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源氏繁栄の礎は、「ただのまんじゅう」によって築かれた!兵庫県川西市『源氏まつり』懐古行列レポート

更新日:2020/6/9 どんぐり圭子
源氏繁栄の礎は、「ただのまんじゅう」によって築かれた!兵庫県川西市『源氏まつり』懐古行列レポート

こんにちは。どんぐり圭子です。

平成31年4月14日(日)に行われた第五十五回『川西市源氏まつり』の懐古行列を見学しました。10世紀の源氏を身近に感じることができますよ。行列の出発地は、兵庫県川西市多田神社です。

川西市源氏まつり

 

家系図で源氏に行きつく家は意外と多い

自分の家の家系図をたどると「源氏」や「藤原氏」など歴史上の有名人物に行きく人が多いのではないですか。後世の人が勝手にそうなるように書いたのだろうなどと思うなかれ。以外と真実かもしれませんよー。というのも、源氏の家系図の枝分かれの様子を見るとわかります。

ウィキペディアより (赤枠は記事作者による)

鎌倉幕府を滅亡に追いやった「新田義貞」、室町幕府を開いた「足利尊氏」、戦国時代の名将「武田信玄」、本能寺の変を起こして織田信長を襲った「明智光秀」などは、宗家から枝分かれした源氏の庶家(しょけ)から出ています。それ以外にも多くの広がりを見ることができるのです。多くの人の祖先がここにたどり着いても不思議ではありません。それらは皆、清和天皇に繋がっています。

只の饅頭ではない!「ただのまんじゅう」

兵庫県川西市は、清和天皇から3代目になる源満仲が開拓した多田荘に端を発しています。ここで源氏武士団を形成し、満仲の子らは新たな地に広がり、摂津源氏、大和源氏、河内源氏となって力を強めていきました。源満仲は、「みなもとのみつなか」と読みますが、地名をとって『多田満仲』と書き、「ただのまんじゅう」と呼ばれました。970年創建と言われる多田神社には、源満仲公をはじめ、その子ら五公が祀られています。

ウィキペディア 源満仲/菊池容斎画『前賢故実』より

ウィキペディアより JR川西池田駅前にある満仲のブロンズ像

ああ、祭りは雨

天気予報は雨。チラシには「小雨決行」と書かれ、関係者が「いまだかつて雨で中止になったことはない」という中、雨合羽を着て行列開始を待ちました。神社では、行列開始まで様々な奉納が行われ、そして、いよいよ美しい主役たちのお披露目。

川西市源氏まつり一般公募で選ばれた主役たち

 

懐古行列は、昭和28年多田神社の祭りとして始められました。多田神社を出発し、多田駅前で折り返す約 1時間の行列コースを歩きます。川西市長演じる満仲公が騎馬の先頭を務め、市議会、商工会、青年会議所ほか、一般公募で選ばれた八幡太郎義家、巴御前、常盤御前、静御前、牛若丸、弁慶が当時の衣装を着けて歩きます。この年は、残念ながら鮮やかな衣装の上にビニールをまとっての開始となりました。

川西市源氏まつり巴御前

川西市源氏まつり牛若丸

川西市源氏まつり弁慶

川西市源氏まつりこの下駄履いて歩くの大変そう~

川西市源氏まつり酒呑童子の手下 鬼たち

 

 

行列の行く先々で悲鳴が!

雨は、行列の開始時に一時止んだものの、中盤から本降りへ。しかし、沿道には大勢の人が見物に出てきています。子ども連れが多く、行列の行く先々で子どもたちの悲鳴が!大きな叫び声をあげ、大泣きしています。同時に大笑いの大人の声も!鬼が怖ろしい声をあげて、子どもたちに襲い掛かっています。丹後国にある大江山(今の京都府丹後半島の付け根付近)に住んでいた鬼軍団頭領、酒呑童子の手下たちのようです。
私たちには見慣れたこの光景、度を越した子どもへの庇護がまかり通るようになった西洋では考えられないことのようで、驚いている外国人を発見!日本各地に残る来訪神は、「いい子にするか?」「言うこと聞くか?」といった子どもへ畏怖を体験させるものが多いですが、元々は、大人も大いに畏れたものでした。来訪神は、元々、世界中にあったのですが、日本では、今でも怖いものの存在が自己の抑制力に働く良い役割を果たしているのですよね。子どもたちには申し訳ないけど、残しておきたい文化です。

 

地元民総出の祭り

今回は、行列を見学しましたが、これは祭りのほんの一部です。多田神社境内では、
◎ 奉納演武「神道夢想流杖術」
◎ 奉納演奏「麻の会」篠笛
◎ 茶道協会お茶席
◎ 物産展

川西市源氏まつり神道夢想流杖術の奉納

また、別会場でも様々なイベントがありました。
◎ 武道大会 弓道(弓道場)、剣道・空手道(総合体育館)
◎ 主役源氏お披露目(アステ川西)
◎ 早稲田摂陵高等学校ウィンドバンド演奏(アステ川西)

そして、能勢電鉄は、事前応募が必要ですが、イベント列車を運行しています。

川西市源氏まつりセレモニー準備の能勢電

 

その他、沿道には人があふれ、いろいろな見世物やお店、振る舞いもありました。住民でこの祭りに関わっていない人いるの、と思えるほどでした。雨でもこんなに盛り上がっていたのは、地元民による祭りだからかな~。懐古行列の参加者も嬉しそうに手を振りながら馬に乗っていたり、歩いていたりしました。よそ者から見たら、扮した人になりきってそれらしく振舞ってほしいとチラッと思いましたが、皆さん、この祭りの主役として参加できて、心の底から 嬉しいという気持ちだったのですね。「川西市源氏まつり」は、それほど地元に愛されている地元の祭りなんですね。皆さん、お疲れさまでした。

川西市源氏まつり

 

多田神社に来たら、これも見て!特大サイズの唐椿

川西市源氏まつり国内最大の唐椿 薩摩藩主島津家より贈られた。見ごろは4月上旬。

多田神社へのアクセス
◆阪急電鉄宝塚線「川口能勢口」駅にて能勢電鉄に乗り換え、「多田駅」下車。徒歩約15分。
◆阪急電鉄宝塚線「川口能勢口」駅下車、阪急バス「多田神社前」下車。徒歩約2分。
自家用車でお越しの方は、多田神社、多田駅周辺の小規模な駐車場はすぐに満車になってしまいますので、川西能勢口周辺のパーキングの利用をお勧めします。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
伝統芸能の保存に力を注ぐ一方で、今風に楽しもうと思っています。素敵なお祭りをたくさん発信していきたいな。

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