“ちょこ”っと呑みつま横丁とは?
全国の呑兵衛及び酒クズのみなさん、お待たせしました。お待たせし過ぎたかもしれません。この度、東京ドームにて、1月13日から22日までの10日間、「ふるさと祭り東京2023-日本のまつり・故郷の味-」の開催が決定。前回の開催から実に3年ぶり!
そして酒飲みを狙い撃ちした新企画として『“ちょこ”っと呑みつま横丁』が登場(ナイスです!)。首から下げることもできる「ストラップおちょこ」を片手に、各地の日本酒とおつまみを”ちょこ”っとずつお得に楽しめる企画となる。仕組みは簡単。イベントオリジナルの「ストラップおちょこ」を1500円で購入し、対象店舗に持っていくと、日本酒が200円、おつまみが300円と、通常よりもお得に様々な酒とつまみが楽しめる。
だが、しかし。一杯200円でホイホイ釣られるとか、我々酒飲みを完全にナメ過ぎなんですよ。どうせ大したことないチープな酒しかないんでしょう? 悪酔いするアルコールとか水とか混ぜてるんでしょう?(※完全な言いがかりです)。さぁ、それではせいぜい見せてもらおうか。全国から選りすぐりの地酒の実力とやらを!
①田酒 特別純米【青森】
ちょ。いきなり田酒の特別純米とか反則だから! クラシックな渋いラベルだからと言って侮ることなかれ。フルーティですっきりしていながら、しっかりした酸味も旨味もあるという隙のない薫酒。これが一杯200円とかあり得ないから! 日本酒バーなら確実にプレミアム料金で他の酒より高く設定されているから! ふらっと入った酒屋に田酒がさりげなく置いてあったら店主の顔を二度見して軽く尊敬するから! そのくらい在庫切れ必至のレアなお酒だから!
いっしょに提供されていたおつまみの炙りしめ鯖を「えぇ~。海鮮系はもっとシンプルな辛口のお酒のほうが合うし、田酒ぐらい力強い酒なら肉に合わせても負けないから……」などとブツクサ文句を言いながら(面倒くさい客だ)口に含むと、これがパァァァァァァ!と口の中が幸せの洪水で満たされる感じ。予想以上に脂がのっていて田酒との相性がピッタリ。鯖の脂を酒で流した後、また塩気が欲しくなってしめ鯖を食すというくり返しだけで何杯何食でもイケる。永久機関が完成しちまったわアア~!
②信濃錦 艶三郎 純米無濾過生原酒【長野】
一杯だけならまぐれもあり得る、まだ負けていない(ただの負けず嫌い)と、気を取り直して二杯目。「フレッシュな生酒なので、東京ではあまり出回らない地域限定酒なんですよ」というお店のお兄さんの口上に惹かれて試飲。「こ、この飲み口は確かに辛口の爽酒。だが、しかし……!」。
フレッシュな生酒特有のヨーグルトのような香りもほのかに残しつつ、無濾過ならではの厚みのある力強い旨味、しかし最後はサッパリと後味が残らない抜群のキレ味。いわゆる水のようにすっきりした淡麗辛口とは別種の味わい豊かな辛口(芳醇辛口)をめざした「新時代の辛口」を自称するだけのことはある。ち、地方にはまだこんな猛者が眠っていたというのかぁ!
ちなみにフルーティな薫酒とか、フレッシュな爽酒とか、日本酒の味の4タイプについてもっと知りたいという方は下記の記事も要チェック!
③杜氏の野望 大吟醸【愛知】
二回続けて極上の酒(しかも方向性が全く異なる)を引き当てるなんて、こ、こんなのただの奇跡に過ぎないからと次の一杯。ふっ。一回は偶然、二回は奇跡、三回続いてこそ必然というもの。ラベルがない酒を見つけ、「ははーん、さてはやましいことを隠しているに違いない」(本当に性格が悪い)と、試飲。
すると、華やかでフルーティーな香りにやや甘口、それでいて驚くほどすっきりとしたクリアな味わい。それもそのはず。一ヶ月の低温発酵で米の旨みを存分に引き出し、精米符号は米を磨きに磨いた何と40%。つまり玄米から表層部を60%も削っているわけで、そりゃ雑味のない味わいになるわけだ。こんなにすっきりと飲みやすくて、アルコール度数は日本酒では最高クラスの17度以上18度未満とは、これは飲み過ぎ注意。わ、悪いお酒だ(ほめてる)。
愛知県の地酒は他にも、同じ愛知のお米「夢吟香」を使って、それぞれ酒造ごとに異なるアプローチで醸された3種類のお酒の飲み比べなども用意。こ、これは酒飲みの探求心をくすぐられるやつだし、最初は飲み比べるところからスタートすると日本酒の味わいの違いが少しずつわかってくるから初心者にもおすすめのやつ。
ほかにも、まだまだ新潟県(玉川酒造)のブースで出している「イットキー」は12度の低アルの甘口でワインのように飲みやすい新時代の日本酒だから「日本酒が普段、苦手という人にこそ飲んでほしい!」や、同じブースで出している「十八代 玉風味」を熱燗でくいっとやってクラシックな和の味わいと飲み比べしてほしいなど、言いたいことは尽きない。が、そろそろ酔いが廻ってきたのでこれぐらいにしておこう。
純米大吟醸や無濾過生原酒といった最高スペックの日本酒が、おちょこに並々注いでもらって200円とか、運営は我々、酒飲みをつぶす気かっ! しかもこの極上の酒たちを、例えば「夢の卵丼キャビア乗せ」に合わせたらどんな化学反応(ケミストリー)が起きるのかと、妄想しただけれもワクワクが止まらない。
す、素直に認めよう。こ、今回は私の完敗だったと(乾杯だけにな)。今はただ、吞兵衛が会場に殺到し過ぎないことを祈るばかり。なぜなら、レアなお酒は最終日までには売り切れている可能性も高いから! あぁ、できることならこの記事を公開せずにレアな美味しいお酒を独り占めしたい。
■ふるさと祭り東京 2023
■会期:1月13日(金)~1月22日(日)の10日間開催
■時間:10時~21時 ※22日(日)は18時閉場/各日開場30分前より受付