湘南海岸の材木座海水浴場沿いに仏閣を構える光明寺
神奈川県鎌倉市の相模湾の海岸線は湘南海岸と呼ばれ、夏には海水浴を楽しむ人々で埋め尽くされます。逗子市と接する東端には材木座海水浴場が開けています。材木座の海岸から100メートル余りのところに光明寺が浄土宗の仏閣を構えています。境内に設けられた記主庭園では蓮が育てられ、例年7月中旬から8月下旬にかけて夏の装いを見せ、「光明寺観蓮会」が開催されています。2020年は7月25日、26日に行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためイベントは中止となってしまいました。
鎌倉七座の中の材木座に建立された光明寺
鎌倉時代に幕府が置かれた鎌倉市には多くの商人が集まり、鎌倉七座と呼ばれる商工組合が誕生しました。米座、相物座、博労座、炭座、材木座、絹座、千朶積座などが、各々の商品の製造や販売をコントロールしたのです。この内、材木座が地名として残っています。材木商が暮らすエリアに、浄土宗三祖の然阿良忠上人が、1243年に光明寺を開山したと伝わります。光明寺に公共交通機関を利用して訪れる場合は、JR横須賀線鎌倉駅から小坪経由逗子駅行きのバスに約10分乗車し、「光明寺前」停で降りると便利です。
光明寺の本堂となる大殿は、入母屋造、銅板棒瓦葺きで1698年に建立されたと伝わります。鎌倉の木造古建築で最大級の規模をもち、国の重要文化財に指定されています。2020年春から10年前後の期間で修理工事が行われています。
開山堂に接する「記主庭園」で育てられる蓮
現在、本殿の役割を果たしているのは、大殿の北に接する開山堂です。
開山堂の東側には大殿に向かって渡り廊下が繋がり、これに接して然阿良忠上人の偉大な功績を讃える「記主庭園」が設けられています。庭園を覆うのは、「錦蕊蓮」、「大賀ハス」などの蓮です。
「記主庭園」は、例年7月中旬から8月下旬にかけて蓮の花で覆わるのですが、2020年は梅雨時期の長雨と日照不足のため、花を開く蓮はまばらとなってしまいました。
例年の「記主庭園」の様子、2019年の観蓮会の概要が下記のURLに掲載されています。
http://komyoji-kamakura.or.jp/kanrenkai-2019/
8月半ばでも蕾が多く、夏の間に花を開くのか気になってしまいます。満開の蓮を鑑賞するには、気候に注意することも必要になるようです。
2020年は花の数は少なくても、大きな緑の葉を広げる蓮越しに「大聖閣」を眺めると、落ち着いた気分となることでしょう。
高倉健の墓碑が立つ光明寺の境内
開山以来、長い歴史をもつ光明寺の境内では意外なものに遭遇することもあります。鐘楼堂の西には2014年に逝去された俳優の高倉健の墓碑が立っています。高倉健は北条一族の苅田式部大夫篤時という武将の子孫にあたるのだそうです。
神奈川県鎌倉市の相模湾沿いの材木座には浄土宗の寺院、光明寺が建造されています。開山堂に接する「記主庭園」では「錦蕊蓮」、「大賀ハス」などの蓮が育てられ、例年7月中旬から8月下旬にかけて夏の装いを見せてくれます。