観光経済新聞のコラム記事連載が、2019年9月14号からスタートしました!「お祭り」をフックに旅情あふれる記事を、オマツリジャパンライターの皆さんに書いていただき、毎週掲載して行きます。普段のマツログ記事とは一味違う表現で書いていただいていますので、ぜひお楽しみください。(オマツリジャパン編集部)
石和温泉花みこし(山梨県笛吹市)
JR新宿駅から特急「かいじ」に乗って1時間半。車窓からあちこちに桜並木を見つけながら、いよいよ東京を出たね、なんて話していると、あっという間に石和温泉駅に到着した。
駅前の観光案内所に入り、ワインを試飲しつつスタッフの方に「今日は女神輿(みこし)を担ぎに来た」と告げると、にこやかに応援をしてくださった。
この日、私は「石和温泉花みこし」を体験しに石和温泉を訪れていた。
元々花みこしとは、石和温泉の温泉街で働く芸子さんたちがお神輿を担いで地域を盛り上げるイベントとして長年親しまれてきたお祭り。この数年で一般女性の参加を募って開催中ということで、参加を決めたのだ。
お神輿の前に、温泉宿にチェックイン。ロビーではみずみずしい桃の香りの紅茶をいただいた。廊下の窓からは満開の桃の花。ここ石和温泉では桜と桃が同時に見ごろを迎え、どこを見ても美しいピンク色が気分を高めてくれた。お神輿を頑張った後の温泉も、さぞ気持ちがいいことだろう。
いざ、会場で桜にも桃にも負けない、特注のピンクの法被(はっぴ)をお借りして開会式に出向くと、すぐにその雰囲気に圧倒された。先に集まっていた芸子さんたちが、皆驚くほど奇麗。早速お酒を飲んだり掛け声をしたり、ヘアスタイルの最終チェックを行ったりと、思い思いに気合を入れている。私も髪の毛をアップにして来ればよかった、と少し後悔した。
お神輿の感想は一言で言えば最高だった。900メートルあるといわれる満開の夜の桜並木の下を、温泉街の観光客の方々、地元の方々に応援されながら力いっぱい歩いた。
すぐ脇の川には美しい青色のライトアップが施されている。あちこちでグルングルンと神輿を回転させるパフォーマンスをしながら、美女と一緒にたくさんのフラッシュや歓声を浴び、終始いい気持ち。ゴール地点で振る舞われた生ビールは格別のおいしさで、肩にできた神輿の擦り傷も誇らしかった。もちろんその後の温泉も堪能しきったことは言うまでもない。