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五島列島のへトマトで、海外美女が半裸の男に乱暴にお姫様抱っこされてしまう事案が発生!?

2020/2/10
2024/5/21
五島列島のへトマトで、海外美女が半裸の男に乱暴にお姫様抱っこされてしまう事案が発生!?

どうも。奇祭ハンターのMacです。今回は、その由来に関して定説がなく、何のためにやっているのか意味不明のなぞ過ぎる奇祭「へトマト」の謎に迫ります! 神秘のヴェールに包まれるにも程があるぜって感じで、これぞ奇祭中の奇祭という感じがしますよね。早速、ミステリーを解き明かしに会場の五島列島へと行ってみましょう。

この日のために貯めたマイルを使って、羽田から長崎空港へ。
さらに長崎港からフェリーで約3時間(ジェットフォイルだと約1時間半)。五島列島の福江港をめざします。

フェリーの甲板に上がった後、船内で売っていたカップラーメンなんか食べていると映画「天気の子」の冒頭シーンを思い出しますね(あれは神津島→竹芝港までのフェリーでしたが)。

夜8時着という遅い到着でしたが、ありがたいことに福江港まで宿のオーナーが迎えに来てくれました。今日はゲストハウスに前泊。明日の午後13時からの祭りに備えます。

翌日、午前中は奇祭まですることがなかったので、バスツアーで福江島観光に行きました。何と言っても五島列島は長崎の「潜伏キリシタン関連資産」で世界遺産に指定されていますからね。

福江島に点在する数ある教会の中でも、井持浦教会は「ルルドの聖水」で有名。どんな難病も治ると言われる奇跡の水を本家フランスのルルドから運んできているので、要チェックです。祭りを見に来て、まさか聖水を飲むことになるとは思いませんでした。

ランチは港近くの食堂で五島牛入りの五島うどん(肉うどん)をゲット。聖水で清めた体のままいよいよ午後からの祭りに向かいます! ここでようやく目次がドーン!!!

青年団VS消防団➀「相撲対決」

これが祭りのスタート地点となる白浜神社。小さな境内ですが、土俵があります。祭り当日の13時頃、境内には相撲目当ての観客が多数集まってきました。

ズボンをはかない男たち。安心してください、下はフンドシです。
どうやら相撲の出番を待っているようです。

これが白浜神社での「奉納相撲」。子どもや中学生の部に続いて、地元の青年団VS消防団のガチンコ対決が行われました。ここから青年団VS消防団の三本勝負が始まります。今は青年団と消防団が主体となって行われていますが、昔は東地区VS西地区の対決だったそうです(なぜに東VS西?)。

新妻対決!「羽子板」

青年団VS消防団の次なる対決の前に少しコーヒー・ブレイク。着飾った新婚の奥様2人が酒樽に乗って「羽つき」を行いました。出演者は新婚の嫁でないといけないそうで、羽根つきの数が続くほうが豊作・豊漁となるのだとか。

今回、羽子板勝負を行った新妻のおひとり。記念に一枚パシャリ。お正月らしいお祭りっぽくていいですね。

この辺から「ヘグラ」と呼ばれるススを体中に塗りたくった若者が待機。彼らに捕まると観光客と言えど、顔にススを塗られます。これは見ている観客もたまったもんじゃあ……。

!!! いや、ノリノリかよ!

青年団VS消防団➁ 「玉せせり」

ヘトマト 玉せせり

青年団VS消防団の二回戦はその名も何と「玉せせり」。縄で巻き取柄のついた藁玉を激しく奪い合うナゾの球技です。最初はどうやったら勝つのかまったく意味不明でしたが、どうやラグビーのように球が相手チームのラインを超えれば勝ちのようです。

「この球技は宋家二代 羅 愚美(ら ぐび)が創始し、英国に伝わってラグビーの起源となったという説が支配的である」(民明書房刊「スポーツ起源異聞」より)という感じで、「魁! 男塾」にも出てきそう。妄想が止まりません。

冗談はさておき。玉せせりの奇妙な玉の形は鯨の目を模しているとも言われ、昔は勝った方が鯨の分配量を頭付きで取れたため、熱の入れようがすさまじく、刃傷沙汰が絶えなかったそうです(その後、鯨が捕れなくなったことや戦争で祭りを行う青年がいなくなったことから一時廃止され、現在は復活。もちろん今は捕鯨も分配もしていません)。

青年団VS消防団③「綱引き」


青年団VS消防団の最後は、二手に分かれて豊作と大漁を占う「綱引き」勝負です。

「写真ばっか撮ってないで、手伝ってよ~」

最後は「大草履」に美女を乗せて大団円

そしていよいよ本日のメインイベント。最後に長さ3メートルの大草履が登場し、若者が担いで山城神社へ奉納する「大草履の奉納」です。途中で、見物客(ただし未婚の女性に限る)を次々と捕まえてはその上に乗せて何度も胴上げを行うのが見所です。

どうやって、女性を連れてくるかと言うと……。

!!! 定番の堂々たる「お姫様抱っこ」スタイル。美女と野獣というか、もはやアンタ勇者やで!

!!! こちらは「米俵」スタイル。人が米俵のようだ(派手柱かよ!) 漫画とかでなく、リアルライフで女性を米俵担ぎしている人を始めてみました。

捕まった女性は無造作かつ豪快に大草履の上にポーンと放り込まれます。野菜の収穫かっ!

ヘトマト

エリザベスさん(仮)「アメージング! コレが日本文化のスタンダードなのデスネ!」

いや、ちがうけど……。むしろインドネシアのケチャダンスみたいな絵面になってるけれど、もういいよ、スタンダードってことで。「カカロット、お前がナンバー1だ!!」と認めたときのベジータの心境ですよ。つまり、脱帽ですよ。

世界よ、すべての日本男児がこうだと思っていただきたい!!

女性を乗せて数メートル移動した後は、ワッショイワッショイと胴上げ。道行く美女を次々と捕まえては、空に放り投げ、祭りは無事、大団円。無事に、山神様を祀る山城神社へと奉納されました。もうこのの胴上げをすべての祭りで締めに行うってことでもう良くないですか?(頼むぜ、日本のエライ人)。

今回の感想:「いや~噂には聞いていたけれど、実際に見てみるとやはり面白いね」

あ。ぼくじゃないです。
地元市役所の観光課に務めているという、フランス人のオリヴィエさんが語ってくれました。

帰りは小型飛行機に乗って、福江空港から長崎空港へ。機内で今回の想い出や残されたナゾについてふり返ります。

ミステリー:ヘトマト考

改めて全体を見た感想としては、何せ定説がないので妄想するしかないのですが、何か特定の神様の宗教色が強いというよりは、みんなが参加できる「大運動会」といった雰囲気のお祭りでした。基本的には男性主体の裸祭りなのですが、最後は女性が胴上げされたり、見物客もススを塗られたりと、全方面で参加できるパートがあるのがすばらしかったです。

しかし、いくつかのナゾが残ります。一見、脈絡がなさそうな相撲や玉せせり、綱引きにはどんな意味やつながりがあるのか? なぜ昔は東と西に分かれて行われていたのか? なぜ羽子板は新婚女性が起用され、なぜ草鞋に乗るのは未婚の女性なのか? なぜ白浜神社と山城神社という2つの神社が関係しているのか?

このナゾを解くカギはズバリ「裸祭り」にありました。世界大百科事典(第2版)によると「裸祭には、みそぎによって生まれ変わることをめざすものと、競技を行うことで年占を行うものが多い」とあります。明らかにヘトマトは後者の競技系でしょう。なお、年占(としうら)とは、競争の形をとって農・漁業の豊凶を占うものです。

この競技系裸祭りの代表例として、福岡の玉取祭があります。玉取祭は、約500年前の室町時代に始まったとされ、陸側と浜側に分かれて木玉を奪い合います。この争奪戦は一年の吉凶を占う年占いの意味合いがあり、陸側が勝てば豊作、浜側が勝てば豊漁と言われています。そしてこの玉取祭の別名こそが「玉せせり」なのです。

直接の影響関係は不明ですが、福岡の玉取祭(玉せせり)と、長崎のヘトマト(玉せせりを含む)は共通した性格の祭りと考えて間違いないでしょう。そうすると、上記のナゾに対する仮説を立てることができます。つまり、その昔、東と西に分かれて争ったというのは福岡の玉取祭と同様に、陸側と浜側に分かれて豊作か豊漁かを占うため。祭のスタート地点である白浜神社は浜側(漁業)を象徴し、終点である山城神社は陸側(農業)の象徴。一見脈絡なく思えた相撲、玉せせり、綱引きはすべて一年の(農・漁業の)豊凶を占う年占い。そう考えると、新婚女性による羽子板と未婚女性の胴上げも、新年の通過儀礼(婚姻儀礼)として見事に対を成しています。

あなたの町の一見、意味不明なナゾ祭り。それもひょっとしたら、その昔は一年の豊凶を願う年占いとして行われ、次第にその意味合いが忘れ去られていってしまったものなのかもしれませんね(なんてな)。

今回のオアソビジャパン

軍艦島(端島)。海底炭鉱で栄え、1960年代には東京都の9倍の人口密度だったという人工埋め立て島。日本海軍の戦艦「土佐」に似ていることから「軍艦島」と通称されるようになりました。

1974年に閉山が決まり、40年以上雨風、波にさらされて廃墟化。2015年に「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録されました。島には神社や灯台、日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅などがあります。

五島列島には福岡空港から行くルートもありますが、わざわざ長崎空港を経由したのは、この軍艦島に寄るためでもありました。

今回のオトマリジャパン

へトマトが行われる地区からほど近く、バスガイドも務める古賀さんが経営するゲストハウス「J House」。港や空港行きのバス停まで送迎までしていただいて、すっかりお世話になりました。

いかがでしたか? 今回の奇祭旅。世界遺産2つ(軍艦島、潜伏キリシタンの教会)&奇祭のマリアージュは最強です。特に「お姫様抱っこされたい!!!」という女性の方はぜひ、行ってみてください。

■日時:毎年1月第三日曜/13時~
■会場:五島列島五島市下崎山町(白浜神社とその周辺)
■交通:長崎港からフェリーで福江港へ、もしくは長崎空港(福岡空港)から福江空港へ。港や空港から車で約15分。
https://www.nagasaki-tabinet.com/event/51078/

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