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だんじり全32台が一堂に集結した「東灘区制70周年記念だんじり巡行」に密着

更新日:2023/5/31 原田 伸一
だんじり全32台が一堂に集結した「東灘区制70周年記念だんじり巡行」に密着

兵庫県神戸市東灘区制70周年を記念し、区内の5地区32台のだんじりが一堂に集結!新型コロナウイルス感染拡大防止のため2度の延期を余儀なくされましたが、各地区自慢のだんじりが東灘の街を巡行し、区制の節目を祝いました。

江戸時代に始まったとされる東灘のだんじり。毎年春に行われるだんじりが地区ごとの開催であるのに対し、本行事は東灘だんじり会の主催によって東灘区の発展を伝統文化で祝う10年に1度のパレードです。コロナ禍でのうっぷんを晴らすかのように大いに盛り上がっただんじり巡行の模様を楽しくレポートします!

地域のつながりを大切に!子どもからお年寄りまで同じ笑顔に包まれた記念巡行

朝9:00。記念巡行の出発地である白鴎橋交差点に向かうと、すでに32台のだんじりが集結し、多くの人たちで賑わっていました。

地区ごとに揃いの法被や浴衣に身を包み、久しぶりに会った旧友たちとはしゃいだり、おっちゃんたちの輪に若者が交じって談笑したりと、地域の祭りならではの温かい空気に包まれています。 我々取材陣が声をかけると、皆さん屈託のない笑顔を向けてくれました。ノリの良さも最高!

各地区の代表者が紹介され、区長のあいさつの後、いよいよだんじり巡行の開始です。

各地区自慢のだんじりが鐘や太鼓、威勢の良い掛け声とともに一台ずつ動き始めます。巡行を開始したと思ったらいきなり見せ場が!!地車を曳きまわす「曳だんじり」も、急な交差点を曲がる際には若衆が担ぎまわしをしないといけません。この手に汗握る見せ場に、付近に集まった見物客も拍手喝さいです。

最初の難所を乗り切った各だんじりは進路を西に取り、東灘区役所前のゴール地点を目指して閑静な住宅街を進んでいきます。

あいにくこの日は午後から雨模様の予報のため、だんじり巡行は昼までの順路で打ち切り。残念ながら朝の段階で短縮開催がアナウンスされました。それでも延期後2年待っただんじり巡行です。地区によって年齢層やカラーは多少違うものの、年代や性別を超えてそれぞれが楽しんでいる様子が伝わってきます。
いきなり走り出す愉快なだんじりも(笑)

ここまでしばらくのんびりと曳き歩いていただんじりですが、曳き手には最大の難関、そして沿道の見物客にとっては最大の見どころである、住吉川へ向かう長い上り坂が近づいてきました。

普通に歩いて上るだけでも息切れしそうな長い坂。重さ4tもあるといわれるだんじりを曳くのだから大変です。さぁ、みんな頑張れ!

最大の頑張りどころだけあって、屋根頭や提灯を持った女衆の掛け声も威勢を増します。これぞ祭りの醍醐味ですね!

ここで32台すべてのだんじりを見送った後、そろそろ先頭がゴール地点の東灘区役所前に到着しそうだということで、我々も足早に近道を通って先回りしました。

国道2号線に面した東灘区役所前は、これまでの閑静な住宅街から一変し、商業施設や高層マンション、ビルなどが建ち並ぶ都市の景観です。普段から交通量の多い幹線道路では、全面封鎖はさすがにできず片側1車線の規制。近代的な街並みの中に伝統的なだんじりが並び、その横をバスや乗用車が進む様は少し浮世離れしたような不思議な光景に映りました。

そんな中、信号が変わるたびに幹線道路に威勢よく流れ込んでくるだんじりの姿に、この日最高の人出となった区役所前は大いに盛り上がりを見せます。

沿道からは声援や拍手が飛び、それに応えるように屋根頭の若衆も張り切ります。

母親と一緒にだんじりに盛んに手を振っていた小学2年生の男の子は「だんじりめっちゃかっこいい! 大人になったら屋根の上のお兄さんのようになりたい。」と言い、大阪からやって来たという40代の男性は「コロナ禍で延期になり待ち遠しかったのですが、やっぱり東灘のだんじりは最高ですね。だんじりというと荒々しいイメージなのですが、場所柄もあるのかここのだんじりは上品なので安心して楽しめます。」と笑顔で話してくれました。

祭りの閉会にあたって、東灘区役所前では記念式典も開催されました。

東灘だんじり会会長の吉田さんは、来賓や関係者への謝辞とともに「だんじりを大事にしていき、東灘のつながりを大事にしていく。10年20年と続けていけるようこれからもよろしくお願いします。」と述べられました。

式典には、今回関係者用の法被などをデザインした地元・六甲アイランド高校の生徒さんたちも駆けつけていました。

この法被は地域のつながりをイメージしてデザインされたそう。だんじりを担ぐ人たちや、携わった人たちを実際に見て、「私もその一員になれたことを嬉しく感じました。」と話してくれました。

最後に、気のせいか目が潤んでいるように見える吉田会長にひと言いただきました。

――今日はお疲れさまでした。ひとまずようやく行われた「東灘区制70周年記念だんじり巡行」を終えて、ひと言どうぞ!

吉田会長「はい! もう、感無量です!(笑)」

最高のひと言です!

【あとがき】

勇壮で賑やかな、ノリの良い「東灘区制70周年記念だんじり巡行」の模様をレポートしました。 実は私は兵庫出身なのですが、東灘のだんじりは数十年前にちらっと見たような記憶があるぐらいで、しっかりと間近に見たのは今回が初めてでした。関西の祭りなのできっと楽しくノリの良い祭りだろうと予想していたのですが、まさかこれほどまでとは思わなかったのが正直な感想です。 コロナ禍にあって満足にだんじりが行えないもどかしさや寂しさを乗り越えて、2年遅れで行われた「東灘区制70周年記念だんじり巡行」には、関係者や参加者皆さんの3年分の熱い思いが込められていたことでしょう。そして、今回特に印象的だったのは、老若男女あらゆる世代がだんじりを曳きながら皆さん同じ笑顔をされていたことです。そこには世代間や男女間のギャップはなく、まさに地域一体となって同じものを見、楽しんでいる様子が感じられ羨ましくなりました。

今回の一連の取材を通じて、関係者の皆さんが一様に話されていた「つながり」という言葉の意味を実感した、とても元気のもらえるお祭りでした。関係者の皆さま、本当にお疲れさまでした!

東灘だんじり 特設WEBページはこちら

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
香川県在住のフォト&ライターです。よさこいに阿波踊り、太鼓祭りなど、四国にはたくさんの魅力的な祭りがありますが、特に熱気あふれる「人」を撮るのが好きです。

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