~古来より縁起が良いとされている「狐の嫁入り巡行」の由来~
その昔、高台寺周辺は鳥辺野と呼ばれ狐火がよく見られたと伝えられ、花嫁が夜に嫁ぎ先まで歩いて行く提灯行列の提灯の灯りが狐火に煮ていることから「狐の嫁入り行列」と言い伝えられました。
「東山花灯路に来ている人を驚かせたい」という気持ちから始まったという「狐の嫁入り」。
遠くから見ると銀の光に見える提灯。チリンチリンと鈴が鳴り、どこからともなく金の人力車に乗った狐の嫁入り行列が祇園を走ります。
独身の方が狐の嫁入りに選ばれるとご縁があったりもするのだとか。
そんな「東山花灯路『狐の嫁入り』」を完全レポートいたします!
富籤(とみくじ)方式の抽選会に参加すると年始から「ええこと」が!
毎年1月1日に高台寺で行われる大般若経祈祷会。
転読が行われたあと、狐の嫁入りの抽選会がはじまります。
例年の応募人数は600人前後。この中から10人ほどが狐のお嫁さんに選ばれます。
抽選会に来た場合は一覧表から自分の名前があるか確認。
おひとりで何枚も葉書を送ったり、当たるようにと願いをこめて非常に手のこんだお便りもいただくそうですが、この番号札を使って「富籤(とみくじ)」方式の抽選が行われます。
まずは木札自体を混ぜます。
箱に木札を入れたあと、さらに箱ごと和尚様が振ってました。
高台寺の和尚様によって最初のおひとり分の抽選を行います。
「117番が当たりです~」
当選番号に丸印がつきます。
その後は「せっかく来たので自分で引き当ててください」と抽選会に来た方に木札を刺す棒を渡して、お一人ずつ抽選会が進みます。(注※来年の応募は未定。コロナ、その他の状況により日程、一般募集をするかとの見直しを検討中。)
年によっては抽選会に20名くらいの団体様が来るときもあるのだとか。
近年は抽選会の参加者は少なく、応募者が多い模様。
さて自分でお嫁さんの権利を当てることができるのか?!
ドキドキしながら抽選会は進みます。
なかなか本堂に来ている人に当たらず、寂しい気持ちになることも…。
実は…「狐の嫁入り」抽選会に参加すると良いことがあります!!
なんと!!狐の嫁入り抽選会の参加者専用のお年玉抽選会が行われます。
富籤方式と別に抽選会参加者用に「当たり」が入ったくじ引きが開始。
抽選会に参加した方は(あくまでも)「お年玉」として、数名が狐の嫁入りの参加権利が当たるのです!
これは嬉しい!抽選会に参加してよかった~!!
狐のお嫁さんになりたい方はお正月に行われる抽選会に行くしかないですね!!
さっそく、お年玉の当選者でましたーーーー!
お嫁さん、当たりーーーー!!!!
和尚が一生懸命、狐の絵を描いたという当たりくじ。可愛い!
狐の花嫁に当選した辻川さんに見せていただきました。
おめでとうございます!
準備は「かつら合わせ」から
2月某日。花灯路本番の前に「かつら合わせ」という準備があります。
御仕度は「お衣装さわらぎ」。
すべて人毛のカツラで、細かくサイズが分かれています。
まずカツラ用のネットを二枚かぶり、それからテープで頭の大きさを図ります。
「当日までばっさり髪を切らないようにね~」「着物を着るとき、空腹だと辛いので、少し食べてきてくださいね!」など、リラックスできるような声かけをしていただきました。
カメラマンのわたくし佐々木も実は花嫁に当選!!カツラ合わせをしてみたところ、何度か変身スタジオなどで経験したカツラとは違い、まず見た目がめちゃくちゃ美しい。さすが芸妓さんも使うというカツラだけある…!全く締め付けるところもなく、とても快適。サイズがぴったりってすごい!!
辻川さんも最初は緊張していましたが、鏡越しに日本髪のカツラを確認すると、ほっとして笑顔がこぼれます。
狐の面をするのに結婚式と同じお仕度
カツラ合わせが終了すると、次はもう本番当日!
本番は佐々木の写真でお届けいたします。(妙齢なモデルですみません。)
自前での持ち物は着物用の肌着・裾除けと足袋のみ。
お化粧もファンデーションを上から重ねて、プロがメイクをしてくれます。
そして雨の日であってもこの品の良い着物を着ます。(※着物用のレインコートは羽織る)結婚式と全く同じお仕度です。
お仕度をするお部屋に入れるのは花嫁役の本人と付き添いは一名のみ。
もし旦那様が侍者の役をする場合は袴の着付のため、同じ部屋に入れます。
私は個人的に石川カメラマンに来てもらっていましたが、男性のため入れず。
でもヘアメイクや綿帽子の中もキチンと簪をしているというのは着付師さんが携帯で撮影してくれました!ありがたや。
お仕度が終わると庫裏の中で高台寺専属のカメラマンが撮影。
実はこのカメラマンは大先生!なかなか被写体として撮影していただくこともないので感激です。
「狐の嫁入り」いよいよ本番!
通常、「狐の嫁入り」は3月に行われる東山花灯路の行事の一環。チリンチリンと鈴の音に先導され夜道を白無垢に身を包んだ狐の花嫁が人力車に揺られて知恩院から高台寺まで通ります。
これがほとんど燈籠の灯りのみ。あまり明るいところがない道。カメラマンにとっては暗く人が多い中で、人力車に乗って動く被写体は撮るのが非常に難しい。それだけに上手く撮れたときは「やったー!」と感激します。
何年か東山花灯路の狐の嫁入りの撮影に挑戦していますが、ハーメルンの笛吹のように花灯路に来た人々が「え?!何?何?!」と鈴の音と狐の嫁入りの行列に引き寄せられる光景は何度見てもとてもミステリアスです。
コロナ後の狐の嫁入りはこう変わる
2020年、2021年は東山花灯路は中止。2021年に高台寺独自で狐の嫁入りのみ催行されました。
口にくわえるタイプだった狐のお面も手持ちに変更。
また密を避けるため通常ルートと異なり、大谷祖廟から「ねねの道」を通って高台寺へというショートカットコース。時間も18時と19時出発になりました。
この変更で嬉しかったのは18時出発だと、ちょうど夕焼けの時間帯。しかも桜も咲いているという今までにないレア感が最高!当選から1年待ったかいがありました(涙)
究極のおひとり様婚(コン)
京都の祇園!しかも高台寺!そこで白無垢を着れる…。そんな女性にとっては夢のようなチャンス。
誰でもお嫁さんになれます。花嫁は募集制!
年度によりますが20/150人くらいの確率で当たります!!!
年齢は問いません!毎年10月10日から葉書で応募を開始、1月1日が抽選会です。
狐の嫁入りの抽選会は富籤方式になっており、お正月の抽選会に参加したほうが「お年玉」特典としてお嫁さんになれる確率がUP!
高台寺で御仕度していただき、ある意味、最高のおひとり様婚(ソロ婚)ができるのは嬉しかった…。(佐々木は花婿さん大募集中です!)
当日までずっとワクワクして、着物に詳しいお友達に和装の下着について相談したり、撮影をしてくれたお友達にも感謝でいっぱいです。
毎年20人ずつ、今までに300人が経験した狐の嫁入り。
当たった方は二回目の応募をしないようにご注意ください。
これからも多くの方に狐の嫁入りの楽しさや幸せが続きますように。
鷲峰山高台寺(臨済宗建仁寺派)
住所:〒605-0825 京都市東山区高台寺下河原町526番地
電話:075-561-9966
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