京都・天王山のお祭り
京都府の最南部に位置する大山崎町。京都と大阪をはじめとした西方面を繋ぐ西国街道が通り、往来の街として古くから発展してきた所です。戦国時代には、本能寺の変後の戦として有名な羽柴秀吉と明智光秀による山崎の戦い(天王山の戦い)が繰り広げられた場所としても知られ、歴史ファンには馴染みのある街ではないでしょうか。
この天王山の山間にあるのが、宝積寺!毎年4月第三土曜日に行われるお祭り「宝積寺大厄除追儺式(鬼くすべ)」の舞台です!
2022のお祭り開催日は4月16日。ここからはお祭りの一部始終をご紹介して行きます!
お祭りへ参加するためには、まずは天王山を登らなければいけません。標高約270mとめちゃくちゃ高いわけではありませんが、山道なので歩きやすい靴がおすすめです。
登り進むと、宝積寺の山門に辿り着きました!勇ましい金剛力士(鎌倉時代の制作)がお出迎えです!また「聖武天皇勅願所」の碑がありますが、宝積寺は724年に聖武天皇の勅願によって、行基が開山したお寺になります。現在は真言宗智山派の古刹として知られる、歴史あるお寺なんですね!
もう少しだけ登りが続きます。新緑美しい参道です!
社殿に着くと、紅白幕が巻かれお祭り仕様に。お祭りの前に、まずはお参りを済ませましょう!
宝積寺の山号はその名も「天王山」。見事な額が掛かっていました!
お賽銭箱には、お祭りの開催を知らせる案内が。14時からスタートします!
鬼、七福神が登場!
14時を目前に控え、梵鐘の音が響きはじめました。お祭りの開始に向け、境内も賑やかになってきます!
14時、門の向こうで唱えられる般若心経が終わると、山門が開門となりました!ご住職を先頭に、行列が進んできます!
ご住職の後ろに続くのは、5体の鬼!赤、緑、黄の鬼がおり、なかなかに見応えのある顔をしています。
その後ろには、なんと鬼滅の刃のメンバーが!鬼くすべには厄(鬼)祓いの願いが込められているとのことですので、鬼を退治するこちらの皆さんには打ってつけのお祭りなのかもしれません!
さらに後ろから続くのは七福神!打出の小槌を振ってもらってご利益をいただきましょう!
最後の裃姿の皆さんは、年男とのことでした!
参道を登りきったら、社殿へと入っていきます。
可愛く着飾った子どもたちの姿も!
堂内がモクモクに!
ご一行が着座すると火を使った儀式へと移ります。
さまざまなお経が唱えられる中、儀式が進んでいきます。
花びらを巻く、美しいシーンも登場しました!
京都、天王山宝積寺の大厄除追儺式(鬼くすべ)。序盤に行われたお経を読みながらの散華が美しい。#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/hrHPAfXZ6Y
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 17, 2022
神職の方も中央にご参列。神仏習合時代からの流れを感じますね。
火の準備が進められていきます。
堂内の奥では、鬼たちも静かに控えています。
種火が取られました!いよいよ点火です!
中央の儀式台のヒバの葉に、種火が投入されました!
すると、じわじわと燃え上がる火!
火は段々と大きくなり、堂内が煙で満たされていきます!ちなみに今回は感染症対策からお堂の扉が開いたままになっていますが、通常は全ての扉が閉められて行われます。暗闇の中、さらに煙の充満した空間になっているのですね。
京都の天王山宝積寺で行われた「大厄除追儺式(鬼くすべ)」。
火がつけられると徐々にお堂内に煙が広がり、独特な雰囲気を醸し出します!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/47jgHOB8yU— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 17, 2022
上へ上へと止まることなく出続ける煙。
護摩木を焚べ、さらに火が大きくなるようです。
般若心経が唱えられる中、さらに燃えていきます!お堂内は煙でモクモク!#大厄除追儺式 #鬼くすべ #祭り #オマツリジャパン #京都 pic.twitter.com/sjN6DneuHo
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) April 17, 2022
護摩焚きが終わると、鬼がご住職の元へ。煙に燻され、厄落としされたのでしょうか?と言うのもこのお祭りの別名「鬼くすべ」のくすべとは、燻べる(くすべる)と同義で、意味合い的には燻す(いぶす)と似た言葉です。煙を出し、くすべる事によって鬼を祓っているのですね。
緑の鬼も浄められて行きます。
浄められた後は、鬼が火を持ってお堂内を回って一連の儀式は終了です!
全ての儀式が終えた後には、集合写真の撮影もありました!
その後には、参列者に対しての三種の福餅の授与も。通常は餅撒きを行っているとのことですが、今年は手渡しされていました。
周辺情報・アクセス
天王山の麓にある離宮八幡宮。社名はこの地が元々嵯峨天皇の離宮だったことに由来し、清和天皇の時代に宇佐八幡宮から勧進して開かれたのが始まりと言われています。また京都には有名な石清水八幡宮がありますが、その元社だともされています。
そしてなんとこちらは、日本における製油発祥の地とのことです!平安時代末期に搾油器の長木が開発され、えごま油を作るのが盛んだったんだとか!
離宮八幡宮から少しだけ西に足を運ぶと、すぐに大阪府との府境に到着します。「従是東山城國」の碑がポイントです!
そしてこの境にあるのが、関大明神社!古くはこの辺りに関所があったらしく、関守神が祀られていたんだとか。さらに「関所で止める」、「せきとめる」が転じてか、「咳止めの神」としても信仰されています。
■宝積寺へのアクセス
・JR山崎駅より徒歩約10分。JR山崎駅へは、京都駅よりJR東海道山陽本線で14分、大阪駅よりJR東海道山陽本線で28分。
・阪急大山崎駅より徒歩約12分。阪急大山崎駅へは、京都河原町駅より22分。大阪梅田より31分。
毎年4月第三土曜日に行われる、宝積寺の「宝積寺大厄除追儺式(鬼くすべ)」。鬼、七福神が登場し、火祭りの要素まであるユニークなお祭りです。ぜひお近くの方は次回来てみてください!