今年は、1923年9月1日の関東大震災発生から100周年にあたります。
本記事では、関東大震災について振り返るとともに、地震を鎮めるといわれる神社や日本を地震から守る4つの「石」について紹介します。
1923年「関東大震災」とは?
関東大震災は、1923年9月1日午前11時58分、相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9の巨大地震により起きた震災被害です。
ここでは、実際の被害の様子などについて解説します。
都市で起こった未曽有の震災
関東大震災では、関東の広い地域で震度6強から7の揺れが起き、家屋の倒壊や地滑りのほか、津波や大規模な火災も発生しました。
人口が密集地域で起こった未曽有の災害により、死者・行方不明者は10万人以上と多くの尊い命が奪われています。
東京は致命的な被害
関東大震災の犠牲者の87%は、地震直後に発生した火災により死亡しました。
特に、東京では全建築物面積の8割が焼失する被害を受け、東京近辺は一面焼け野原になったといいます。
寺社仏閣の被害も甚大でした。神田神社では社殿や御鳳輦が消失してしまい、神田祭が復活したのは7年後の1930年です。
地震を鎮めるための祈りの歴史
地震の多い日本では、古来より地震を鎮めようと神に願ってきた歴史があります。
ここでは、その歴史について解説します。
地震除けの「なゐの神」
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最古の記録としては、6世紀の推古天皇の時代にあった「推古地震」のあと、全国に「地震神(なゐの神)」が祀られました。
「なゐ」は地震を意味します。神名における「な」も「大地・地」を意味するもので、大国主命の別名である「オオナムチ」や「スクナヒコナ」の「ナ」も同様です。
三重県の名張市には「なゐの神」を祀る「名居神社」があります。現在は、この神社以外「なゐの神社」はほとんど残っていません。
京都祇園祭の起源も地震除けだった?
日本三大祭りの一つに数えられる「京都祇園祭」は、一般的に「疫病除け」の祭りとして知られていますが、実は「地震除け」の祈願もこめられていたとする説があります。
京都・八坂神社の祇園祭りが始まったのは869年といわれていますが、その年の5月に「貞観地震」というM9クラスの巨大地震が東北で起きています。その少し前の864年に富士山が噴火、867年には阿蘇山が噴火。868年には播磨国で大地震が起きるなど災害の連続だったのです。
そしてこの頃、播磨国の広峯神社から大地の神様である牛頭天王(スサノオノミコトと同一視されている神)を京都に近い八坂神社に勧請した事実があり、当時の権力者は、祇園祭を通じて、荒ぶる大地の神を鎮めようとした可能性があると指摘する研究者がいるのです。
地震を抑える「要石(かなめいし)」
時代は下り、江戸時代には急激に人口が増加したことで地震による被害も大きくなり、人々の地震に対する関心が高まっていたようです。当時は「大ナマズが暴れることで地震が起こる」と信じられており、全国にある「要石(かなめいし)」という石によって大ナマズは鎮められ、地震が抑まっていると考えられていました。
「要石」の中でもよく知られているのが、鹿島神宮と香取神宮です。
鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)と香取神宮(千葉県香取市)
茨城県鹿嶋市の「鹿島神宮」は、江戸時代に「地震除けの神」として注目を集めました。
鹿島神宮に伝わる神話には「雷神タケミカヅチと海神フツヌシが要石を大地に打ち立てて大大ナマズを鎮めた」とあります。
それによると、鹿島神宮の祭神「雷神タケミカヅチ」は、大ナマズの頭を「要石」で抑え、千葉県香取市にある香取神宮の祭神「海神フツヌシ」が大ナマズの尻尾を「要石」で押さえつけることで、地震を鎮めているのだそうです。
両社の境内にある要石は地上にわずかに出ていて、鹿島神宮は凸形、香取神宮は凹型となっています。両社の要石は地下で繋がっているという説もあるようです。石は地下深くまで続いているといわれていますが、その正確な全長は分かっていません。
また、この要石には先の副将軍・黄門様こと水戸光圀が7日掘らせても底が見えず諦めた、という逸話があります。
鹿島神宮では、地震除けの要石守を、香取神宮では「要石」という字が入った災難除けのお守りを頂けます。
地震除けの御利益がある、鹿島神宮さんの要石守り
皆さんにも御利益がありますように
東日本大震災以来身につけてます(紐がもうボロボロ😅) pic.twitter.com/wlq8Ra7gjK— ぽにゃん(本垢)@牛乳寒天よい寒天 (@ChIqr21gfVEZt1Y) June 18, 2021
近年ヒットした東日本大震災がテーマの新海誠監督のアニメ映画「雀の戸締り」では、重要な存在として「要石」というキャラクターが登場します。こちらも現実と同じく、大災害を封じ込めるという意味をもっているようです。
サダイジンの勇ましい戦い最高にかっこよかったし
結局2匹とも要石としてまた一人ぼっちなの?!もう電車乗ったりちゅーる食べれないの?!って思うと今でも泣けてくる…新海誠監督…2匹の幸せエンドをどうか…どうか…
猫派になりそうな位可愛くて切ない
ダイジンとサダイジンはそんな猫神様だった pic.twitter.com/zzAqiOHbHJ— 🍥• . •🍥 (@mahoujinguru2_) February 16, 2023
大村神社(三重県伊賀市)
要石は、三重の伊賀市の大村神社にあるみたい。そう、スズメの戸締りのモデル。 pic.twitter.com/UcFPC2vfqg
— かなめ。運命を変える旅 主催者 (@ponponpon10969) December 27, 2022
三重県伊賀市の「大村神社」は「古事記」や「日本書紀」に記述がある由緒ある古社です。
大村の神は、約2000年前から土地の守り神・地震除災の神として信仰されてきました。境内にある「要石社」の内部には、767年に奉鎮されたといわれる要石があり、地下深くに広がって大ナマズを押さえていると伝えられています。
大村神社では、毎年9月1日に地震防災祈願大祭をはじめ、大ナマズが街中に引き出される秋祭りも年中行事の一つです。可愛い地震除けのナマズも手に入れることができます。
大村神社を参拝しました。
我が家にも鯰様がいらっしゃいます。 pic.twitter.com/oaSk2kmjye— 下戸の酒呑み (@xuanwu_jp) November 22, 2014
鹿島神社(宮城県加美町)
宮城県加美町にある「鹿島神社」の境内にも要石が祀られています。
江戸時代の記録では「要石は地下の大ナマズの背中に達しているといわれ、常陸の鹿島神宮の要石に模したもの」と伝えられています。
地震除けのご利益がある神社は他にも
牧野さん、おはようございます。
土日に浜松市の「細江神社」では『祇園祭』が四年ぶりに行われました⛩️
細江神社は地震の神様です。
7地区の若連によるお囃子の華やかな出引き屋台を引き連れた御神体の行列は、
夜に参道を駆け上がり細江神社に戻りました。
お祭り賑わいましたよ〜😊✨#いっぽ pic.twitter.com/sN7DewPu9S
— 知床上手🦈 (@Shiretoco_Jaws) July 16, 2023
静岡県浜松市細江町気賀にある「細江神社」は、地震除けの神様として知られています。
現在の浜名郡新居町にあった「角避比古(つのさくひこ)神社」の社は、1498年の明応の大地震と、その後の地震により2度も流されました。しかし、いずれも岸に漂着したためご神体は失われずにすみます。
1510年には、2度の津波を乗り切った御神体が祀られ、細野神社となりました。
まとめ・地震に備えよう!
関東圏では、大地震が起こる日が近いとの予測もあります。
関東大震災が起きた9月1日は防災の日です。この機会に災害への備えを見直し、防災意識を高めるとともに、地震除けの神様に詣でてみてはいかがでしょうか。