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インタビュー

【高台寺 北政所茶会】舞妓さんより稀少!嶋原太夫のお点前と太夫道中

【高台寺 北政所茶会】舞妓さんより稀少!嶋原太夫のお点前と太夫道中

◆舞妓さんよりも稀少!日本最古の花街・島原太夫(しまばら たゆう)

秀吉創設!日本初の花街

豊臣秀吉により日本初の官許の社交場「公許花街 柳町(こうきょ かがい やなぎまち)」が二条柳馬場に創設されました。
しかし御所に近いのは問題ではないかと六条坊門に移動することに。
そして今度は風紀の理由ということで朱雀野(しゅしゃかの/西新屋敷)、現在の島原に移転になりました。

衰退する島原に残る稀少な太夫

当時、島原には太夫や芸妓が住む置屋が約50件。また現在でいう料亭の揚屋(あげや)が20件ほどありました。
しかし立地の悪さや格式の高さから客足が遠のき、嶋原は衰退の一途をたどります。
この移転騒動がまるで島原の乱のようだと「島原」と呼ばれるようになりました。

1976年(昭和51年)には京都花街組合連合会から脱会し、歌舞練場も老朽化により解体。

揚屋の角屋は現在、「角屋もてなしの文化美術館」となり、
島原には置屋(お茶屋)はただ一軒、「輪違屋」が残るのみ。

太夫さんもたった5人という大変稀少な存在となってしまいました。


写真:輪違屋

◆太夫さんと舞妓さんの違い

舞妓さんは町衆文化ですが、太夫さんは宮中文化。
太夫さんは天皇に謁見が許された最高位の​官位「正五位(しょうごい)」の地位をいただいています。
公家や宮様に芸事を披露する、というお仕事です。
また「遊女(あそびめ)」というのは「神様(=上様/宮様)と遊ぶ」という意味から来ています。

花魁も太夫といいますが、これは名前やファッションだけを吉原の花魁たちが流用したためです。

京都に来たときに祇園を歩けば舞妓さんに逢うことはできますが、なかなか太夫さんを見るチャンスはありません。
もしも太夫さんを見ることができたときは「花魁」「舞妓」ではなく、
「こったいさん(公家言葉「こっち」の意味)」「太夫さん」と呼んでください。

舞踊、茶道、和楽器と秀でた証が「太夫」

太夫というのは芸事に優れ教養のあるものに許された位で、
茶道、華道、書道、香道、歌道、文学、和歌、和楽器(琴、胡弓、笛など)や、
投扇興などの古典的遊びに通じていることも必要とされます。


写真:石清水八幡宮 桜まつりにて葵太夫さんによる奉納舞を撮影

◆豪華絢爛!太夫さんの衣装

華やかな髪飾りは八本の笄(こうがい)に花簪(はなかんざし)。
日本髪の種類は全部で48種類あり、現在は26種類の結い方が伝わっています。
口紅は下唇のみ、宮中では白い歯を見せることは「はしたない」といわれていた時代のため、お歯黒です。
衣装は十二単を簡略化したもので、襟を返して緋色の色を見せるているのは「正五位」という太夫の証。
帯は「嶋原結び」という「心」を表した形をしており、手を必ず帯の下に添えるのは「おもてなし」を意味します。
冬でも素足なのは「位があってもお客様より一歩控える」ということ。
三枚歯の高下駄は三つ足。
頭だけで5Kg、着物は20Kgもあります。

ちなみに時代祭で見る吉野太夫の衣装と印象が違うのは
明治くらいから、このような豪華な衣装になったためのようです。

写真:高台寺 北政所茶会での太夫道中。天皇の使いしか通常は入れない勅使門から方丈に入ります。太夫道中は神社仏閣のお練りを様式化したもの。太夫さんは内八文字を描きながら優雅に歩きます。

◆高台寺「北政所茶会」でお点前と太夫道中を満喫

毎年10月6日 高台寺開催「北政所茶会」(きたのまんどころ ちゃかい)

高台寺の茶道頭にインタビュー!お茶会についてわかりやすく解説していただきました。

Q. 北政所茶会について教えてください

秀吉様の命日である旧暦9月6日、毎年10月6日に北政所茶会を行っています。
秀吉様は陣中でもお茶を振舞っていたそうですが、寧々様も伏見城内にあった傘亭、時雨亭を移築したほどお茶を好まれていたため、追善供養として茶会をしています。

また高台寺は建仁寺の末寺(まつじ)で建仁寺開山・栄西禅師は茶祖です。このように、高台寺はとてもお茶に縁が深いお寺です。

Q. 高台寺の茶席の特徴について教えてください

5つの茶席(表・裏・煎茶・太夫席・陣中席)と点心席があります。
陣中席は秀吉様が陣中でお茶を振る舞ったという故事に基づき、兜や武将の軸、馬や瓢箪の飾りを設えています。
また太夫席は裏千家のお点前です。

Q. なぜ太夫さんが参加されているのでしょうか。

高台寺の境内には吉野太夫ゆかりの「遺芳庵(いほうあん)」があります。
そういった御縁もあり、10年ほど前から太夫さんに参加していただいております。


写真:「遺芳庵」吉野太夫が好んだ丸窓は吉野窓と呼ばれている

Q. 懐紙、黒文字(楊枝)を持っていくお茶会との違いはなんでしょうか

本来のお茶会は少人数で行い、食事とセットの正式な茶会です。
しかし現在はほとんどのお茶会は大寄(おおよせ)という、どなたでも参加出来るお茶会が多いです。初めての方でも気軽にお茶会にお越しください。

懐紙はハンカチやティッシュのようなもの。
デパートの茶道具売り場やお茶の販売店や紙屋で取り扱いがあり、最近は可愛いデザインやセットも売っています。
懐紙や黒文字を持っていないときは主催者にお願いすれば問題なくいただけます。


写真:司太夫は元・祇園甲部の舞妓さん。年季明けに太夫になったという異色の経歴の持ち主。葵太夫の母でもある。

Q. 参加するときのマナーを教えてください

基本的には茶道具を丁寧に扱えば問題ありません。
コップを片手で持つような一手(ひとて)ではなく、左手で椀を持ち、右手に持ちかえる「二手(ふたて)」の動作をすれば大丈夫です。
わからないときはわからないと(隣に聴くのではなく)主催者に聴いてください。
また、お茶は待ち時間があるため、時間に余裕を持って来ることをオススメします。

※初心者の方は正客と末客(最初と最後)は避けたほうがいいと言われていますが、譲りすぎに注意。
初心者でも主催者がさばくため、問題ありません。


写真:10月6日 北政所茶会では9:30に利生堂(りしょうどう)から高台寺勅使門、15:00に高台寺勅使門から利生堂へ太夫道中が行われる(茶席有料)

◆神秘に包まれた太夫さんの謎にせまる!

輪違屋から独立し、半世紀ぶりの太夫・廣末屋の葵太夫さんにインタビュー!
京都に住んでいてもなかなか遭遇できない太夫さんに貴重な情報を教えていただきました。

現役の太夫さんのお名前を教えてください
花扇太夫司太夫如月太夫葵太夫桜木太夫の五人どす。

太夫さんになるまでにはどんな順序の名前がありますか

禿(かむろ)→少女(しょうめ)→振袖太夫→太夫という順序で、「少女」というお役目も調べて調べて数年前に発見したくらいどす。どこにも衣装なんて物も残ってしまへん。
なんとか写真を見ながら少しでも近づけるようにうちとこは再現してます。

それと引舟は太夫について身の回りの世話をする、言わば仲居頭のような役割どす。
芸能界で言うと、マネージャー的な役割どす。

禿さんたちの今後について

太夫になってくれたら嬉しいなというのが一番の本音どす。
禿をしてるうちに憧れてくれてるのはほんまみたいどすし、舞のお稽古がしたい、お筝のお稽古がしたい、と、うちの禿になったことをきっかけにこの日本の芸事に目覚めてくれてます。

ただ小学生中学生やので、いつ夢がかわるかもわからしまへんし、こちらが強制のできるような時代ではありません。
せやので、今の時代は、お行儀見習いの一環でお仕事しに来てもぉてます。

禿に来る段階でも親御さんのご協力があってどすし、太夫になるとなったらお稽古事も増やさんとあきまへん。
そうなったらさらに親御さんの負担が増えてしまいますので、なってほしいなと思うてても強制はできしまへん。
高校生になったら学校によったらアルバイトもできますけど、それまでがね…。
舞のお稽古してる子達は、自分が禿でいただいたお花代から御月謝をお師匠さんにお渡ししてます。

太夫になるならへん関係なく、日本のこういった芸事に子供の間から携わっていると、大人になった時にとても役立つことが多々ありますので、礼儀作法はもちろん、人として良き大人になるようにとの思いで教えてます。

北政所茶会のお茶会について

そない堅苦しくお茶席にきはらへんでも大丈夫どす。
太夫席は嬉しいことにたんとの方が来てくれはりますので、早く回転させなあかんというがあり、ゆっくりお席で観ていただくというのができひんのどす。
お飲みになられたらお席をお譲りいただいて後ろで観ていただくというのが申し訳ないところどす。

お点前について基本は一緒なんどすけど、1つだけああいったお茶席で少し違うのが、茶釜がグツグツと沸騰してますので、お水を足して冷ましています。
何服も点てて、うちと司で入れ替わってる間もずっと茶釜は置いてるので、熱々なんどす。
そんなんではお客様に飲んでいただけしまへん。
せやから様子を見て手順とは違うけども自然な流れで水を足しています。

お茶を一服する、お茶はほっとひと息つくためのもの。
その方に心も身体もひと息つけるよう、そして美味しく飲んでいただけるようにを1番に考えながら点てています。


写真:石清水八幡宮 桜まつりにて撮影 「※かしの式」は客との顔見せの儀式 盃台の前で盃を回し、美しい仕草や視線を送ります。※置屋が揚屋に太夫を貸すため「かし(貸し)の式」という

葵太夫さん、貴重なお話をありがとうございました!
続きはまた太夫さんの参加される行事やお座敷で続きを教えていただきたいと思います…!

太夫さんは京都に残る貴重な文化。
年中行事ではあまりにも人数が少ないため、舞妓さんに切り替わる行事も増えてきています。
現在の太夫さんは5人ですが、絶えずにこれからも続いていって欲しい!

島原太夫の更なるご活躍を心より願っております。

◆太夫さんの年間行事

・4月第二日曜 10:20~ 常照寺 吉野太夫花供養 太夫道中 (境内有料)奉納舞、演奏、茶席
・4月第二日曜  13~15:30 国宝 石清水八幡宮 太夫道中 奉納舞(茶席 有料)
・7月上旬 14:00 はも道中 八坂神社 太夫道中
・8月1日 15:00 嶋原の八朔  末廣屋 葵太夫が輪違屋、角屋などに挨拶回り
・10月6日 9:30 15:00 高台寺 北政所茶会 太夫道中 (茶席 有料)太夫席
・11月第二日曜 10:30 清凉寺(嵯峨釈迦堂) 夕霧供養祭 奉納舞 (本堂内 撮影禁止) 太夫道中
・11月第二日曜 嵐山もみじ祭 14:00頃から 島原太夫の御点前披露 太夫道中
・12月14日 10:30 法住寺 義士会法要 太夫道中

京都旅行に来た際に太夫さんのお座敷を見たい場合は甚松庵にて「かしの式」や舞「いにしえ」の鑑賞も可能です!

高台寺 北政所茶会」については高台寺にお問い合わせください

鷲峰山高台寺(臨済宗建仁寺派)

住所:〒605-0825 京都市東山区高台寺下河原町526番地
電話:075-561-9966
Fax:075-561-7387
https://www.kodaiji.com/

written by
佐々木 美佳

佐々木 美佳

毎日、京都散歩の旅。
雅な文化や民俗風習、古典芸能、美術を愛し、
旅に恋するトラベルフォトライター。
https://www.instagram.com/ayse_mirrorka/
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