※2021年は新型コロナウイルス蔓延の影響で昨年同様に神事行事を中止とし、規模を縮小しての開催となりました。詳細は公式サイトをご確認ください。 2022年には無事に開催されることを願いつつ、コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけましょう。 (2021年6月18日 編集部)
京都の7月に行われるお祭りと言えば祇園祭ですが、その中でも最も盛り上がりを見せるのが「山鉾巡行」です。言葉ではピンとこない方でも、きっと動画や写真で一度は観たことがあるはずです。この記事ではそんな祇園祭りの「山鉾巡行」についてご紹介していきます。(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2021年6月18日 編集部更新)
■そもそも祇園祭って?
日本三大祭のひとつに数えられる夏の風物詩、祇園祭。京都市東山区にある八坂神社の祭礼で、毎年7月1日から1ヶ月にわたり行われます。
祇園祭の歴史は古く、平安時代に京都各地で流行していた疫病を鎮めるために行われた御霊会(ごりょうえ)がその起源とされています。この御霊会が時代とともに形を変え、大きくきらびやかな神輿や山鉾が市内を巡行する現在の姿になったのは室町時代からと言われています。
祇園祭の開催スケジュール
祇園祭では1ヶ月の間に様々な祭事が行われますが、その中でも特に盛り上がりを見せるのが前祭(さきまつり)最終日の17日と後祭(あとまつり)最終日の24日。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている祇園祭のハイライト、「山鉾巡行(やまほこじゅんこう)」がこの2日間に行われるため、日本各地から多くの見物客が訪れます。なお、もうひとつの見所である「宵山(よいやま)」は山鉾巡行の前夜祭にあたり、14~16日と21~23日に行われます。
■祭りのハイライト、「山鉾巡行」
毎年17日と24日に行われる山鉾巡行。八坂神社の神輿に続き、17日は23基、24日は10基の山鉾が市内を練り歩きます。山鉾とは、豪華絢爛なタペストリーで飾られた山車のことを指し、その荘厳な姿から「動く美術館」とも称されています。全33基のうち29基は重要有形民俗文化財指定にも指定されています!
■全部で33基ある「山鉾」をすべてご紹介!
山鉾の巡行順は、毎年7月2日に京都市役所で「くじ取り式」で決められます。今回は2018年の巡行順に、全33基をご紹介します。なお、毎年順番の変わる山鉾の中で、9基の山鉾は「くじ取らず」といい毎年同じ順番で巡行します。
7月17日前祭の山鉾一覧
①長刀鉾(なぎなたぼこ)
今でも唯一生きた稚児を乗せており、この稚児による「注連縄(しめなわ)切り」によって巡行が始まります。毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
②蟷螂山(とうろうやま)
全33基の中で唯一のからくり仕掛けで、「かまきり山」の愛称を持ちます。
③霰天神山(あられてんじんやま)
④油天神山(あぶらてんじんやま)
⑤函谷鉾(かんこほこ)
毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
⑥孟宗山(もうそうやま)
⑦綾傘鉾(あやかさほこ)
⑧白楽天山(はくらくてんやま)
⑨鶏鉾(にわとりほこ・とりほこ)
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今年の祇園祭りは宵々山、宵山に参加わたくし京都も10年目、見慣れた風景ですがやはり壮大で美しいです☺️ #京都#kyoto#祇園祭り#鶏鉾#祭り#夏
⑩太子山(たいしやま)
⑪伯牙山(はくがやま)
⑫芦刈山(あしかりやま)
⑬月鉾(つきほこ)
⑭山伏山(やまぶしやま)
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法螺貝の合図と共に 山伏山⛰いざ山鉾巡行へ出発。 #うさと #usaato #山伏山 #山伏 #室町通 #祇園祭 #山鉾巡行 #京都 #kyoto
⑮四条傘鉾(しじょうかさほこ)
子供たちによる「棒振り囃子」が披露される。
⑯占出山(うらでやま)
⑰菊水鉾(きくすいほこ)
⑱保昌山(ほうしょうやま)
縁結びのご利益があるとされており、女性やカップルに人気です。
⑲郭巨山(かっきょやま)
⑳木賊山(とくさやま)
㉑放下鉾(ほうかほこ)
毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
㉒岩戸山(いわとやま)
毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
㉓船鉾(ふねほこ)
毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
7月24日後祭の山鉾一覧
㉔橋弁慶山(はしべんけいやま)
毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
㉕北観音山(きたかんのんやま)
毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
㉖黒主山(くろぬしやま)
㉗鯉山(こいやま)
㉘鈴鹿山(すずかやま)
㉙南観音山(みなみかんのんやま)
毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
㉚役行者山(えんのぎょうじゃやま)
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stylish! #役行者山#後祭#山鉾巡行 #ennogyojayama #yamabokojunko#gionmatsuri #kyotojapan
㉛浄妙山(じょうみょうやま)
㉜八幡山(はちまんやま)
祇園祭り 八幡山 pic.twitter.com/pr2zyZvb00
— zuki (@zuki2hana) 2016年7月24日
㉝大船鉾(おおふねほこ)
1864年に一部焼失。平成26年から150年ぶりに巡行に復帰しました。毎年同じ順番で巡行する「くじ取らず」の山鉾です。
■山鉾巡行スケジュール・見やすいスポットをご紹介
巡行スケジュール
17日は9時から四条通→河原町通→御池通→新町御池の順に、24日は9時半から烏丸御池→河原町御池→四条河原町→四条烏丸の順に、山鉾巡行が行われます。
両日とも11時半頃に先頭が最終地点に到達します。その後は順にそれぞれの鉾町に戻り解体されます。山鉾は市内の厄を集めながら巡行しているとされるため、巡行後はすぐに解体する必要があるのです。
なお、山や鉾を組み立てる「山建て」「鉾建て」(前祭7月10~14日/後祭7月18~21日)が行われた後であれば、山鉾巡行や宵山以外でも山や鉾を見ることができます。試し曳きをする「曳き初め」で、一足早くお披露目の姿を見てみるのも面白いかもしれません。
山鉾巡行の見せ場、「辻回し」
山鉾巡行の目玉はずばり上記でご紹介した豪華絢爛な山鉾そのものですが、「辻回し」も一見の価値のあります。
「辻回し」とは、山鉾が交差点を曲がる特殊な方法のことです。山鉾は大きなものでは12トンにもなるため、普通に舵を取っただけでは進行方向を変えることができません。まずは地面に青竹を敷き、その上に車輪を乗せ、車輪が滑るように水を巻いた後、担ぎ手や引き手の掛け声や音頭に合わせ、山鉾は徐々に向きを変えていきます。
大勢の担ぎ手が全力で山鉾の向きを変えていく様子は迫力満点で、多くの見物客がカメラを構えてその様子を見守ります。辻回しは時間がかかるため、後続の山鉾が接近することもしばしば。これも見所のひとつです。無事に方向を変え終わると観客は拍手喝采。祭りが一気に盛り上がる瞬間です。
巡行が見やすいスポット
御池通は道幅が広いため、巡行の様子をゆっくり鑑賞することができます。前祭では辻回しを見ることができるため、新町御池の交差点が特におすすめ。望遠レンズを使えば、新町御池の南東の角から巡行の様子をばっちり撮影することもできます。
巡行の見所
くじ取り式で決まった順序を確認すべく京都市長がくじ札を読み上げる「くじ改め」、そして巡行の始まりである「注連縄切り」、この二つは見物客が集まるポイントです。
くじ改めは「四条通と堺町通の交差点の近く」、「注連縄切りは麩屋町との交差点の近く」で観ることができます。
ゆっくり鑑賞できる有料観覧席
巡行をゆっくり鑑賞するなら有料観覧席もおすすめです。一般席の他、辻回しやくじ改めのプレミアム席も設けられるので、気になる方はぜひ調べてみてください。
交通規制は事前に確認
例年、京都市内では巡行に合わせて交通規制が行われます。規制の詳細は府警のホームページで確認することができます。なお、歩行者天国は露店の出店がある15日と16日のみ。後祭は露店の出店や歩行者天国はありません。
■山鉾巡行に行ってみよう!
いかがでしたでしょうか?お祭りと名のつくものは日本各地に沢山ありますが、「風流さ」と「熱気」という祭りの魅力の両側面をここまで味わえるものはなかなかないのではないでしょうか。その中でも最大級の盛り上がりを見せるのが山鉾巡行です。気になった方は、この夏ぜひ足を運んでみてください。