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「水止舞」龍をこらしめるウォーターフェス|観光経済新聞

2022/1/17
2022/1/26
「水止舞」龍をこらしめるウォーターフェス|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

龍をこらしめるウォーターフェス

奇祭といえば、交通の便があまり良くない地方の奥まった場所でひっそりと開催されているものも多い。しかしそんな中、東京都内で毎年催される奇祭もある。しかも大田区。それが今回紹介する水止舞(みずとめのまい、ししまい)だ。

水止舞の由来は何と今から約700年前。当時、余りの日照り続きに雨乞いをしたところ、今度は雨が降りやまなくなって水害が多発。今度は「もう雨はいいから止めてくれ~!」と、後醍醐天皇の頃の住職・第二世法密上人が行った長雨止めの祈祷が由来なのだとか。雨乞いの祭りは全国に伝わるが、その逆の雨止めの行事は珍しい。

行事は大きく前半、後半に別れる。前半は藁(わら)で簀巻(すま)きにされて龍神の化身となった白装束の成人男性2人がアスファルトの道路上に転がされ、水をバシャバシャかけられる。水をかけられ、こらしめられた2人は龍神の雄叫びを表すホラ貝を吹く。人身御供然とした絵面がいかにも古来の祭りだ。実際、7月の炎天下の中、30分以上も灼熱(しゃくねつ)のアスファルトの上を転がるのだから龍神役の2人も大変だ。豪快に水をまき、アスファルトを濡らすことは演者の体を守るためにも必要なことのようだ。

この前半がテレビなどでもよく紹介されて有名だが、簀巻きにされた男たち(龍神)が少しずつ移動して厳正寺の境内へ着いてからが後半戦。龍神の後ろから今度は3体の獅子が登場。境内に造られた舞台で行事の名前でもある「水止舞」を舞い、鎮める。獅子は水止(しし)に通ずるという言霊だ。前半が「動」の行事なら、後半は「静」の行事。花籠ふたりを従えた赤い面の雌獅子と、黒い面の若獅子・雄獅子が笛の音に合わせて優雅に舞ってフィナーレなのである。

ちなみに演武を最後まで見終わると、最後に霊験あらたかな獅子の面を被せてくれる。水止舞は毎年7月中旬に厳正寺で開催。大森駅から歩いて行けるので、この祭りで奇祭デビューしてみては?

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