ祭り」で大通りを練り歩く日本一の大わらじ!2023年の現地レポート

日本一の大わらじが登場すると、会場は沸き立ち、そして担い手と観る者の心が一つになる――なぜこんな巨大な草鞋(わらじ)が福島市の中心市街地に登場するのだろうか。

旅で訪れた人をもてなすためか、あるいは除災厄除のためか。そこには福島の信仰に対する深いまなざしがあったように思う。今では市民の盛大なお祭りとして門戸を広げ、地域内外の人々の心を大きく動かす福島を代表するお祭りとなっている。今年8月4日、現地を訪れたときの様子を振り返っていこう。

福島わらじまつりとは?

東北六祭りの1つで、福島を代表するお祭り「福島わらじ祭り」。メインとなる大わらじは長さ12m、担い手の数が60人と非常に大規模な練り歩きとなる。また、それに加えて、一般市民はもちろん、市内の企業や各種団体が参加して、独特のわらじや衣装を披露する。

2023年、第54回わらじまつりは8月4日(金)から6日(土)まで行われた。4日と5日には大わらじパレードが開催。最後の6日は市内の信夫山の複数の峰のうち、中央に位置する羽黒山で大わらじの奉納が行われた。

4日
17:30 絆パレード
18:00 わらじまつり修祓式
18:35 わらじおどりI部 大わらじパレード・創作わらじパレード
19:20 わらじおどりII部 大わらじパレード・創作わらじパレード
20:05 終了

5日
10:00~12:00 わらじ作り体験教室・わらじ担ぎ体験
13:30~15:00 わらのわ作り教室・わらじおどり教室
17:00 福島わらじ綱引き
19:00 わらじおどり 大わらじパレード・創作わらじパレード
19:30 フィナーレ・大わらじ吊り上げ
20:00 エンディング~終了

わらじまつりの起源は?

福島市の中央部に位置する信夫山(しのぶやま)にある羽黒神社には、古来より健脚を願って、毎年2月の「暁(あかつき)まいり」に大わらじが奉納されている。長さ12mで日本一と称される大わらじは、昔、羽黒神社の仁王門に安置されていた仁王様の大きさにあったわらじを作って奉納したのがはじまりだそうだ。

福島わらじ祭りの公式サイトによると、暁まいりは江戸時代から四百有余年にわたり受け継がれた伝統あるお祭りで、「福島わらじまつり」はその暁まいりに由来。日本一の大わらじの伝統を守り、郷土意識の高揚と東北の短い夏を楽しみ、市民の憩いの場を提供する祭りとして、例年8月第一金曜日~日曜日に実施されているという。

また、片足分の大わらじを奉納することにより、暁まいりに奉納された大わらじとあわせて両足分となり、より一層の健脚を祈願する意味も込められている。ただ、大わらじが現在のようなジャンボサイズになったのは昭和以後のことだそうだ。

大わらじが練り歩くパレードは必見!

ここからは、8月4日(金)のわらじまつりの様子をお届けする。

まずは本部があるパセオパーキング付近で行われた、絆パレード。巨大な草鞋の練り歩きに会場の高揚感が高まる。

大わらじは時折、沿道に寄ってきて大わらじを傾け、乗っている演者が観客とハイタッチする。それにしても2本足でバランスをとりながら、うまく掛け合っている。

大わらじだけでなく、小さいサイズのわらじもある。

さて、その後はわらじまつり修祓式が行われた。関係者による酒樽を開けるなど盛り上がりを見せた。

その後は主に国道13号(信夫通り)のアックス前交差点から福信本店前交差点までの区間で、大わらじパレードが行われた。

先ほどの大わらじはもちろん、各団体、企業によるわらじの出し物が担がれていた。例えば、こちらの東北電力のわらじの上には、青い鳥のキャラクターが乗せられている。

わらじを担ぐのは大人だけではない。子どもが担ぐわらじもある。

パレードには踊り手もいる。どうやら、わらじ音頭の振り付けがあるようだ。

福島テレビの行列には、顔をフリフリさせて踊っている強烈なキャラクターも!

わらじの中でも金色のわらじもあるようだ。

「健脚祈願」「商売繁盛」とのこと。金色のわらじを立てて、わらじを来場者にお披露目するような場面もあった。

福島わらじまつりの熱狂は続いていく。

そもそもなぜ「草鞋(わらじ)」なのか?

それにしてもなぜ、草鞋がこの祭りに登場するようになったのだろうか?

もともと草鞋とは軒下横に掲げられて地域にやってくる災厄を払うことを祈る、一種の道祖神のような役割を果たした。日本全国には大きな草鞋を片方作って村境に下げたり海に流したりして、「こんな大きな草鞋を履く者がいる」という存在を誇示することで、疫病や災害を避けられると信じられてきた。

また、山の神祭りなどで草鞋を奉納することからして、旅の道具として遠くから来た神をもてなす意味もあったかと思われる。もともとは草鞋は激しい仕事や長旅になくてはならないものである。のちに旅の安全や健脚、身体健固や五穀豊穣などの祈りが加わったのだ。

参考文献
福島市教育委員会『福島市の文化財 福島市文化財報告書第28集』
和久幸男『福島県民百科』昭和55年5月

神事の歴史とパレードの賑わい、どちらも楽しめるお祭り

大わらじパレードは2回行われ、20時ごろに終了となった。大きなわらじを担いで練り歩くという、個性あふれるお祭りは、地域の団体や企業の協力のもとで、非常に大きな賑わいが作り出されていた。

神事としての色濃い歴史があり、その一方で、多くの人々に受け入れられる祭りにもなっている。そのような魅力のあるお祭りだと感じた。

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